有機農業推進に対するそこはかとない幻滅

単位面積当たり農薬出荷量

この会議に出席して「ひゃっほう!」と思ったのがこのデータ。
2003年のものしか見つけられないし自分で数字も拾えなかったのだ。
チョーラッキー! 農水の人ありがとう!
以下のデータも全て「有機農業の推進について」資料1 より引用。



農水省の「有機農業の推進に関する全国会議」に参加してきた。

わたくし昨年の11月頃から師匠のことを本に書いており
はからずも農業に関するいろいろなことを棚卸しして、
「これはどういうことだったのか」と再検証しなくてはならなかった。

本を書くということは自分を整理することなのだね。

その過程で「有機農業運動」「有機農業推進」について
なんとなく以前と同じ素直な気持ちがなくなっていることに気がついた。
うまく表現する言葉が見つからずモヤモヤしていたのだが、
今回、この会議に参加してその言葉を発見した。

それは「幻滅」である。

有機農業関係のお友だちに嫌われるかなー。
でもまあ、いいか。正直なところだもの。
わたくしは今旧態依然とした有機農業と有機農業運動について、
有機農業推進について、そこはかとない幻滅を感じつつある。

あ、でも。ひとつだけお断りしておきます。

有機農業自体に幻滅しているわけではありません。
わたくしは有機農業はすばらしいと考えており、
今後も有機の畑が増えていくことが理想だし、
世の中に有機農業をする人がもっと増えるといいと思っております。

これ、大事です。お願いします。

単位面積農薬国際比較

2003年の数字では米国と比較して8倍と言われていたが、
今や17倍弱。米国の農薬散布量が減ったのか日本が増えたのか。
粗放・大規模栽培の米国と比較するのは乱暴過ぎるのだが、
この多さについては考えるべきだろうと思っているわたくし。



さて、わたくし先日有機農産物についてある人と話していた際、
こんなことを言われた。わたくしの夜叉の心の小さな隙間、
とても柔らかい部分にグッサリ刺さったその言葉は

「有機って売り場に書いてあっても何のことかわからないよね。
有機買っても楽しくないじゃないですか。楽しくないとダメだよね」

某D社をはじめ有機農業に携わる事業を行っている会社は
自分たちの取り扱う商品を「説明商品」だと考えている。
「説明商品」とはその商品のどこにどのような優位性があるのか
説明をしなくては価値がわかりにくい商品のことである。

こういう商品は買う側にも一定程度の知識を求めることが多い。

某D社の商品は、そもそも某D社の出自が市民運動なので
説明商品で何も問題はない。というかあたりまえのことだ。
作り手のことをきちんと伝えるってのがそもそもの前提だからね。
そして、クローズドな組織であればそういうことをするのはたやすい。

しかし一般的な大衆に販売していくにはどうかな?

マスに対して説明商品を売るのはかなり難しい。
人々は忙しく店頭の表示をしげしげと確認などしてくれない。
彼らはパッと見て良さそうなものを買っていく。

だから有機・オーガニックという言葉のみで訴求力がなくてはならない。
しかも他商品と比較していかに優れているかもわからなくてはいけない。
八百屋さんならいざ知らず、スーパーの店頭にそのようなしくみはない。

それじゃあさあ。メジャーになれるわけないじゃんねー。
だからそもそも有機・オーガニック市場はニッチな市場なのである。
広く普及するためにはマスに訴える手法が必要なのだが
わたくしたちはそういう努力をしてきただろうか?

有機農業運動はやり方を間違えたのだろうか?

単位面積当たり化学肥料量

今まで見つけられなかった化学肥料の使用量もありました。
韓国すげー多い。何作ってるのかなー。オランダは施設園芸で
トマト一本あたり何百個って世界だからさもありなんって感じだけど。



「有機農業の推進に関する全国会議」の参加者には、流通団体も来ていた。
販売担当者が来ているところはあっただろうか。

推進するためには販売が必要だと思うんだけどなー。
作ることを推進するのが先なのかなー。これはどういう会議なのかなー。
質疑応答中、販売や表示について発言した人は一人しかいなかった。

さらに現在行われている「環境保全型農業センスアップ戦略研究会」(仮称)
(会議内容はクローズドで公開されていないというもったいない会議)の
議論の中間報告が資料として配布されていた。そしてそれには
2006年当時から知られていたことがありがたい感じで書いてあるのだった。

