農業もイラストも基礎が大事

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『現代農業』のタイトルにありそうないい感じのタイトルです。
帯に「石灰使わない」って書いてあるけどそんなことないですけど、
ここは修正できませんでした。いやはや。



高校1年のとき、油絵を習いに行った。

当時のわたくしは「ちょっと絵のうまい女の子」であった。
基礎ができてないと「ちょっと絵のうまい女の子」で終わってしまうと
誰かに言われ、んじゃ油絵やろうかなと思ったのだ。

個人レッスンの最初はただひたすら木炭デッサンの日々であった。

木炭で立方体・円錐・円柱・球・ブルータス・ビーナスを書いたが、
立方体からすでにつまづいた。

「この面の向こう側にも面があることを描け」とか言われるのだ。
もーちんぷんかんぷん。向こう側見えませんけど!!! 
何をどう描いても「違う」と言われ泣きそうになった。

デッサンを数ヶ月やり「ま、いいでしょ」と言われて油絵を始めたが、
静物を描くのがつまらなくて結局やめてしまった。

デザイン学校では早く乾くリキテックスが好きになり
さらにパステルを使ったので油絵の具を一度も使ったことはない。
デッサンはうまい方だったが単に「うまい方」だったため、
もっとちゃんとやっときゃ良かったと後悔した。

わたくしはその後「わりとイラストが描ける女」になれたが、
それ以上にはなれなかった。なんでもテキトーに描けるから
いろんなものを便利に描いていたらあるときから
何を描いていいかわからなくなり行く先を見失ってしまった。

昔は描くだけで毎日がウキウキしていたが、
最近はイラストを描くのがほんとにイヤでお金をもらっても描きたくない。
あんなに好きだったのが嘘のようだ。

デザイン学校の先生に「基礎やっとかないとつまづいたときに
先に行けないし上達が止まっちゃうんだよ」と言われたことを思い出す。
結局その通りになった。
デッサンを死ぬほどやっておけば先に進めたかもしれない。

絵でもスポーツでも基礎は必要だとこの年になってつくづく思う。
基礎をちゃんと知ってることが自信につながるし、
基盤がきちんとしているほど上達も早く大きく伸びるのだ。

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便利にとりあえずどんどん描けるイラストの例。↑
どこでつまづいたのかなー。ううううう。



西出さんの本を書いている最中にわたくしは
「西出式微生物農法」はデッサンのようなもんだなーと思った。

「いい土づくり」は農業の基本だ。

しかし今も昔も個々人が思い思いに土づくりをやっており、なんとなく
「こういう基本があるよね」的な指針はあるし、
「数値で見るんだったら土壌分析だよね」的な部分もあるが、
あいまいだったり思想が先走ったりすることもあり
万人にわかりやすい「基礎」を見つけるのは難しい。

「アタシの畑ではうまくいったけどアンタのとこではどうかしら?
気候も土質も面積も違うしね。同じことやってもムリよね」というのが
一般的な考え方だ。だから有機農業の技術体系がなかなか作れない。

しかし西出さんの「土づくり」は数値に基づくもので、
どんな土でも気候でも必要なものは常に同じである。

土壌分析の項目から適正値を計算して過不足を補う。
土壌三相分布を計測し数値を整える。
微生物資材を投入し微生物叢を豊かにし、
粗大有機物を常時入れることで団粒構造を作る。

これだけなのよね。すごくない?
どんな畑でもすることは同じ。
数値によって内容が変わるだけだ。

「西出式微生物農法」は実は「土づくり」のやり方なのである。

微生物資材を使うところに特徴があるが、
基本は数値化できるものをただひたすら整えるというシンプルなものだ。
しかしその土壌分析の項目は非常に細かいものだし、
普及所や肥料屋さんがやってくれる項目だと全然足りない。

わたくしも土壌分析診断はできるので何人かの農家に
分析数値を見せてもらったことがあるが、
「これをどうやって診断するんかなー」と思うものばかりだった。

なぜ違うのか、なぜこれで「OKだよね!」となってるのかは不明だ。
例えばCECを測らずどうやって石灰苦土カリの適正値を計算しているのか
なんちて質問しても誰にも答えられなかったりするのだった。

054.jpg
「西出会の会報を読めばわしと同じだけの知識は得られるけど、
いかんせんみんな経験がないからわしと同じようにはできん」。
11月の総会時に西出さんは言いました。知識があっても経験が伴わないと
技術にはならないと理解しました。どれだけ深いのか農業。



ともあれ農業の基本・土づくりは有機も慣行も関係ない。
いい土を作れば土が作物を作ってくれるのは周知の事実だ。

その「いい土」を作るために資材を投入しコストをかけるのが
「西出式」なのである。西出さんはいい土ができるのをのんびり待たない。
お金をかけて土づくりをしそのコストを短期間に回収する。

もしかしたら非常に前衛的な農業を提唱しているのかもしれないなあ。

素人でも家庭菜園家でも新規就農者でもプロの農家でも、
土づくりにおける基礎は同じだ。
その上にそれぞれの地域や気候に会わせた知識と経験を積み上げて、
個々人の技術が構築されていくのだとわたくしは思う。

