全日本ジビエ協会の野望を語ってみた

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バンビちゃんのシンタマ(モモ)。すごーくやわらかくて
鹿肉のいいところだけを楽しめるジビエ初心者向けの肉。
上級者と初心者は嗜好が違うのに十把一からげにされることが多く
ジビエは臭いとかおいしくないとか言われちゃうのですね。



わたくしたちは自分が食べたものでできている。
これは我々だけではなく牛豚鶏などの産業動物も野生動物もそうだ。
だから食べたもので肉の味が変わる。

数年前からのトウモロコシ高騰で産業動物の飼料の配合が変わり
コメを食べているものが増えているが、
コメを食べると肉や卵、牛乳の味も色も収量(牛乳の場合)も変わる。

コメで肉・牛乳の品質がどう変わるかという農水省の事業があり
数年前、農水のサイトに結果がいろいろ報告されていたが、
味があっさりするとかや乳量が減るとかの困った変化があったようだ。
今はどうなってるのかな? 技術は確立されたのかな?

例えば牛乳は、草食べてる夏と牧草食べる冬とでは乳脂肪分も味も違うが、
飲んでる方はあまり気づかない。きっと均質化するために
いろいろな努力がされているのだろうと推測するわたくし。

産業動物の味は大きく変化しないようコントロールされていて、
常に一定程度の品質のものが流通している。

では野生動物はどうかな?

野生動物を狩ることができるのは法律で定められた狩猟期間のみのため、
精肉は秋から冬に流通し、後は冷凍されたものが流通している。

秋は実りの季節である。山にはどんぐりやあけびなどの果実が実り、
里はりんごやトウモロコシや芋の収穫時期を迎える。
夏の間、山の中で葉っぱや草を食べていた雑食性の動物は
これらの甘くておいしいものをたくさん食べて厳しい冬に備える。
(そして農家に大迷惑をかけるんですよううううう)
その結果、脂がのったおいしい肉になる。

画像 002
銀座のフレンチで食べた鹿。ニオイがきつくてダメだった。
今考えると血の匂いではなくオス臭だったのではあるまいか。
つーことは、シェフの好みなのかなあ。



駆除された夏の猪は痩せていかにもおいしくなさそうで、
尻尾にすらちょびちょびとした毛が生えていないらしいが(伝聞)、
冬の猪はぷくぷく太って尻尾の毛もふさふさになる。

これを冷凍して夏に「駆除した」と補助金もらってる輩がいるらしいが、
バレてますからそろそろやめた方がいいですよほんとに。

つーことで狩猟期間=野生動物がおいしい期間でもある。
りんごやどんぐりや芋食べてるんだもん、そりゃおいしいよね。

しかし、このようにおいしいはずのジビエが、レストランで食べて
イマイチおいしくないことがあるのはどういうわけだろう。
シェフの腕が悪いのは置いといて、その他に以下の様な理由がある。

まずそれが大人か子どもかオスかメスかで味は大きく違う。

産業動物であれば、オスは子どものうちに去勢されており
オス独特の臭みは完成した肉には残らない。また、
オスもメスもまだそれほど大人になっていない状態で肉になっており、
品質は一定に保たれている。家畜だからね。コントロールされてるの。

しかし野生動物はそれぞれが食べたものや性別、年齢による個体差が大きい。
おすそ分けでいただく猪鹿の肉がオス臭くて食えないとか
やわらかくてすげーおいしかったとかアタリハズレがあるのはこれが理由だ。

ってことで、最初の要因は「個体差」である。
若いメスかオスかなんてブロック肉になってるとわかんないからね。

次が、けっこう重要だとわたくしが考えている「狩猟方法」である。

gazou 0312
代々木上原のフレンチで食べた鹿。全然臭みがなくておいしかったなー。
どこで仕入れてんですか? って聞いたらジビエ専門の業者です
って言われたけど、もしかしたら全日本ジビエ協会の代表の会社だろうか。



たとえば、ワナにかかった野生動物がいるとする。
『狩猟読本』にできるだけ早く仕留めなくてはならないと書いてあるとおりで、
ワナにかかったその個体が暴れまくったりケガをしたりすると、
肉質がどんどん悪くなる。くくりワナの場合足一本ダメになったりする。

