化学肥料のほうがいいこともある

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暑いですねー。夏本番! オクラの調子が上がってきました。
オクラ三兄弟(笑



北海道の有機農家を師匠・西出隆一さんとまわった時のことだ。

人参畑の様子を見た師匠が「チッソが足りんよ」とおっしゃった。
人参の葉の高さと色合いと見てそのように言ったのだが、
言われた農家は「そんなはずない」と納得しなかった。

「元肥でじゅうぶんに入れた」と彼は何度も言う。
師匠は「チッソが足りん樹形になっとる」と譲らない。
「今追肥すればものすごくいい人参ができるのに」と師匠は残念そうだった。

二人の会話は最後まで噛み合わなかったが、わたくしはそれを見ていて
「流亡したんだなーきっと」とぼんやり考えた。
その畑はカルシウム過剰で塩基飽和度がかなり高かったからだ。

彼は最後まで「最初に入れたんだから残ってるはずだ」と
師匠の指摘を全く聞き入れなかった。
彼の頭にはもしかしたら「流亡」の文字が無かったのか、あるいは、
人参畑に追肥をする手間と暇を考え、認めたくなかったのかもしれない。

北海道の人参畑は内地の10アールとかではなく1ヘクタールとかいう規模だから、
ここにちまちま追肥をやれる人はそういないだろう。
化成肥料ならできるかもしれないが、彼は有機JASを取得している。

短期間にさまざまな作物を広大な面積で作る北海道で、
有機農業をやるのはとても大変だ。除草、肥料の投入、粗大有機物の投入、
どれをとっても手間もかかるし、カネもかかる。
内地の農業とは規模感も感覚も全然違う。

小規模でいいものをていねいに栽培して高く売る施設園芸農家の師匠と、
大規模で数を稼いである程度放任で栽培する大規模農家が話しても
うまく話が噛み合わないのは当然だったのかもしれない。

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パプリカとピーマンにちびちびと追肥をしているのに、
一向に肥料が効いてる感がないのはなぜだろう。
いつまで経っても木が大きくならないパプリカちゃん。



わたくしは北海道などの大規模産地にかかわらず、
有機JAS認定を取得している人を尊敬しているが、
その作物がおいしいかと言ったらそうとも限らないことも知っている。

塩基飽和度の高い圃場にC/N比の低い堆肥をどかーんと入れて、
初期生育は良くても木が暴れて後半に肥料が切れてしょぼしょぼになれば、
作物としてどうなのよってなものができる可能性はある。

さらに肥効成分の高い堆肥を継続して使用していると、
特定の成分が過剰になり、土壌バランスが大きく崩れるが、
有機JASを取得しているせいでその修正ができなくなる、
なんて話は以前大規模産地の渥美半島の農家に聞いた。

また、栽培途中に欠乏症が出た場合、単肥(この場合化成肥料)が使えないから、
対処できないでそのままにせざるを得ないという問題もある。

欠乏症と同様、土壌分析をして足りない成分がわかっていても、
有機質肥料で成分バランスをきちんと整えるのは難しい。

必要なものを必要なだけ欲しくても余計な成分が入ってしまうからだ。

だからね。そういうときに化成肥料使えるといいなって思うわけ。
化成肥料=悪じゃないのよね。使い方なのよね。
あとね、いまさらだけど、最近化成肥料のすんばらしい部分に気がついたわけ。

わたくし今年は非常にマジメにほんたべ農園に取り組んでおり、
ちまちまちまちまちまちまと、蚊に食われながら追肥をしている。

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こないだの雨でトマトが自重でつる下ろし状態になりましたよ。
へなちょこ捻枝をしてた部分からぐんにゃりと曲がっております。
へなちょこでも捻枝しといて良かったぜ。やってなかったら折れてたぜ。



記録を見てみると2週間から1週間に一度、
もぐら堆肥を移植ごていっぱいずつ株間に的な小規模な追肥を
繰り返し繰り返し繰り返し行っているのだ。

暑かったり蚊に食われたりするとキーっとなるが、
師匠のことを本に書いた手前、自分もちゃんとしなくてはとがんばってるのだ。

んでね、こないだホームセンターの園芸用品売り場を見てたら
「遅効性・即効性合わせて効きがなが~い化成肥料」とか見つけたの。
化成肥料のメリットはパラリと振ればすぐに効く即効性にあるが
遅効性も兼ね備えた肥料があるとは驚いた。もしかして当たり前?

