海外の生産者の顔も見える、石橋製油の一番絞りナタネ油

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石橋製油社長・石橋正朗さん(右)と指定OEM工場・平田産業社長・平田孝一さん。
石橋さんは今後直売所経営にも着手予定。来年4月宮崎にオープンとか。
宮崎・鹿児島・熊本界隈の農業者の皆さん、ご検討くださいませ。
ご興味ありましたらわたくしご紹介いたします。



現在日本で売られている植物油にはいくつか種類があり、
それぞれJAS規格で定められている。
「食用植物油脂の日本農林規格 (主なJAS規格値)」平成27年7月現在
http://www.oil-kensa.or.jp/pdf/JAS-kikakuti.pdf を見てみたら、
現時点では42種類の植物油脂がJAS規格で決まってるらしい。

植物油脂原料のうち、ナタネ、トウモロコシ、大豆、綿が
遺伝子組み換え作物であり、油の原料に使われている。しかし、
食用油には遺伝子組み換えの表示は必要ないため表示はされていない。

アメリカで遺伝子組み換え作物がデビューしたのは1996年だが、
1997年にはすでに、日本の製油業界は、油の原料に
遺伝子組み換え作物を使うと決めていたらしい。
実は当時、遺伝子組み換えのことを日本中誰も知らないという状況だった。

業界全体が「遺伝子組み換え原料に変更するのがあたりまえ」的な流れのなか、
あえて「遺伝子組み換え原料」に疑問を感じた人がいた。
それが石橋製油の石橋正朗さんである。

1997年、アメリカ・カナダの遺伝子組み換え作物の視察が日本で初めて行われた。
視察後、当時専務だった石橋さんは「遺伝子組み換え原料は使わない」と決めた。
現場を知らない若造が何を言うんだってな感じだったのだろう。
社長である父親を始め、幹部を含めその他社員全員に反対された。

石橋製油のある久留米市を含む筑後平野は昔からナタネの一大産地であり、
九州にはナタネ油工場があちこちで稼働していた。石橋製油はそのなかでも
一番の規模を誇る老舗の製油工場であり、地域の名士でもあった。

そういうところの後継ぎがそんなことを言い出したのだから大変だ。

最初は社員全員敵に回しながらも突っ張り続け、さまざまな取引先からの
バッシングにもめげず、石橋さんはその意志を曲げなかった。

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オーストラリアからやってきたナタネを選別しております。
工場からはナタネのいい香りがしています。国産ナタネを絞るときは
もっともっとすごく香ばしい香りがするんだとか。国産恐るべし!

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選別したあとの異物。なんかいろんなものが混じってて不思議。
豆とかさ。なんで豆? って感じ。

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選別後、ナタネを蒸してつぶします。これをあっぺんというらしいです。
これから油をしぼるらしいのです。不思議だのう。



石橋さんが遺伝子組み換え原料を使いたくないと考えた理由は
遺伝子組み換えという技術に何かよくわからない疑問を感じたこと、
巨大穀物企業カーギル、ADM、化学メーカーモンサント社の「種の支配」への危機感、
そして、原料を選択できる自由の場をつくりたいこと、の3つであった。

「原料選択の自由」はとても大切なことである。
選びたい消費者の選択肢を広げることになるからだ。
石橋さんが突っ張っていなかったら、もしかしたら日本の油は
全て遺伝子組み換え原料になっていたかもしれないのだった。

わたくしの古巣である某D社やその他NON-GM原料の油を購入している人々は
当時の石橋さんの突っ張りに感謝すべきなのかもしれない。

しかし、悲しいことに結局製油工場は縮小することになり、現在はパートナーであり
指定OEM工場でもある平田産業で非遺伝子組換ナタネ油を製造している。

ということで、ナタネ油工場を見学してきた。

現在、日本の穀物の主たる輸入国であるアメリカでは93%、
カナダでは96%が遺伝子組み換えナタネになっており、
日本のナタネ輸入量240万トンのうちのほとんどがこの2国からやってくる。