何を今さら。何年前から言ってんの、これ。

会場には「有機農業推進」の補助金をもらって有機農業推進に取り組んでいる
いろいろな県や団体の人が来ており、その報告書も配布されていた。

それを見ていたら、以前西出師匠にくっついて行ったある県の
「有機農業推進協議会」主催のイベントのことを思い出した。

講演はとても楽しくわたくしには勉強になったが、
参加者はおおむねぼんやりしていた。
CECとか腐植とか聞いたこともないというような人たちばかりで
質問もほとんど出なかった。ま、某D社で講演した時もそうだったけどさ。

その後西出会に入会した人もいなかったから、興味もなかったのだろう。
西出さんは後日こう言った(某D社の講演後じゃありませんよ、念のため)

「有機の補助金の予算があるんで何かやらんといかんってことで
わしが呼ばれたんだろうが、何のために行ったのかわからん。
やる気のない農家に話す時間がもったいない。二度と行きたくない」

単位面積当たり化学肥料

一反あたりのチッソ量9kgって少なくない? ってまあ、
田んぼも畑作も果樹も全部合わせてだからかな。
2011年に激減しているのは震災のためかもしれない。
どっちにしても減りつつあるのはいいことだよね。



補助金をもらっているところが全てそうではなくたまたまそうだった。
とわたくしは考えている。だからこそ忘れていたのだが、
なぜ思い出したのかな。会場の雰囲気がその時に似ていたからかな。

ともあれ、2006年12月に有機農業推進法が施行され、今年で9年。
2008年に0.17%だった有機JAS取得圃場の割合は
2013年には0.22%に増えた。一年に約0.01%ずつ伸びている計算である。

有機JAS認証に特定せずに考えた場合の有機農業の栽培面積は
0.4%らしい。面積は有機JAS9,000ha、有機7,000ha。
合わせて16,000町歩。どう? この数字、どんな印象?
これを3年後の2018年に1%(46,100ha)にするのが目標だ。

これから農地が減りそうだから目標達成は今よりもたやすいかもしれない。

有機農業に取り組んでいる農家戸数は1.2万戸で全体の0.5%。
その50%が60歳以下である(2010年)。今はもう少し増えてるかもね。

新規就農者が有機農業に興味を持って相談に行っても
きちんと受けて相談に乗ってくれる自治体もJAも少ないのが現状だが、
有機には将来性がある、市場規模もこれから広がるはず、と
農水の人はさも今回発見したように言うのだった。

将来性があってやりたい人がいるのなら自治体は受け入れ体制を作ればいい。
JAは支援できるよう有機部会でも何でも作ればいいと思うがたぶんそうならない。
有機で地域活性したいとアンケートに答えている自治体は多いが
たぶんやらないだろう。そのことは農水の人もわかっているのだった。


有機への対応

新規就農者が農村に入って有機について相談した際の自治体、
及びJA、近隣の農家の反応は「否定→無視→困惑」らしい。
最初は否定するが何年か経ってうまく行ってるのを見て初めて
へーと思うんだって。その後ようやく受け入れの段階がやってくる。
大変だよ、有機をやりたい新規就農者。



硬直化した組織で新しいことをするのは難しい。

この日は会議後に鈴木さんの話を聞いたせいか、
わたくしはさらに暗澹たる気持ちになって飲んだくれてしまったよ。

日本の農業はずいぶん以前から衰退の一途をたどっている。

もしかしたらもう有機だの慣行だの言ってる場合じゃなくて、
農業全体で考えたほうがいいんじゃない? とでも言いたかったのか、
最後に農水の担当者が一言「有機とか慣行とかお互いを敵視しないで、
それぞれが認め合って」というようなことを言った。

この日この会議で、わたくしは、
唯一いい言葉を聞いたなーと思ったのだった。

そういう枠組みで考える時期はもう過ぎたのかもしれないな。
最近わたくしはそう思っているらしい。


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No title

初めまして、土壌分析などを検索しているうちに、たどり着いてしましました。
食品にまつわる、色々なお話、ありがとうございます。
我が家は、有機栽培農家では有りません(良い所取り?)が、勉強になっています。(有機資材も使っては、います。)
ちなみに、職業は専業?農家で、岩手で、昔は少し有名な産地でほうれん草を栽培しています。
ちなみに、ニックネームに合いませんが、結構、歳をくった、おっさんです。
これからも、情報提供、お願いします。



プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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