これを入れればちまちまちまちま追肥する必要もなくて、
仮に肥切れが起きそうになっても株元にパラリと振れば、
地面をほじくり返している間に蚊に食われたり、
どうかすると堆肥がバフッと顔にかかることもない。

「すげー楽!」「農業楽しい!」「ひゃっほう!」
てな感じではないだろうか。実際ご近所の人々はここ数日
ほぼその「パラリと振る」方向にシフトしている。
暑いしね。区民農園、お年寄り多いし、そうなって当然よね。

「効きがなが~い」化成肥料が流亡しないかどうかは不明だ。
するのかもしれないが、使ったことがないからわからない。

高齢化著しい日本の農業界にこういう肥料は必要だろうなーと素直に思う。
その作物の味がどうかはわからないが、農業の省力化は必要だからだ。

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五段目が着果してるのに、わたくしのおしりくらいの高さのトマト。
とくに折れてもないし、どうやっても上に上がらないし、折れたらヤだし
まあ、元気だからいいか!



しかしそもそも野菜の味を気にする人がいるのだろうか?
などという疑問が最近わたくしの心の奥に住み着いて、
「おいしい野菜」とはそもそも何ですか! とか時々叫んでうるさい。

そして、単肥が使えず特定の成分が過剰になる可能性がある有機JAS認定は、
ほんとうにおいしいもの、健康なものを作ることができるのか。

そういうものをちゃんと作っている人を知っているが
それは個々の技術によるものだから、有機JAS全てがそうではないだろう。

何よりも、おいしいものを作るのが難しい制度では
おいしいものを作りたい人は楽しくないんじゃないか。

わたくしは最近、有機JAS認定の硬直化した制度に疑問を感じている。

死ぬほど説明しないと消費者にちゃんとわからない制度ってのも
実はどうなんだとか思っていて、なんかもう有機どうでもいいんじゃん的な
黒いわたくしが急速に成長中。

がんばれ! 負けるな白いわたくし。


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No title

どうして、放射能に汚染された食べ物のことをいわないの?
前にも疑問に思ったけど、それで貴女は信用しないことにしている。

Re: No title

田中さん、コメントありがとうございます。

> どうして、放射能に汚染された食べ物のことをいわないの?
> 前にも疑問に思ったけど、それで貴女は信用しないことにしている。

以前きちんとお答えしたので、もう一度書くことはしません。

簡単に言うと、わたしはもう繁殖年齢でもないし、電気のたっぷりある生活を享受してきたし、
ガン細胞が増殖して20年後にガンになったとして、
それが放射性物質のせいかどうかわからないし、なってもまあいいやと思っています。

自分自身が原発に反対していたけど何もできなかったというのが主な理由です。

放射性物質については詳しい情報がネット上にあふれています。
そこに参入する気もなければ、私の仕事でもないと考えています。

No title

僕は、」原爆投下から5年後のヒロシマで生まれ
今でいえば帰宅困難地域の爆心地周辺で20年間暮らし
放射能に汚染された、作物や海産物を食べて育ちましたが
僕も、周りの友人たちも、普通に元気ですよ。

原発にも、原爆にも、もちろん反対ですし
福島の事故に際しても、いち早くメルトダウンを推測し
電力関係筋らしき方々から、妙なコメントもいただきましたが

要するに、放射能汚染は、現実にあるし、
もちろん、ない方がいいに決まっているけど
非難すべきは「電力会社」であって、決して、農作物ではないし
第一、それくらい食べたところで
健康上大した害があるとは思えない…と、僕は思います。

そして、いま「放射能汚染」をこんなところにまで
喧伝して回るのは、
被害者である原発周辺住民や被爆者に対する
差別意識のあらわれのような気もして、きわめて不快です。


ほんたべさん、変なコメントに負けずに
頑張ってくださいね(笑)


Re: No title

癌ダムさん、ありがとうございます(笑

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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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