でもねー。校正したときに西出さんにねー、
「この本読んだらえらい簡単そうに農業できるみたいだけど
農業はそんなに甘いもんじゃないよ」って言われたのよね。

その「甘いもん」部分は知識と経験と技術の蓄積部分だと考えると
わたくしが書いたのは基礎部分のみである。
そんなに無責任なことは書いてないと思うんだけどどうでしょう。

あ、あと、大規模農業に西出式は向いていません。
西出式が非常に効率よく機能するのは小規模農家、
あるいは小規模で儲けたい施設園芸農家だと思います。

つーことで、『儲かる!西出式農法』は5月8日発売予定で、
書店に並ぶのは11日過ぎだそうです。
Amazonで予約できるみたいですので、みなさま、ぜひ(営業)。
農業を知らない人にもおもしろく読める(はず)です。
『儲かる「西出式」農法』
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No title

ご出版おめでとうございます!
早速Amazonでポチッとしました。
楽しみにしています。

Re: No title

高橋さん、ありがとうございます!

買いますよー

今月中には買う予定ですよ。honto.jpで。
出版社のサイトには目次がありますね。見たい情報でした。

一つ気になったのは、「大規模農業に西出式は向いていません。」という部分。
これは面積の話でしょうか、経営規模の話でしょうか、品目の話でしょうか。
家庭菜園規模では成り立つけど、生業としての農業の規模では成り立たないという意味ではないですよね?(これだと自然農法とかでよくあるパターン)

生計が立つ農業に必要な面積は、品目と栽培スタイル(露地か施設栽培かなど)によりますよね。施設栽培なら露地に比べて面積は少なくて済みますし。

また農業は労働集約なので、経営規模は人手に比例するとすれば、経営規模が大きいからといって向かないとは言い切れないような。もちろん一律にはできないので、各々が個別に判断する必要があるという点で能力的に難しい(全体を高いレベルに保つのが難しい)というのはあると思いますが。

Re: 買いますよー

H2さん、ありがとうございます!

西出式が大規模農業にむかないというのはご本人の言葉です。
基本は家族経営プラスアルファだそうです。

そのあたりは本を読んでいただければ。

よろしくお願いしまーす!

西出会について

本読ませていただきました。 
新規就農を目指す39歳です。

自然農法の本を読み漁り、収入は二の次な感じが馴染めず、かといって農薬を使う気にもなれずという時にこの本に出会いました。

まさにこれだという思いがあるのですが、西出会解散ということで、残念です。 

群馬にいるので、そうそう石川県にも行けないので、西出会の会報などで、勉強したかったのですが、 どうすれば、会報を見ることができますか?

 もしくは、西出微生物農法のもっと具体的なマニュアルのようなものはありますでしょうか?

Re: 西出会について

今井様

コメントを頂きありがとうございます。
気付かずに遅レスになってしまいました。申し訳ありませんです。


> 自然農法の本を読み漁り、収入は二の次な感じが馴染めず、かといって農薬を使う気にもなれずという時にこの本に出会いました。

ご購入いただきありがとうございました。
感謝です。

>
> まさにこれだという思いがあるのですが、西出会解散ということで、残念です。 
>
> 群馬にいるので、そうそう石川県にも行けないので、西出会の会報などで、勉強したかったのですが、 どうすれば、会報を見ることができますか?

西出会の再開は現時点ではまだないようです。
西出さんの畑を見学し、3時間程度の講義をしていただけるそうですが、有料です。

会報は一部500円で購入できるようです。
一年間12冊ですから、予算によって考えてみてはいかがでしょう?

ご希望があれば、お繋ぎします。

>
>  もしくは、西出微生物農法のもっと具体的なマニュアルのようなものはありますでしょうか?


残念なことにマニュアルはないのです。

ということで、よろしくお願いいたします。

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

初めまして

初めまして。

ハウス農家9年目、34歳の原と申します。
食べ物ではなく、観賞用の花を作っております。
同じ花農家の仲間には、食べ物ではないのだから…と言われますが、農薬を使わず!を目標に、花栽培に取り組んでおります。

9年間、様々な農法を試しておりましたが、昨年からイチョウ病、今年に入りサビ病などの病害にやられてしまい、これまでのやり方に限界を感じました。

そんな時、儲かる!~や、ほんものの~のブログに巡り合い、
探していたのはこれだ!
と、小躍りしました(笑)

早速、西出式農法を元に、土作りを実践している最中ですが、理解力の乏しい私のやり方で、西出さんの農法をきちんと再現できているのだろうか?と、不安な毎日を送っております。

そこで、答え合せの意味も含め、様々なケースの情報を頂戴したく、是非西出会の会報を販売して頂きたいと、思い切ってコメントをさせて頂きました。
(土作りについての情報ならなお有り難いです)

四国在住ですが、出来ることなら直接ご指導を賜りたい、とも考えております。

詳しく購入方法等お教え頂けると幸いです。

これからもブログやHPなど訪問させていただきます。
どうぞ宜しくお願いいたします。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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