西出会が解散したです

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現代農業に2度ほど使われた師匠の写真は、
北海道の農家のところをまわった時に撮った写真です。
北海道の広大な土地を眺めて「わしがここで農業やったら
何千万も儲かるのになあ」と言ってたのが忘れられません。



昨年11月の総会(じゃなくて年に一度の集まりなんだけど)をもって、
残念なことにわたくしが師匠と尊敬している西出隆一さんの会
「西出会」が解散したというお知らせが来たです。

いつか解散するんだろうなーとは思っていたけど、
実際にそうなってみるといろいろ思うこともあれこれある。が、
「今までほんとにありがとうございました!」と言いたいのだった。

わたくしが西出さんのことを知ったのは2006年3月に開催された
某D社の土づくり会議という生産者の研修会である。

その会議の準備は同僚がやっており、
話を聞くといろいろ大変そうだったので「どんな人かなー」と
興味津々だった、というか「どういう人なわけ!!!」と
あーだこーだブーブー言っていたというのが正直なとこである。

しかし会議のしょっぱなの一言でもう心臓をわしづかみにされ、
「師匠! 一生ついていきます!」とか思っちゃって、
飲み会では握手してもらっちゃったりして自分どうしたんだ、
今から考えるとあまりの衝撃にちょっとおかしくなってたのかも。

あーだこーだブーブー言ってたのはなぜかその後師匠に伝わっており、
後日「こいつは最初の会議の前にわしのことをあーだこーだ言っとった」
とか言われ、大変恐縮したのだった。

某D社ではその後何度か西出さんを講師に迎えた土づくり会議を行った。
わたくしはもう産地担当ではなかったが取材で参加し、
西出さんの指導を受けている農家の会「西出会」があることを知った。

これは西出さんの指導を受けたいと考えた農家が集まってできた会で
発起人は志田一利さんという農家である。
ネットで「西出隆一」と検索すると志田さんのサイトがヒットする。

うまそうなトマト
某D社の農家があまりにもケチョンケチョンに言われるので、
「西出さんの畑を見学したい」ってことでその次の会議は能登で開催。
そこで食べたトマトがあまりにもおいしいので農家黙る的な
いろいろおもしろいエピソードがあったことを思い出すです。



志田さんは西出会の発起人でもある。
彼がいなければ西出会はなかったのだった。

西出会に入会すると毎月会報が送られてくるが、
これは志田さんがボランティアで作ったものが最初だ。
その後担当は何人か変わったが、会報は会員の農家が
農作業の合間にボランティアで作っていた。

西出会は手弁当で運営されている農家のための農家の会であった。

土づくりからボカシづくり、微量要素の役割、個別の作物の栽培や、
会員からの質問に答えるQ&Aなど会報の内容は非常に濃くて、
わたくしの現在の農業の科学的な知識は主にこの会報と
西出さんにくっついてあちこちの農家を見たことに由来している。

そして、毎回楽しみなのが師匠の辛口エッセイであった。
例えば某D社などけちょんけちょんに言われたりしたが、
それは常に正論のようにわたくしには思えた。

「おいしいもの、高品質なものを作らずにいて農業がおもしろいのか」
どんな辛口な批評をしていたとしても、ただの悪口ではなく、
農業するならもっとまじめにがんばっていいものを作れと
西出さんは愛をこめてそう言っているように思えた。

会員は何か質問があると電話やファックスで西出さんに連絡をする。

11月、おつれあいの文子さんに「毎日畑から帰ると
会員からファックスが山ほど送られてきてるんよ」という話を聞き、
夜の間はその質問にずっと返事を書いている西出さんを想像し、
ちょっとやそっとの覚悟はできない大変なことだなあと思った。

そしてその会員の管理をする文子さんも大変なのだった。

佐賀の弟子のトマトとてもおいしい
佐賀で西出さんの教えを受けているミニトマト農家のトマト畑が
めっちゃきれいで美しく管理されており、うまい人は管理もスゴイと
わたくし心底感心したのでした。いやはや。



西出さんはプロの農家を育てたいと常々考えてきた。
志田さんと西出さんは、西出会を立ち上げる際に
会の目的を「後継者をつくること」と決めたらしい。

だからこそ、そのような農家が育つよう知識を提供してきた。

しかし西出さんは農業指導コンサルタントではない。
自身が農家だから自分の作業をしながら指導を行う。
そのことをきちんと認識できていない会員もいたらしい。

アポイントメントなしで訪問したり、何度も同じ質問をしたり。
自分ひとりならいいが、何十人も同じことをしたのでは
される方は大変なのだった。会員の出入りもけっこうあり、
文子さんは「大変なのよ。会員管理が」と言っていた。

「過去の会報を読むこと」と何度も会報に書いてあったし、
インデックスも作られていたが、そういう努力をしない人はしない。

解散すべくして解散したのかもとわたくしは思うのだった。

そしてわたくし自身にもそういった甘えがなかったかと
めちゃくちゃ反省しているのだった。しかしもう遅い。

今はただ、今までいろいろなことを教わった西出さんや
西出会を立ち上げてくださった志田さん、
会報を作っていた農家の方々、毎月発送してくださった方々
西出会を支えてくださった文子さんに深く感謝するのみである。

三種の神器
師匠のおっしゃる3種の神器。農業はカンではなく
水分や肥料はちゃんと測って数字にもとづく科学的な農業をしなさいと
師匠はおっしゃっている。そのために必要なのがこれ。



わたくしの書いている西出さんの本は、農業技術の本ではない。
わたくしは農家でも科学者でもない素人である。だから、
西出さんや、某D社時代の産地周りで聞いた話や経験をもとに
素人の視点であれこれ考えたこと思うことを書いた。

しかし西出さんを知った時から西出さんのことを書くのは
わたくしの夢であった。

出版社からオファーがあり、師匠にも「好きなように書けばいい」と
言っていただき、四苦八苦してキーっとかなっていたある日、
「あ、そう言えば。今、夢がかなってるんじゃん!!!!」と気づいたが
(どんだけニブイんだ自分)、「夢の実現」という内容になっているかしらん。

西出会解散は悲しいニュースだが、このタイミングで
「本が書けてほんとによかった!」としみじみ思う。
わたくしには、西出さんの農業への取り組み方や考え方は、
厳しくて、わかりやすくて、正しい気がするからである。

先日初校を送ってチェックしていただいたのだが、
「ここに書いてあることを読むと、農業はとても簡単そうだけど、
そんな甘いもんじゃないよ」と言ってたよと文子さんに聞いた。

わたくしは楽観的だから本の内容もしごく楽観的である。
でも、農業は簡単ではなくても楽しいんじゃないのかな。
これはわたくしの妄想だろうか。

もう西出会会員の農家に会う機会はないかもしれないけど、
みんなに聞いてみたい。

科学的な農業は楽しいよね? 違うかな?


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ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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