実はこれは産業動物も同じだ。と畜場に行く途中におびえて暴れて
どこかにからだを打ち付けたりするとそこがもう肉としてはダメになったり、
その個体の肉全体が全然売りものにならなくなったりする。
そういう場合のことを「肉がフケる」と言う。この肉は流通できなくなる。

銃で撃っても当たりどころによっては似たようなことが起こるだろうが、
ワナの方が品質低下のリスクは高い。自家消費なら問題ないだろうけど
人様に食べていただく売りものになるかどうかは疑問だ。
とくにニオイに敏感な女性なんかには嫌われそうである。

あとひとつが「猟師の処理の腕」だ。

例えば鹿を鉄砲で撃つ。すぐに放血して内臓を抜かないと
死んだとたんに内臓は腐り始め血が肉に回り始める。
「一時間もほっといたら臭くて食えないよ」と猟師のおじさまは言うが、
ここんところがきちんとできてるかどうかで味が決定的に変わる。

産業動物の場合、と畜場ではまず電気ショックで気絶させ
その後首の動脈を切ってすぐに血を抜いている。
心臓が動いている間に放血しないと血が全部抜けないから気絶なの。
死んじゃうと動脈切っても血が全部出ないのよね。

だから「すぐに内臓を抜き、できたら放血し、さらに冷却する」
狩猟の際はこれが非常にひじょーーーに大切なのである。

ということで、これらが最終的な品質を決めるのだが、
肉の塊からそれを推測するのは難しい。そしておすそ分けで
もらった肉のアタリハズレの理由は、上記の3つのなかに必ずある。

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広尾のフレンチで食べたカモのどういう理由かニオイがきつくて
どーしても食べられず持って帰った。海っぱたにいる魚を食ったカモは
魚臭くておいしくないって話を聞いたことがあるけど、そうではなく、
血のニオイだったなー。なぜハトではなくカモなのに血の味?



さてしかし。昨今ジビエとしてレストランで供されている肉は、
猟師が庭先で解体したものではなく、きちんとした施設で処理されたものだ。
平成26年、厚生労働省で「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」が定められたのだ。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/niku/jibie/files/gaidorain.pdf

飲食業者はジビエを仕入れる場合、食肉処理業の許可を持った食肉処理施設で
解体されたものを仕入れなくてはならない。だから猟師は庭先で解体した肉を
飲食業者に売ってはいけないし買ってもいけないのだ。

さらに食肉処理業者は、どこの誰(猟師)がどのような方法(ワナ・銃)で取ったか
なんていう記録もきちんと一定期間保存しておかなくてはならない。

このガイドライン制定の理由は、肉の品質向上というよりは、
主に肝炎・食中毒・寄生虫など、衛生面でのリスク低減のためである。

ここ数年ジビエがブームで儲かるからとなんとなく参入してきた業者が増え、
飲食店のなかにもあまりジビエをよく知らずに扱っている人たちがいるらしい。

そのことによる事故の未然の防止ということで定められたのだが、
そもそもそういう衛生管理は当然のことだろう!! と思うわたくし。
でも平成26年まではそうではなかったのだ。ひいー。

そうは言っても、食肉処理業者が信頼できる猟師から仕入れ、
衛生管理をきちんとして肉に加工してレストランにおろしたとしても、
なんだか臭い肉がある。
ガイドラインを守っても「個体差」「狩猟方法」「漁師の処理の腕」のどこかで
「柔らかくておいしーい!!! 」と「臭くて食えない(泣)」のふたつに分かれる。

IMG_15746.jpg
ほんたべくらぶのイベントで作ってもらった鹿肉のブルーベリー煮。
ベリーの酸味が鹿のくさみを消していてあまずっぱくておいしかった。
調理する前にオリーブオイルとハーブ類で一日漬け込むのがコツです。



つーことで、全日本ジビエ協会では食べる人皆がジビエのいいところを
楽しめるような、なんつーか指針みたいなものを作りたいと思っているのだ。
ほんとうにおいしいジビエは自分の血肉になるのが実感できるのだ。

鉄分豊富な鹿肉などはレバーが苦手な貧血女子にピッタリなのに
臭くて食えないと敬遠されるのはとてももったいないことである。。

ジビエ初心者と上級者の嗜好の違いや、肉に対するシェフの好みもあるだろうから
なかなかうまくいかないかもしれないが、現在知恵を絞り中。

できたらお知らせします。

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ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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