おひさまと雨と土とわたくし

gazou 039
自家採種した菜っ葉のタネ。ちーこいし、こぼれるしだけど、
これを一粒一粒きちんと数えてまかなきゃダメと去年言われた。
「スジまき~パラパラパラ」的なやり方をヒジョーに反省し、今年は!と思ったけど、
結局「スジまき~パラパラパ」でやっちゃいました雑だよね雑。



家庭菜園でなんちゃって有機農業を始めた28歳のとき、
人参のタネをまいて感動した。
タネをまくと芽が出てちゃんと人参になるのだ。驚きだ。

わたくしは畑をざっと耕して元肥を入れタネをまいて水をやっただけなのに
人参は勝手に大きくなってきちんと人参になるのだった。
形がよくなかったり大きくならなかったりいろいろあったが
ともかく冬にはちゃんと人参ができた。

トウモロコシや枝豆もつくったが、ことさらに人参に感動したのは、
発芽率が悪かったり、出てくる芽がヘロヘロして頼りなかったり、
抜くまでどんな形になってるかわかんないわりに、茶色い土から出てくると
ぱあっとしたオレンジ色が目に入り、気分が高揚するからだ。

そして毎回不思議に思った。
あんな小さなタネから毎回同じように人参ができる。
誰がその情報をあの小さなタネに書き込んだのだろう。

発芽させるのが難しい人参と違って、菜っ葉類、
とくにアブラナ科(大根含む)はわりあいと簡単にできる。

というかまあ、無肥料でもタネまいときゃテキトーに発芽して
生育期間も早いし失敗してもまき直しが効いたりするという
なんだかんだ手のかかる果菜類と違ってなんとなくアブラナ科ってバカっぽい。

しかしタネはとても小さく、吹けば飛ぶような大きさで
まいてる最中にポロポロこぼして変なところから発芽したりする。

わたくしの作業はすべからく雑で、もちろんタネまきも基本的に雑なので、
去年プロ農家のタネまきを見て「ぜんぜん違うじゃん!」と反省したが、
それでもアブラナ科はきちんと芽を出し今年も成育を始めた。

数日見に行かなくても、水やりは最初の一回だけでも、
なんだか知らないけど雨が降るとびっくりするぐらい伸びていて、
かぶなどはいつの間にか根っこが太ってちゃんとかぶになっているのだった。

gazou 130
果菜類の肥料が残ってるので菜っ葉は毎年無肥料で。
1週間に一度雨でも降れば、発芽さえすればテキトーに茂ります。
小松菜なんだかかぶなんだかわかんなくなるのは毎年のことです。
あまり混みすぎると白斑病が出ますから要注意です。



わたくしは地面をならしてタネをまいただけだ。
タネをまいたら勝手にできた人参と同じだ。
アブラナ科はおひさまと雨と土の力で勝手に大きくなるのだった。

毎回発芽後2週間くらいから間引き菜を食べ始めるが、
2日に一度くらいの頻度で収穫しても総量は全く変わらない気がする。
間引いたぶんだけ周りの菜っ葉が大きくなるのだろう、
だから、採っても採っても全然減らないように見える。

どこかでこういうお話読んだよな。と、ふと思う。あれあれ、あの、
グリム童話の、呪文を唱えるとおかゆがどんどん出てくる魔法の壺の話だ。
わたくしの菜っ葉は呪文を唱えなくても勝手に大きくなり、
わたくしのおなかを満たしてくれるのだった。

食べても食べても減らない菜っ葉はこのあと霜にあたって甘くなり、
凍ったり溶けたりを何度も繰り返す。そのうち茎がへちょへちょになり
葉っぱも枯れこんでくる。そうなるとわたくしは食べるのをやめ春を待つ。

春の気配がする少し前から菜っ葉は春を感じるらしい。
地面にへばりついていた菜っ葉から新しい茎が伸び始める。
マットな色調の美しい緑色の茎がぐんぐん伸びて、先端に蕾がつくが、
この蕾もまた、摘んでも摘んでも尽きることがない。

これはわたくしのために伸びるのではなく、受粉してタネをつけるためだ。
わたくしは容赦なく菜の花を摘んでどんどん食べて元気になる。

水と光と空気の刺激で発芽をしたらひたすら生育し花を咲かせタネを実らせる。
小さなタネのなかにこの設計図、生育情報が書き込まれていて、
おひさまと雨と土があれば当初の予定通りに生育する、なんていうのは
ある意味、奇跡なのではあるまいか。

土を耕し肥料を与え、虫に食われないようネットをかけ病害虫予防に農薬をまく。
収穫して美しくパック詰めして出荷して、まるで自分がつくったかのようだが、
実際には野菜は勝手に大きくなる。おひさまと雨と土さえあれば。

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一番おいしいのは白菜の菜の花だと思うけど、白菜難しいので、
べか菜をつくっとります。茎がへちょへちょになる冬は白菜の代わりにして、
春は菜の花を収穫。しかしあのちーこいタネがよくこんなに大きくなるよね。
ありがたや。ごちそうさま。



栽培とは人間が人間の思い通りに作物をつくることだ。

虫に食われてないもの、病気にかかってないものを、
また、肥料が有機質だったり化成肥料だったりするものを
農薬がまいてあったりまいてなかったりするものを、
わたくしたちはあれこれ考え評価して判断し、そして食べる。

でもおひさまと雨と土がなければ植物は育たないのだった。

鉄の塊を飛ばして宇宙に行ったり遺伝子を組み換えて有用なものをつくったり、
何でもできるような気がするが、ヒトにできることは限られている。

なんだか知らないけど好き勝手な感じでものすごーく育ってる菜っ葉を見て、
しみじみ考えた11月の夜でした。


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手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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