ジビエを食べて獣害について考えたみた

005_2015033109392527b.jpg
猪の脂についでんまかった鹿肉の生ハム。
カットするだけで食べられるから気軽に購入できそうな感じ。
早く売りましょう、永野さん! (全日本ジビエ協会代表)

007_20150331093922c66.jpg
肉を見て「脂しかないんですよ」と悲しげに言ってたシェフと
「脂がおいしいんだから!」と言い張ってた永野さんだが、
結局脂をごっそりとこそげ取られて猪肉が不足気味でした。
みんな鹿より「猪おかわり!」って言ってたし鹿かわいそ。



全日本ジビエ協会の第一回イベントが終了したです。
日本オオカミ協会理事、朝倉裕さんの話を聞いて
鹿と猪肉を食べていただくというステキな肉食イベントである。

わたくし的には鹿肉経験はけっこうあるが、猪経験は一度だけ。
兵庫県の山の中の温泉宿で食べた「ぼたん鍋」のみ(20歳のとき)で、
当時は肉類全般が好きじゃなかったためとくにおいしいとは思わなかった。

その記憶もあり、猪っておいしいのかなー、なんか臭くないかなー、
脂多そうだなーって感じで否定的だったのだが、
食べてみたら猪肉の方がうまかったのよね。びっくり。

猪がおいしいのはどんぐり食ってるかららしい。そうなのか。
脂だけ炒めて食ってもいいよなーとかいう原始的な本能を感じる
野生の魅力満タンなおいしさなのだった。

つーことで、淡白な鹿肉の魅力が一気に薄れた気がするのであった。

さて、その鹿肉を始め、最近ジビエが流行しているらしい。
というのをわたくしはこのイベントをするまで知らなかった。
そう言えば北海道のスーパーで鹿肉売ってるのをニュースで見たが、
流行ではなく売らないと猟師が大変だから売ってるんだろうと思っていた。

どのあたりの地域で流行しているか不明だが、
全日本ジビエ協会の代表・永野さんは「流行している」と言う。
そして新参の業者が「儲かるらしい」ってことで参入してきており、
肉の品質その他に不安があるものが流通している可能性があるらしい。

肉の品質に不安。その理由は容易に想像できるのだった。
野生動物の肉の処理ってけっこう大変なのである。
ジビエが一般流通しないのは既存の販売ルートに乗らない、というか
乗れないからである。それは処理の腕前にあれこれ差があるからだ。

オオカミ4
農業被害だけがクローズアップされがちな鹿だが、実はもっと
大きな問題をはらんでいる。それが鹿の食害による山林の消滅だ。
樹皮を食われた木々は生きていくことができず、山が丸坊主になるのだ。

奈良大台ケ原
台風被害のあとのようだが、実はこれ全部鹿のしわざである。
鹿が来ると下草が全部食われ森林の植物の生態系が崩れる。
鹿が食わない毒草のお花畑になってしまったりするらしい。
農業被害は人の目に触れるけど、森林破壊は気づかれない。
こっちの方がヤバイと思うわたくし。鹿! ゆるさん! ってことで食べましょう。



一般のお肉のルートはざっくり言うと畜場→仕入れ業者→小売で、
どの段階でも衛生管理はちゃんとしていて、
枝肉や部位ごとに品質管理もきっちりとされているのだ。
法律でちゃんと決まっているのだ。違反すると罰則なのだ。

しかしジビエの場合は、猟師→猟師がさばいて小分け→おすそ分けという
チョーローカルな感じで流通、というか肉が動いているのが大半で、
なにしろ野生動物だから毎日計画通りに屠畜できるわけじゃないし、
計画通りに仕入れられはしない。基本、おすそ分けだし。

品質も不安だ。

山の中で撃った後、すぐにさばいて内臓を抜かないと、
冬でも一時間もすれば内臓から腐ってくると猟師は言う。
内臓を抜いても常温だと肉は悪くなる。とくに暖かい季節は。
ってことで川に浸けたりするんだって。水が冷たいから冷蔵庫の代わりね。

