野生動物の資源化に挑戦! 【猟師工房】に行ってきた

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鹿角とエアプランツで作ったクラフト。なにかもうひとつ足りないって感じ。
クラフトデザイナーとつながれば大きく広がる気がするのよね。
エシカルな素材を使ったエシカルなクラフト。どうでしょう?
デザイナーのみなさま、ひとつとして同じものがないこういう素材。



「ハンターが鹿を撃ちました。その場で内臓を抜き穴を掘って埋めました。
作業場に戻って皮をはぎ肉と骨を分け、肉以外は捨てました。
鹿肉が20kgほど取れましたよ。うれしいな今日は焼き肉だ」

作業場で内臓を抜く場合はレバーやハツを食べることもあるが、
このように、鹿を一頭撃つと骨や皮などのさまざまな廃棄物が出る。
一頭50kgの鹿から取れる肉は20kg。ってことは廃棄物は30kgくらいか。
けっこうな量のタンパク質が山に埋められるか燃やされている。

駆除の場合は肉すら食われず山に穴を掘って埋められている場合が多い。
駆除の目標数が多い場合は撃ってそのままのこともある。

屍肉をあさるキツネやカラス、クマなどは喜んでいるだろうが、
ヒトの都合で生命を奪っていると考えるとうーんと思う。
でもしょうがない。回収していたら効率のよい駆除などできないからだ。

さて、野生動物の資源化とは、まず肉をどう利用するかが主になる。
現在、ジビエ利用のための加工施設は全国に200箇所ほどあるらしく、これは
地域おこしでの食肉利用を考えている自治体が非常に多いということでもある。

◯◯名物鹿肉ハンバーグとか。よく見かけるよね。
では実際にどれぐらい肉が有効活用されているか。

平成24年の数字では、北海道での鹿肉の食肉利用は年間捕獲頭数の17%とある。
(野生鳥獣によるお農業被害対策の現状と課題)農水省資料より

現在はもう少し伸びている可能性があるが、
資源化に真剣に取り組んでいる北海道でこの数字なんだから
他自治体は推して知るべしって感じだ。おそらくもっと低いに違いない。

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自然死かほったらかしの鹿をキツネやテンが食べたあと。
そのうち腐って土になります。通常は生ごみで焼却処分です。
鹿革は高級素材だけど、傷つけずにはいでさらになめす工程が大変で
やっぱり焼却処分です。ああ、もったいない。



一般的な肉として流通するために必要なのは
1.安定供給
2.衛生管理
3.卸・小売などの販売ルート の3つがあげられる。

スーパーで売ってる肉は養殖だから必要時に必要なだけ供給できる。
在庫管理もちゃんとできて急な発注にもある程度対応できる。

しかしそもそも野生動物は「毎日10頭必ず仕入れます!」的なものではないし、
日々取れたり取れなかったりするし取れても食べられなかったりする。
そのような不安定な供給状態では販売計画を立てるのは難しい。

安定供給できない=販売が難しい=一般化できない ということだ。

鹿で地域おこしをして評判になって売れ始めたら肉が足りなくなり、
よその土地から鹿肉を購入せざるを得なくなり、なんかちょっと
すげ困ってるんですけど!!! 的なことも起きる。
というかすでに起きている自治体もあるらしい(伝聞情報)。

このように一筋縄でいかない資源化は、しかし喫緊の課題であり、
全国で試行錯誤が繰り返され、もちろん今後の可能性も期待されている。

そんな「資源化」業界で面白い取り組みをしている人を発見した。
それが「猟師工房」の原田祐介さんである。

原田さんは自身も狩猟免許を持っているハンターである。

「猟師工房」は飯能市の幹線道路沿いの、裏というか周りは山で
少し歩くと鹿にバッタリ出会えそうなところにある。でも駅は近い。

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通常廃棄される内臓とひづめ、腱、皮をペットのおやつに加工して
ペットフード業界に参入予定。ヒトではなくペットをターゲットにしたところが
秀逸って感じ。100%国産、由来のわかる添加物なしのペットフードって、
すげ魅力的じゃない? 犬用の鹿ジャーキーもありますよ。

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原田さんが遊びで作ったという照明器具。とても美しいけど
配線とかがむき出しのままなので売るのは難しい。でもねえ、
鹿角にトロフィー以外の利用法があるなんて見ないと気づかないのよね。
わたくし目からウロコがボロボロ落ちましたよ。



工房では鹿の角を使ったクラフトなどを製造・販売しているが、
最近工房の近くに食肉加工場を作り、肉の販売もできるようにした。
また、狩猟シーズンには鹿の解体見学などのイベントも開催している。

解体見学イベントはわりあいとすぐに満員になってしまう人気のイベントだ。
参加者は若い女性が多いらしいがどういう理由かな。
みなハンターを目指しているのかもしれない。

原田さんの取り組みでおもしろいのは、肉、というよりもその他、
つまり廃棄されている部分を使ったビジネスを作ろうとしているところだ。

野生動物の資源化となると、普通は肉、次は革の活用を考える。
捨てている腱やひづめ、内臓の商品化は発想としてはなかなか出てこない。
とったものをとことん活用しようと思うのはハンターだからだろう。

「昔はこんなことは考えられなかったですけどね」と原田さんは言う。
数年前、ハンターの友人同士で「猟で食べていけるといいね」とよく話していたが、
単なる夢に過ぎなかった。それがここに来て様子が変わった。

まず以前から一部では深刻だったが一般的ではなかった野生動物の被害が、
9時のニュースに取り上げられるほどメジャーな情報になった。
肉の資源化を積極的に行う自治体が増えジビエはうっすらとブームになった。

そして今年。鳥獣法が改正され、それに伴い駆除がビジネスになるかもと
ハンターの世界は少し騒々しい。

猟友会をはじめ環境省が準備しているj駆除の助成金に食いつく法人は多く
自治体もこれらを利用して事業を作ろうとしている。加工場建設もその一環だ。
しかし助成金ありきの事業はうまくいかないと原田さんは考えている。

「補助金がなくなったら立ちいかなくなる事業をしても意味が無いでしょう。
10年後になくなったらどうしますか? って話です。
僕は持続可能なビジネスを考えたい。補助金をくれるならもらってもいいけど
そういうものに頼らないビジネスを作りたい。将来的には今の取り組みが
野生動物を資源化するビジネスモデルになるといいと思っているんです」

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原田祐介さん。なんでも手づくりできる人なんだろうなーと
工房の椅子とか見て思いました。千葉に大量にいるキョンをつかまえて、
皮を利用できないかとか、やりたいこと、考えていることが目白押し。
こういう人が牽引すればハンターの世界も変わっていくでしょう。



今まで廃棄されていた部分を商品にしようと考えたこと。
対象をヒトではなくペットにしたこと。この発想は相当おもしろい。
原料は裏山に迷惑なほどいるのだ。困ることはない。
しかも通常は捨てるところなのだから。

野生動物の資源化の話になると必ず「大量&安定供給」という問題が指摘される。
わたくしは「だからできないんだよね」という言葉をさんざん聞いてきて
大規模でなくても小規模でできることを考えればいいじゃないかと思っていた。

原田さんの取り組みは小規模でもできることはあると教えてくれる。
デザイナーや研究者などさまざまな人たちとつながれば可能性はもっと広がるだろう。

これからどのようにつながり広がっていくのがとても楽しみなのである。
ということで、11月7日は原田さんの取り組みの具体的な話を聞きますよ。
イベントは満員御礼となりました。報告をお楽しみに。


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Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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