「仙人」のラ・フランス―山形県・横山陽一さん

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ゴツゴツした芋のような形状からその昔「見だぐなす」と呼ばれてたらしいラ・フランス。
今では高級果物のひとつ。おいしいラ・フランスってほんっと幸せな味ですよね!



ラ・フランス…お名前の雅な感じ、お高いお値段、なんというか、
どちらからいらっしゃったのですか?と言いたくなるような香りと食感(でも形はいまいち)。

ラ・フランスが店頭に出回り始めました。

「ラ・フランスがだ~い好きでバクバク食べたい!」とか言う人はあまり知りませんが、
おいしいのとお高いので贈答などによく使われています。

「贈答用のでかい玉のものよりも、少し小さめのものの方ががおいしい」と
以前ラ・フランス農家に聞いたことがあります。

「じゃあそのおいしいちっこいのを贈答用にすればいいのに」と言いますと、
「でかい方が見栄えがいいでしょ。カッコ悪いじゃん、ちっこいと。贈り物なのに」
…そりゃそうですが。

なんだかニッポンの食べものは、昨今見栄えが重視されすぎてて
ますますおいしさを置いてきぼりにしてるような気がしてなりませんね。

それはともかく。

ラ・フランスは現在山形県が主産地で、長野県などでも栽培されています。
そもそもは山形県で缶詰用の洋梨「バートレット」の受粉樹として栽培されていました。
缶詰用バートレットはシロップで煮てしまうので、
全く熟さない状態で出荷できる楽な作物だったらしいです。

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「仙人」の畑は草生栽培。
あまりにも暑かった今年、草を生やしていることが水分の保持につながったそう。
草生栽培は草に養分を取られると言う人もいますが、メリットの方が大きいですね。


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畑で見つけました!ボールみたいなまん丸のキノコ。直径20センチくらい。
内部はみっちりパンパンにつまっていてまっしろ。食用らしいんですが名前を失念しました。
殺菌剤が少ないからキノコ生え放題なのかなあ…とにかくびっくり!



当時のラ・フランスはじゃがいもみたいな小さな実がなりましたが、
作ってる農家的には「なってるから食べるかあ!」位の存在だったらしいです。

ただ「ものすごくおいしかった」と当時のラ・フランスを食べた人は言います。
どんな味だったんだか…食べてみたかったなあ。

ラ・フランスが一般的に流通し始めたのは昭和60年代位から。
当時はお高い高級果物でした。
栽培面積の増加により、昨今では3つ入りで498円とかで見かけることも多く、
けっこう手間がかかる作物なのに、安いなあ…と思ったりします。

さて、このラ・フランスをびっくりするほど少ない農薬で栽培している人がいます。

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こまめな手入れと観察力と土づくりで超低農薬栽培を実現している横山さん。
果樹類は農薬を使用するので、有機農業と言いづらいかもしれませんが、
有機農業の基本を押さえた横山さんの栽培はやはりスゴイです。でも本人はそんなのどこ吹く風。
自分の信念のみを見つめて栽培してるだけ…ってのがまたかっこいいのです。



このツワモノは、山形県で洋梨を栽培している横山陽一さん。
缶詰用バートレットを栽培している時から、長年有機質肥料を畑に入れてきました。
「最近、ようやくいい状態になってきたかな」と横山さんは言います。

腐植の多い、CECの高い畑になっているのでしょう。
土が肥沃になり微生物叢も整っているだめ、肥料を与えない年もあります。

一般の1/6程度の農薬散布とはとても思えないイキイキとした木。
有機質肥料・有機農業の力を実感できる畑です。

ラフランスは慣行栽培では36成分も農薬を使う作物。
栽培期間が長いことにあわせ、貯蔵し追熟するという性質のため、
貯蔵中の病気発生のロス分も考え、きちんと農薬をまくのが通常の農家。

そんな病気に弱い深窓のご令嬢のようなラフランスを
殺菌剤一回と殺虫剤4回程度で作ってしまうのですから、普通の人ではありません。

その理由は実にシンプル、「農薬が嫌いだから」。

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少ない農薬で栽培するため、設置型のフェロモン剤を利用しています。
これはコンフューザーN。一本がお高いので、面積が広いと経費がかかります。
ちょっとピンぼけですみません。



今年の山形県は雨が多く、夏はバカ暑く、秋にも長雨が来るという、
果物にとっては非常に条件の悪い天候でした。
ラ・フランスも病気が多発し、慣行栽培の農家も大打撃を受けているようです。

当然のことながら横山さんの畑でも大量に病気が出ています。
それもそのはず、殺菌剤がたった一回なのですから。

しかし、病気になって出荷できないラフランスが多くなっても、
多少それで収入が減ろうとも、農薬を増やす気は全くなく(かえって減らしたい)、
その信念がゆるぐこともありません。

出荷先の事務局に「仙人」とあだ名される所以です。

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肌が汚くならないようひとつひとつ袋をかけてあるラフランス。
横山さんは無農薬袋を使用しています。



そしてこの頑固な仙人のラフランス、相当おいしいのです。
とろけるような食感と甘さ、香り立つ芳香…お店で売っているものとは全く味が違います。

低農薬で栽培することの難しい果樹栽培では、信念だけではおいしいものは作れないもの。
技術の高さや長年の有機質肥料の投入などの地道な取り組みが、味に反映するのだなあ…。
横山さんのラフランスを食べるたび、いつも思います。

そして「病気にやられずに、よく家に来たね」と言いたくなります。

食べものはいのちを作るもの。なんとなく食べておなかを満たすより、
毎回「ありがとう!」と言いたくなるようなものを食べたいなと思っているのですが、
横山さんのラ・フランスは、まさにそういう食べもののひとつです。

とはいえ、今年は食べられるかどうか。
残念だけど、また来年に期待かな…仙人の作るラフランスだもの。



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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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