川につけることで流水による血抜きの効果もありそうだ。
血抜きがまずいと血の味のする肉になって臭くて食べられないからね。

なんて処理をされてたとしても、さばいた後の肉の塊を見て
その肉がどう処理をされたかなんてのはわからなかったりする。
何がいるかも不安だ。わたくしは不安だ。

肉は個人(猟師)から個人(猟師の友だち)へ移動するため
品質にバラつきがあるのはもちろん冷凍保存してあったとしても、
状態がいいとは限らない。悪くすると冷凍焼けしてたりする。
こういう肉をもらってもうれしくないし、結果的に獣肉が嫌いになったりもする。

しかし、販売に値する肉を取り扱っている業者の場合はちゃんとしていて、
契約猟師→衛生管理されてるところで肉に加工(業者の場合もあり)
→レストラン等に納入→シェフが調理して粗利乗せて高値販売 って感じだ。

「儲かるから参入」した業者は肉の管理について素人だったりするため、
ちゃんとした衛生管理をされずに流通されている可能性があり、
そこで何か事故でも起きたらジビエブームは完璧にポシャるのだった。
それはまずいよね。せっかく獣肉について興味を持たれ始めたところなのに。

008_2015033109392118f.jpg
オリーブオイルとローズマリー、タイムでマリネして一晩おいた肉。
これを焼いていただきました。ただ焼くだけ。でもめっちゃおいしかった。
マリネしないと肉の臭みが取れないらしいので、これ、ご家庭で食べるコツです。

011_201503310938540e1.jpg
フィールド派シェフ、鈴木康太郎さん。
最近はシェフ業ではなくマネジメント業が主になっているため
久しぶりにお料理したとおっしゃってました。んまかったです。



ご家庭の主婦がジビエ肉を入手しようとしても、現時点では難しい。
ジビエで地域活性しようと考えている市町村はあるが、
肉の小売はしておらず、民宿でジビエ食べてねって感じのところが多い。

「お肉売ってもらえませんかね」なんて電話してみても
「もう行く先が決まってるから売れません」と冷たく断られたりするのだった。
(以前そういう悲しい経験をしたです。町役場の人すげー冷たかったです)

一般的に入手できないものがメジャーになれるわけはなく、
ジビエを都内のスーパーのお肉売り場で売るなんてことは
絶対にありえないとわたくしは確信しているのだった。

というような状況だが、全日本ジビエ協会では小売も始める予定だ。
チャレンジャーだな! 全日本ジビエ協会!

鉄分が多く低カロリーの鹿肉が女性にはオススメである。
しかし味的には脂が甘くて高カロリーの猪肉を一度食べてもらいたい。
人間って脂に弱いのよね。自分のなかに野生が目覚めるチョーうまい猪(脂)。
味的には万人受けするから、猪肉は一般に流通してもOKかもしれないね。

全日本ジビエ協会の鹿と猪肉をいつから販売するかは未定だが、
とりあえず、鹿ソーセージと鹿生ハムは加工品だから売りやすいので
早く売りましょうよ、永野さん! と代表に話しておきます。

会場をご提供いただいた遠忠食品の宮島さん、
鹿! 許さん! という講演をしてくださった朝倉さん、
ありがとうございました。

あまりにも好評だったので、今後、年4回を目標に開催する予定です。


★現在ブログランキング参加中です!
↓プキッとクリック、ご協力お願いいたします!



