『パパ、遺伝子組み換えってなあに?』を観てしみじみ思ったこと

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米国のインディーズ系の監督、ジェレミー・セイファート氏の映画
『GMO OMG』(邦題・パパ、遺伝子組み換えってなあに?)を観てきた。

導入部分に美しい言葉が連ねられており、子どもたちはとてもかわいく
登場人物が多岐にわたる非常に示唆に富む映画だった。
しかし勘違いしている、というか妙な部分もいくつかあって、
それはあえてそう演出しているのか、本当の勘違いなのかは不明だ。

『世界が食べられなくなる日』のように拳を振り上げ、
モンサント社悪の化身、GM種子で世界征服、許せん!的な映画ではなかったから、
そういうのを期待していくと物足りないかもしれない。

でも知識のない人でもフツーにおもしろいんじゃないかな。

いくつかあった勘違い部分を頭のなかで取り除きながら見ると
善悪の判断なしに事実を淡々と並べ、積み上げているように思えた。
英語版のレビューを見るとバイアスかかりすぎとか書かれているが、
そんなようには思えなかったのは間違ってるところを無視して観たからかな。

その中立性を感じさせるのが再三出てくる「I don`t know」という言葉だ。
「遺伝子組み換え作物が安全か危険か、わたしは知らない」と
登場する科学者や政治家、農家が何度も言うのだ。

「わたしは知らない。でも予防原則は守る必要がある」
「わたしは知らない。しかし翌年もタネが取れない作物は嫌だ」
「わたしは知らない。問題は遺伝子組み換えではなく除草剤の残留だ」

ラウンドアップについての実験で名を馳せたセラリーニ教授も出てくるが、
彼ですら「実験の結果はGM作物だけのせいではないかもしれないけど」なんて言う。

遺伝子組み換え作物は安全かどうかは知らないけど
「(米国で)表示されていないこと」「F1で種が取れないこと」
「今までなかった除草剤の残留」という問題があるよと彼らは言ってるのだ。

わたくしは最近、遺伝子組み換え作物はすげー危険だから反対!
モンサント社悪魔の会社! ケムトレイルもまいている! とか言う人々に
微妙な疲れを感じることがある。ケムトレイル。のことはトンデモネタとして
好きだけど、遺伝子組み換えとかモンサント社にからめないでって感じ。

もしかしてトンデモな人=遺伝子組み換え反対派? みたいな倦怠感があり、
だからこそ「わたしは知らない」というところに新鮮味を感じたのかもしれない。

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ラウンドアップ耐性大豆に対してラウンドアップは何回くらい
散布されるのかな? 米国にも防除暦あるのかしら。
残留農薬基準値はトウモロコシで1ppmだったけど大豆はいくつだったっけ。



実はわたくしは最近、遺伝子組み換え作物は必要なのだろうと
思っているのだった。とくに日本は。穀物の自給はできないし、
主たる穀物の輸入先は米国である。ブラジルでもGM作物を作りまくりだ。
ということは拒否したくともGM穀物を食べざるを得ない。

穀物なしの生活なんて今さらできないわよね?
でも人々が選択できるようにもう少し表示したほうがいいわよね。と
わたくしは考えている。それはこの映画の主張と同じである。
日本は米国と違って表示されてるけどね。

NON-GMOで食べものを作っている人がいる限りそういうものを選択するし、
国内で商業栽培されるのはイヤだとわたくしは考える。できるなら反対する。
それが穀物を自給できない国でできる唯一のことだからだ。

なんで反対しているの? と聞かれても
「なんかヤだから」としか答えられなかったが、
きっとこういうこと↓なのだろうと映画を見ていて気がついた。

わたしたち日本人は、ふだん全く意識していないが自然と共生しており、
なんとなく精霊や祖霊の存在を信じており、事あるごとに神仏に祈る。
河童や妖怪の類についても問題なく受け入れている。

虫は交尾して卵を産んで繁殖するものというよりは「わく」ものだし、
トイレにも台所にも神さまがいると言われると「いるかもね」と思う。
高い山に行けば何かヒトの手が及ばない大きなものの存在を感じ、
樹齢何百年の木に精霊が宿るとか考えるから、しめ縄を結んじゃったりする。

そこにあるものを淡々と受け入れることがあたりまえである自然観と、
「生命の基本情報をいじっていいもの作っちゃうぜ!」という
遺伝子組み換え技術は相容れない。とくに食べものについては。

はっきりとした理由なく「なんとなくイヤだ」と思う人が多いのは
そういう国民性もあるのではなかろうか。
そして、理屈で物事を受け止め判断する男性より、
情緒的な判断をする女性に反対する人が多いのもむべなるかなって感じだ。

だから米国では常識になりつつある「生命特許」についても、
妙な考え方だろうと思ってしまう。命に特許? ありえないでしょう。

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殺虫性トウモロコシの畑をガスマスクして駆け回るのは
おもしろいけどやり過ぎって気がしましたが、どうでしょうか。



映画の最後の方に「スヴァールヴァル世界種子銀行」が出てくる。
地下深くの冷蔵庫に保存されているのは世界中の作物のタネである。
その風景を初めて見て、心が震えた。

監督の長男、フィンくんは種マニアで、冒頭にそれが紹介されるのだが、
「一粒のタネを植えれば、百個もタネが取れるんだよ。
種ってクレイジーでしょ!」なんて言う。その言葉がここで胸に響く。

タネは人類共通の資産で、守るべきものだ。

形質の変わらないタネを採り続けられることを選択したい農民がいるのは
当然のことだ。とくにタネを買えない貧しい国の人々にとっては。

この映画は、遺伝子組み換え作物のみについて語られているのではなく、
持続可能な産業=農業についても、あれこれ考えるべきことのタネが
ヘンゼルとグレーテルのパンくずのようにあちこちに落っこちていた。

パンくずが多くて消化しきれなかったわたくし的には、
もう一度見に行きたいと思っております。

4月25日(土)から、渋谷UPLINKで上映開始です。
ご興味ある方はぜひ。
http://www.uplink.co.jp/gmo/


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手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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