「有機」についての理解度が相変わらず低いのはどういうわけだろう

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わたくしの妹の娘ちゃんが熱心に読み「これヤバっ!」
とか言ってたという『食べもの通知表』。お子様にもわかりやすいと
けっこう評価高いです。しかしいかんせん監修者のネームバリューが。。。



食べものについての講演をさせていただくことがある。

わたくしはそもそも「危険な食べもの」は流通していないと考えている。
販売されてるものは食品衛生法などの法律を順守して作られた
食べても全く問題ない品質のものだからだ。

しかしそれでも「安心できない」人はたくさんいる。

安心できない人が安心するためにはどうしたらいいか。
それは食べものがどのようにつくられているのか、
表示がどうなっているのか農薬や食品添加物にはどんなものがあるのか
なんてことを「知る」ことだとわたくしは思う。

知識を持てば誰かの言うことに右往左往することなく
自力で判断できるし、あとで後悔することもない。
自分のからだは自分が選んで口に入れたものでできるのだから、
人のせいにはできないのだ。であれば、判断材料は多い方がいい。

ってことで、昨日もそういった感じの講演をさせていただいたです。

んで、質疑応答の時間にちょっと興味深い質問をされたので、
それについて考えてみた。どちらも「有機」についての質問である。

ひとつめ→「有機でも農薬が使えるらしい。それは何度使ってもいいから
まき放題にまいてるらしいんだが、それなら慣行栽培と同じだと
雑誌の記事で読んだが、それはどうなのか」

ふたつめ→「有機の青汁を飲んだらおなかを壊した。
原料の有機ケールに虫がいたからだという週刊誌の記事を読んだ友人に
だから有機は危険だと言われ反論したかったができなかった。
なんと反論すればよかったか」

どちらも「有機なんて優位性がないばかりかむしろ危険だ」的な話である。

質問した方のバイアスがかかってると思うので、
その言葉どおりの記事がほんとうにあったのかどうかは置いといて、
「有機」についての理解度の低さは相変わらずなのだなと感慨深かった。

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「有機農産物が危険だ」と言われる理由→堆肥が危険。
寄生虫がいるので虫がわく&牛糞堆肥を使用した場合、高温で
発酵していないとO-157菌が残っていることがある。
たしかにそういうリスクはあるかしらとも思うけど。
未熟な牛糞堆肥使わなきゃいいだけだし。



最初の質問には以下の様に答えた。

有機農産物は有機JAS法という法律でいろいろなルールが決まっているが
農薬は使える。しかし使える農薬は限られており、
それらは使い方を間違えると虫がほとんど死ななかったりする、
変な言葉だが「安全性の高い」農薬である。

そもそも「農薬」については農薬取締法という法律にもとづいて、
希釈倍率や散布量、回数、使ってもいい作物が決まっており、
違反すると農薬取締法違反となる。有機許容農薬だろうがなんだろうが、
「農薬」であれば、農薬取締法で決まってるとおりにしなくてはならない。

だからまきたいだけ何度もまく、なんてことはあり得ない。

慣行栽培では散布する農薬は適用があれば何をまいてもかまわない。
ビシっと効く農薬、殺虫剤で言えば有機リン系、カーバメイト系などの
毒性の高いものや、浸透移行性の高いネオニコチノイド系農薬も使える。

これらは、有機許容農薬のBT剤のように紫外線で分解されたり雨で流れたりして
「全然効かなかったあああああ」的な農薬ではなく必ずよく効く。
そして残念なことに環境負荷も高い。

というような農薬の質(安全性・環境負荷)と回数を考えた場合、
栽培期間中はおおむね10日に一度農薬をまく慣行栽培と、
使える農薬が限られており回数もある程度決まってしまう有機を比べると
有機栽培のほうが安全性が高いと言えるだろう。

質問した方はよくわからないような顔をしていたが、
もっと「有機安全!」と断言したほうが良かったのだろうかいやはや。

青汁話はそもそも虫でおなかを壊すのかって話で
有機はあんまり関係ないようだったが、一応有機をからめてみた。

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最近めっきり老眼がすすんで、台所にいたカブラハバチの
ちーこい幼虫をゴマだと思ってちゅっとつぶしてしまったよ。
つぶれてようやく「カブラハバチだったか」と気がついたが、
目が見えなくなるとなんでも平気になるんだなー不思議。



現在日本の青汁メーカーでケールを使っている会社は少なく、
ほとんどの青汁原料は大麦若葉である。大麦若葉が有機栽培できる理由は
小さなうちに収穫してしまうからだ。小さいと虫がつかないのだね。
仮についたとしても若齢幼虫だからちーこいはずだ。

青汁は、原料作物に虫がついていたとしても、収穫後の加工過程で
小さなものなら一緒に粉になってしまうだろう。
乾燥して粉になってもだいじょうぶ。虫=タンパク質だから。

冷凍の青汁でもすり潰されてしまうから同じだ。
そして大丈夫、虫=タンパク質だから。
苦味があってもそもそも青汁が苦いから気づかない。

去年、青汁の菌の数を調べたらあまりにも菌がいないので
製造元に問い合わせたら放射線で殺菌されてたという事件があったが、
粉になったり冷凍されたりした青汁にも菌やカビはいる。

おなかを壊した原因は青汁の保存状態が悪かったか、
粉の場合は溶かした水なり牛乳がよくなかったか。ではないか。

しかしそもそもの記事内容があいまいでよくわからなかったため
「虫が入っててもタンパク質ですからおなかは壊しません」と答えたが、
それはそれでイヤーな話のようだった。

異物混入は姿形が見えるからイヤなのであって、
粉になってたら異物混入ではないのだった。
そもそも、加工品ってそんなもんではあるまいか。

それにしても、有機農産物について理解している人=日本国民の5%という
2011年のオーガニックマーケティング協会のアンケート結果から、
すでに4年経過したが、理解はほとんど進んでいないのではと
わたくしはガックシと肩を落としてしまった。

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例えばミツバチとネオニコチノイド系農薬の関連性は、
ほんとうかどうかわからないというのが現在の状況だと思うのだが、
相変わらずネオニコが原因だから規制をという人や記事を見かける。
人は信じたいものを信じ、見たいものしか見ないということか。



そして相変わらず有機を積極的に批判する人たちはたくさんいるのだった。
日本にたった4%しかいない有機農業の人たちをなぜこれほどまでに攻撃するのか、
わたくしには全く理解できないがどうなっているのだろうか。

なんてことをいろいろ考えてしまったが、
それにしても、人の話を聞くのはおもしろい。

興味深い質問をしてくださった方々、ありがとうございました。


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ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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