こちらもよろしくお願いいたします!
にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ
にほんブログ村

関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

こんにちは☆
猪って食べたことないんですが
美味しいんですね~!
豚や牛、鳥は定番で抵抗なく食べられるんですが
他のおにくになるとなんだか~ってなってしまいます!
不思議ですね~おんなじ動物の肉なのに~!!笑

No title

↑の方、知ってしまえば、後戻りできない美味しさです。
今まで食べなかったことを後悔して
人生を、無駄に過ごしてしまった…と、必ず思うはずです(笑)

さて、こんにちは~
やっとジビエの話が出てきましたね~

僕の友人の親父さんが猟師をやっていて
冬になると、毎年、撃った猪を送ってくれます。

牡丹鍋あたりが一般的ですが
やっぱり、鉄板焼きの「焼肉」が一番で
しかも「脂身の美味しさ」に気づいていただき
僕もうれしい限りですね。

鹿は、本当は「刺身」が一番うまい!
こちら(関西)では
丹波 笹山の地元の肉屋さんなどで入手可能です。

「花見で一杯」の焼肉パーティーでは
「猪・鹿・ダチョウ」などというダジャレで楽しんでいます。

失礼いたしました。

Re: No title

初めまして。
コメントありがとうございます。

> 猪って食べたことないんですが
> 美味しいんですね~!

おいしかったんですよー。
脂が甘くて。

豚肉よりもはるかにおいしいです!

> 豚や牛、鳥は定番で抵抗なく食べられるんですが
> 他のおにくになるとなんだか~ってなってしまいます!
> 不思議ですね~おんなじ動物の肉なのに~!!笑

そうかもしれませんねー。

シェフが言うには「野生動物の肉は自然界で淘汰されて
生き残ったエネルギーのあるものだから、
自然のエネルギーを冬が来る前に食べて、冬を元気よく
過ごすためのものだった」とのことで、
食べると元気出ると思います!

Re: No title

癌ダムさん、こんにちは。


> 牡丹鍋あたりが一般的ですが
> やっぱり、鉄板焼きの「焼肉」が一番で
> しかも「脂身の美味しさ」に気づいていただき
> 僕もうれしい限りですね。
>

おいしいですよねー。
ほんと、びっくりしました。


> 鹿は、本当は「刺身」が一番うまい!
> こちら(関西)では
> 丹波 笹山の地元の肉屋さんなどで入手可能です。


市販されてるんですね。
関西のほうが入手しやすいかもしれませんねー。

しかし鹿肉の生は肝炎のリスクがありますが、
だいじょうぶですか?

とはいえ、わたしもレバーや心臓を食べましたから、
自己責任でOK!と考えていますが、
積極的におすすめしてはいけませんね。

サルはどうしましょう?

野生のシカとイノシシが高い割合で寄生虫に感染しているとの調査結果が出たそうで。
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6155601
ちゃんとした解体施設を整備している地域もありますが、まだまだどこにでもというほどではないようですね。肉は道の駅とかでは結構売っていますね。いいお値段ですが。

実家の集落の山にも、イノシシ、シカ、サル、タヌキなどが出ますが、サルはフェンスも越えてくるので困りものです。サルは捕まえても食べませんよね。シカも鉄砲猟以外で捕獲しやすいといいんですけど。

Re: サルはどうしましょう?

H2さん、こんにちは。
遅レスすんません。

> 野生のシカとイノシシが高い割合で寄生虫に感染しているとの調査結果が出たそうで。

野生動物の寄生虫リスクは大変高いです。生食は要注意です。
っつかまあ、自己責任ってことですよね。
鹿の内臓にはうひいって寄生虫がいますし。


> 実家の集落の山にも、イノシシ、シカ、サル、タヌキなどが出ますが、サルはフェンスも越えてくるので困りものです。サルは捕まえても食べませんよね。シカも鉄砲猟以外で捕獲しやすいといいんですけど。


サルは狩猟鳥獣ではないので、駆除でしか撃てないみたいですよ。

以前、食べたことあるという人の話を聞いたこと有りますが、法整備される前の話だと思います。
皮をはぐと人間のこどもソックリなので、調理がイヤだと言っていました。
味は悪くないそうです。


プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
リンク
FC2ブログランキング
FC2ブログランキング参加中

FC2Blog Ranking

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR