資源としての野生動物-おばあさんは山へ鹿撃ちに

001_20150716175157f41.jpg
生肉の供給期間が決まっている野生動物の肉は
加工品にすることが前提。ってことで付加価値商品になる可能性あり。
なもんで、最近猪鹿で地域おこしをしようとしている自治体が多いよね。



数十年前、「ポピュラス」というゲームにハマった。
青い服を着た人民(自分)と赤い服を着た人民(敵)との戦いのゲームで
最初はどちらも一人しかいない。

ゲームの中の自分は「神」である。

この青い人の近くに平地を作ってやると、彼は家を作る。
そのうち村ができ、町ができ、城塞ができる。
民が増えていくに連れ自分のパワーが蓄積され、
相手陣営に洪水や地震などの災害を引き起こすことができる。

寒い土地という設定の際には人はなかなか増えないが、
暖かい地域だとバンバン増えて災害を起こすのも容易になる。

もちろんこちらも攻撃される。繁栄していた町が洪水や地震などで
壊滅的な被害を受けると人口が減るから、自分のパワーも減る。
自然災害以外に、ただひたすら破壊し続ける「騎士」を作ることもできる。
彼は勝手にあちこち歩きまわり、最後の一人まで殺し続ける。

一度放たれた騎士はもうコントロールできない。
最後の一人まで敵を執拗に見つけ、殺し、家に火をつけ、高笑いをする。
「おおまかに減ってんだからもういいじゃんかよー」と話しかけても止まらない。
日本人には作れないよなー。今調べたらイギリス人が開発したゲームだった。

わたくしはポピュラスでなんとなく、人が増えていくしくみを理解した。
数十年後に読んだ『銃・病原菌・鉄』によく似たことが書いてあり、
どんなムダに見える経験でも役に立たないことなどないよなあとしみじみ思った。

『銃・病原菌・鉄』では村が国になるまでのしくみが書かれている。

人々が集まると、まず村になる。食料に余剰ができると非生産部門が生まれ、
管理職ができる。この段階で町になる。さらに効率化が図られ生産力がUPすると
管理職はより強い権限を持つようになり、最終的に国になる。

人口が増えていく要因はポピュラスのように平地を作ることではなく、
それによって生まれる食料である。

IMG_0725.jpg
以前「自給自足」をテーマにしたリアリティ番組を見た。
手づくりで弓を作ってでかい鹿を仕留めたが、食べない選択をした人もいた。
食べるものがなくて皆ギリギリだから、その人のことを誰も配慮しないどころか、
あからさまに迷惑そうだった。衣食足りて礼節を知るってほんとだよね。
最後にはその人も食べたんだが、いろいろ考えちゃったな。



各自が狩猟・採集をしているだけでは人は増えない。
耕作を行い提供されるカロリーが十分になり余剰が生まれて初めて
分配・販売ができるようになり、通貨もでき、人が増えていく。
非生産部門で知的な活動ができるようになると文明が生まれる。

現代では機械化が進み人の仕事はさらに減り(全て電気のおかげ)
ますます人口が増える体制は整っている。しかし増えないね。どういうわけだろう。

わたくしたちの周りにすでに食べものは溢れかえっており
現代の日本で「飢える」のは意外と難しい。もしかしてお腹いっぱいになると
かえって繁殖能力が衰えるのかもしれないなあ。

しかし、個別に見ていくと国内で食料が供給されているとは言いがたい。
何かあったらああ大変、食べものなくなっちゃう的な不安要素がかなりある。

例えば、作物を生み出すための肥料(化成肥料)は輸入が多い。
とくにリン酸は100%海外からの輸入に頼っている。
数年前中国が「もうリン鉱石輸出せんもんね」と輸出を停止していたが、
今はどうなっているのかな? 限りある資源は取り合いになるから大変なのだ。

また作物自体も、自給できているのはコメとみかんだけで
その他のもの、とくに大豆や小麦などの自給率は非常に低い。

その輸入大豆やトウモロコシを飼料にしている牛豚鶏の
濃厚飼料の自給率は平成25年で12%(粗飼料は78%)。
平成26年概算では14%だが、これは飼料米が活躍しているおかげだ。

さて、一般的な牛肉を1kg生産するのに必要な穀物の量は、
トウモロコシ換算で11kgと言われている(1998年農業白書より)。
ちなみに豚は7kg、鶏は4kg、鶏卵3kgである。
(実際にはトウモロコシだけで育ってないから少し乱暴な計算だけどね)

IMG_7888.jpg
わたくしは内地の猟に同行したことはないが、北海道では
撃った鹿の内臓をすぐに出して雪を詰めてしまう。
これによって品質が保たれる。それでも血抜きが失敗すると
臭い肉になる。雪のない内地ではどうやってるんだろう。



この1kgのトウモロコシを栽培するのに必要な水の量は1800リットルである。
(環境省WEBサイトバーチャルウオーターより)
ということは、わたくしたちは牛肉を1kg食べるたびに、
海外の水を19800リットル消費していることになる。

日本では水資源が豊富だからあまり気にならないが、
海外では水はとても大切なものだ。我々はそれを収奪しているとも言える。
お店で売ってる肉を見てこんなことを考える人はいない。
肉は肉だし誰にも迷惑かけてないと思うのが普通だ。

しかしわたくしたちの食卓は世界に繋がっていることを
意識する必要はあるだろう。このグローバルな世界で
「自分たちだけで完結している」なんてことはあり得ない。

わたくしたちは食べることで世界の環境に何らかの形で
影響を与えている。そのことを知らなくてはならない。

ちなみにトウモロコシ1kgは990kcalなので11kgで約10.900kcal。
日本人一人あたりの供給熱量は2415.5kcal(平成26年食料受給表)だから、
単純に計算すると飼料にしないでトウモロコシを食えば4.5人養える。

牛肉1kgは部位にもよるが平均すると3000kcalだから、
牛肉だけで養える日本人は1.25人だ。これは多いのか? 少ないのか?

しかしこの計算をするたびに肉を食うってアレだよなーと罪悪感が生まれるよね。
たまーになら食ってもいいよねと自分に言い聞かせるわたくし。

さてこういった事実を前にすると、日本の山々に大量に存在し、
農業・林業関係に大迷惑をかけている猪鹿を
天然資源(肉)と考えることは非常に理にかなっている。

何しろ、全て国産だ。りんごやトウモロコシなども食ってるから
そのへんは「食われた人すんません」って感じだが、これらの肉を食っても
海外の水を消費することもなければ海外の穀物を買い漁る必要もない。

このたんまりある肉を活用できるよう、
もう少し潤沢に供給できるしくみが生まれたらどうだろう。

IMG_1118.jpg
猟からもって帰った肉はすぐにさばいて水に浸けておく。
一日経つと完全に血が抜けて、ちゃんとしたおいしい肉になる。
この猟師さんにお願いするといつもおいしい肉が来るが
どう処理したのか知らない人からもらうのはちょっとヤだな。



そのためには「なんかこの肉臭いんですけど」的な不安定な品質のものではなく
血抜きも処理も衛生的にきちんと行われた安定した品質にすることが必要である。

また、さらにかなり難しいことだが、
現在では食べられず(食べちゃいけないの)穴掘って埋められる「駆除」の肉が
資源として活用できれば、さらに潤沢な供給が可能になる。
結果的に価格も抑えられ一般化されるのでは。

なんちて妄想が広がるわたくし。

わたくしは現在、猪鹿肉をどう食べるかという消費者向けの活動をしているが、
今後狩猟免許を取ればさらに上流(供給側)に関わることができる。
そうなったらいろいろ楽しいのではないか。

ということで、まだ免許すら取っていないけど、
野望を宣言してみました。
「天然資源としての猪鹿の活用」いいじゃない?

目指せ! 国産肉の潤沢な供給! である。
さ、来週から試験勉強しようっと。


★現在ブログランキング参加中です!
↓プキッとクリック、ご協力お願いいたします!



こちらもよろしくお願いいたします!
にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

いつも楽しみに見てます。うちの近くの山にもイノシシが湧いてます。捕まえて食べたいですが、鳥獣保護区なので無理かな?自分の土地に落とし穴掘って捕まえるのはOKかな?とか考えてます。

ところで、下、計算合わないです。

<この1kgのトウモロコシを栽培するのに必要な水の量は1800リットルである。
(環境省WEBサイトバーチャルウオーターより)
ということは、わたくしたちは牛肉を1kg食べるたびに、
海外の水を1800リットル消費していることになる。>
19800リットルですね!
これからも活躍期待しています。

Re: No title

にゃんこ先生こんにちは。コメントありがとうございます。

> 捕まえて食べたいですが、鳥獣保護区なので無理かな?自分の土地に落とし穴掘って捕まえるのはOKかな?とか考えてます。
>

たぶん罠の免許がいると思います。
あと、落っこちた猪を仕留めるのがチョーコワイと思います。



> <この1kgのトウモロコシを栽培するのに必要な水の量は1800リットルである。
> (環境省WEBサイトバーチャルウオーターより)
> ということは、わたくしたちは牛肉を1kg食べるたびに、
> 海外の水を1800リットル消費していることになる。>
> 19800リットルですね


ひいーーーーー。ほんとだ!
修正しておきます。

ご指摘ありがとうございました!!!
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
リンク
FC2ブログランキング
FC2ブログランキング参加中

FC2Blog Ranking

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR