「作物は肥料で作るな。土で作れ」by西出隆一さん

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昨年11月の総会時の師匠。遅刻して参加したわたくし。
うううう。不肖の弟子ですんません。



師匠の本が佳境に入ってきましたよ。
来週月曜日に初校が上がってきます。ひゃっほう。
飲んでる場合じゃないぞ! ネジまいて頑張るぞ!

ところでこの本、実は作業を開始したのは昨年の9月頃であった。
11月、5万字ほど書いたところで師匠にお会いしたら書き直したくなり、
一から書きなおして終わったのが1月(だったかな?)。

その後修正が入ってさらに文章を追加して見なおして等々、
今までの3冊の本と比較してすげー大変だったな~と思うが、
のど元過ぎるとすべて忘れるわたくし、よく覚えていない。

ブログを再構成するのではなく、一から書くのは初体験だったため、
書く過程で自分の農業に対する認識を整理し見直すことになったのだが、
この過程でわたくしは自分を再構築したと言ってもいい。なぜなら、
書く前の自分と今の自分を比べると「何か」変わっているからである。

本の執筆開始と同時にブログがほとんど書けなくなったのも
自分の変化についていけてなかったからだろうと思うわたくし。
混乱した頭では何を書いていいかわからなかったのだった。

大変だよなあ、執筆(まるで他人事)。
でもま、ようやく初校だ! 

またアホほど赤入れする自分の姿が想像できるが、
今日は金曜日だからそのことは考えない。
それが幸せの秘訣「スーパーその日暮らし・ほんたべ」である。

さて昨年11月に西出会の総会があり、そこでわたくしはまた
師匠のすんばらしい一言を聞いたらしく、メモを見つけた。
聞いたこと、書いたことを覚えていないのは、その夜飲み過ぎたからであろう。

師匠は「作物は肥料で作るな。土で作れ」とおっしゃっていた。

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いちごの花弁の数でチッソの状態がわかると教わったです。
花びら4枚はチッソが足りません。果実もいいものができません。

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探して見て気づいたけど、花びらの数にもいろいろあるのね。
これは5枚。こういったばらつきがあることがすでに良くないのらしい。

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いちごの花びらはおおむね6枚だと言われておりますが、多いものだと
8枚だったりもするしで、この差が果実の大きさや形に影響する。
まんなかの雌しべの群れの形がいちごの形になるんだって。
この形が変形していると変形花になる。ふしぎだね、いちご。



おおおおおお、すげー! これを見つけたときのわたくしの衝撃。

ドッカーーーーーーーーーーーン って感じ
(なぜ覚えてないんだ自分)。
読めば読むほど、さらに深読みすればするほど
含蓄のあるすんばらしい言葉なのである。

だってさあ、わたくしたちは通常、肥料は作物に与えると考えるでしょ?

家庭菜園の本にも、作物が生育するには肥料が必要、
チッソは体(葉っぱや茎)を作って、リン酸は花や実、
カリは根っこに必要なのよね、みたいな感じで書いてある。

作物には肥料が必要なのである。それは日本の常識である。
だから無肥料栽培とか言われると「すげーなー。
持ち出す一方でどう作物を作るのか」とか考えちゃう。

しかしこれを「土で作る」と考えればどうかな?
そしてこれは「作物は肥料だけでは作れない」と言い換えられないかな?
じゃあ、肥料以外の要素、土って何なんだって話になる。

土中には1立方センチメートルに数億個の微生物がおり、
その方々が作物に必要な要素を与えてくれることが知られている。

土壌分析してチッソ分がほとんどないのに立派な菜っ葉ができるのは、
微生物がアミノ酸を作って植物に提供するからだと考えられている。
しかしそうなるまで微生物叢が豊富になるのには大変時間がかかり、
腐植分の素となる粗大有機物もかなり投入しておかないと難しい。

戦後の増産時、化学肥料に頼りすぎた農業がうまくいかなくなったのは、
作物を肥料だけでつくろうとしたからだろう。

土耕栽培の場合、粗大有機物を還元しないで肥料だけで作ろうとすると
土壌障害やその他の障害が起き始める。
その対策として土壌消毒をしなくてはならなくなり、
微生物は全滅し、ますます土はダメになっていく。

昨日まで土壌消毒剤をまいていた畑で、急に無肥料栽培や
有機栽培をしたとしても、いい作物を作るのは難しい。
というかたぶんできない。微生物がいないからね。
土を作るには時間がかかるものなのである。

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チッソが適正だといちごの花は45度の角度でしゅっと出る。
これがヘタってるとチッソが多い。マルチにくっついているような状態だと
施肥管理を間違ってる可能性がある。そういう小さなことから
師匠はその農家の技量を見分けてしまうからスゴイのだった。



んじゃ、土づくりってなんですか?

「団粒構造になっており、微生物が豊富で腐植・CECともに高く
土壌バランス(分析値・三相分布ともに)が取れている土であれば
良い作物ができる」と師匠は常日頃おっしゃっている。

そういう土、良い土を作るのが「土づくり」である。

良い土の条件とは「生物性・物理性・化学性」のバランスの取れた土で、
「ふかふかの健康な土」的な情緒的な言い回しで表現される土ではない。
物理性と化学性は数値化できるから、誰が見ても客観的に
「良い・良くない」という判断ができるし対策も打てる。

そういう土を作って作物を作りましょうよね、と師匠は言っているのだった。

もしかして師匠は、肥料も作物ではなく土に与えろと言ってるのかもしれない。
微生物を増やし微生物が利用して作物にいい影響を与える肥料。
それがボカシでありモミガラ(粗大有機物)なのではないだろうか。

師匠の何気ないひとこと、全然記憶に引っかからなかったひとことが
師匠の農業に対する考え方の基本を表現していたのだった。

おおお、なんてすばらしい一瞬だったのか(覚えてないけど)。
おそらく聞いた瞬間にそう思ったからメモしたのだろう。

よくやった! 自分。エライぞ! 自分。

つーことで、この言葉は書くのを失念していた「おわりに」に入れました。
最後を締めるいい言葉だから、これをちゃんと入れられるよう
「おわりに」を書くのを忘れていたのかも。なんちて。

怒られるかな。出版社の方、締め切り守らなくてすんません。
でも最後にもう一回書いておこう。

「作物は肥料で作るな。土で作れ」
いい言葉だなー。


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手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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