240万トンのうちのどれぐらいかわからないが、
おそらく少しだけ輸入されているNON-GMナタネはオーストラリア産である。

石橋製油のNON-GMナタネはカンガルー島を含む南オーストラリア産で、
直接現地に出向いて農家の状況も確認している。つまり、国際産直契約栽培である。

カンガルー島は現時点ではGMナタネは栽培されておらず、
南オーストラリア州は2019年まで商業栽培モラトリアムの継続を表明している。
ということでGMナタネのコンタミの可能性は限りなくゼロである。

石橋製油の油の特徴は、NON-GMナタネというだけでなく
そのナタネを圧搾した一番絞り油のみを製品化していることだ。
ナタネの油分は40%あるが、圧搾しただけでは25%の油しか絞れない。
40-25=残りの15%は油粕として肥料になっているらしい。

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ナタネを圧搾しております。油が出てきましたよ。
この油はレシチンとかの不純物を含んでおり、この後精製されます。

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絞りかすこんな感じ。このなかにも15%ほど油分が残っており、
通常はこれをノルマルヘキサンと混ぜて油分を抽出します。
最初にしぼった油と混ぜて一般的な油のできあがり。
石橋製油の油かすは肥料になり、お茶農家などに喜ばれているそうです。



一般的には40%全てを絞り取るため、一番絞りのあとの油粕に
ノルマルヘキサンという溶剤に混ぜてさらに油を抽出する。
ノルマルヘキサンの沸点は60度から80度。油分を全て抽出した後、
その油を120度程度に加熱するとほぼ揮発する。つまり最終製品には残らない。

これが加工助剤ってヤツですね。表示の義務はありません。
その後の一般的な油の精製工程は以下の様な感じだ。

絞った後の油にはレシチン(タンパク質)などの不純物が残っているため
酸を添加してタンパク質を取り除く。一般的にはリン酸・シュウ酸を使う。
合わせてその酸を除去するために苛性ソーダを添加する。
その後湯水で洗って、ろ過・脱臭して油が完成する。

石橋製油がレシチン除去目的で使う酸はなんと「酢」である。
リン酸・シュウ酸と比較して効率はかなり悪くなり、さらに苛性ソーダも使わず
湯水でひたすら洗うため、一般的な油よりも製造期間が長い。
だからお値段が割高になるのだった。

しかし、一般的な油よりも酸化速度が遅いかと言うとそうでもないらしい。

品質管理の方に聞いたところでは、酸化や劣化の速度や数値は、
ノルマルヘキサンを使った油と一番絞りとを比較してみても
それほど変わらないらしい。えええええーそうなのーって感じだ。

しかし使ってみた実感はそうではない。そこがとても不思議だ。

大手油メーカーの油だと途中で気持ち悪くなってしまうが、
石橋製油の一番絞りナタネ油で天ぷらを揚げると「油が」おいしいと感じて、
大量の天ぷらをどんどん食べられる。翌日もその天ぷらはおいしい。

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油の工程早わかりの図。原油に酢を混ぜ不純物を取り除き、湯洗い後、
カオリンを通して脱色・脱臭、そして一番絞りナタネ油のできあがり。
一般の油との違いはヘキサン、リン酸、シュウ酸、苛性ソーダを使わないこと&
一番絞りのものだけであること、でした! 



わたくしは、今回、油の酸化速度などに違いがあるのだろうと想像しており
その理由を探しに行ったのだが、理由は数値化できないのだった。

単にわたくしの思い込みなのか、感覚の数値化が無理なだけなのかわからないが、
それでもわたくしは天ぷらに市販の油は使いたくないと考える。
ふがいない園主の畑でもおいしく育ってくれる野菜たちに敬意を表したい。
という自分にしか理解できない理由だが、それでいいのだ。

そしてもうひとつわかったことは、石橋製油の油を買うと、
カンガルー島や南オーストラリア州でNONーGMナタネを栽培している農家が
たぶんうれしい
ということだ。これからも、もっともっと頑張って欲しいのだ。

石橋製油の一番絞りナタネ油は海外の農家の顔が見える。
これが一番素晴らしいことなのではあるまいか。


石橋製油の一番絞りナタネ油はここで買えます。某D社でも買えるわよ。
http://www.kenko.com/product/brand/bra_67096.html(ケンコーコム)


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ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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