「自然栽培だから腐らない」のではなく

gazou s014
「オニフスベ」という名前のきのこ。殺菌剤を一回くらいしかまかない
洋梨畑にポコポコ出ておりました。ハンドボールくらいの大きさで
食べられるきのこらしいっす。可食部が多くていいね。
きのこは菌なので、実は殺菌剤にはめっぽう弱いのによく出たね。



野菜やくだものは収穫後しばらくの間生きていて呼吸をしているが、
時間の経過とともに劣化して最終的にはしなびるか腐る。

腐る理由のひとつが収穫時にすでに病原菌に感染していて症状が出た場合。
追熟後の洋梨の肌に小さな黒点が出たかと思うと、
ぐわーっと輪紋病がでてあっという間に腐る、とかはわかりやすい。
収穫前から感染していたものが急に発症するのは桃なんかでもよくある。

野菜の場合は病気というよりなんか腐ったよねって感じのものが多い。
なぜ腐るの? と聞くと、チッソが多いものは腐りやすく、もちろん
虫にも食われやすい。と、農業関係者ならなんとなく答えることができる。

これは経験上の知識だから「なぜ?」と聞かれてもよくわからない。
作る農家がわからないのだから、消費者はもっとわからない。
でもなんか良くないよね、腐るの。ということはわかる。

だから、腐る=よくない、腐らない=いい という図式が生まれ、
腐らないことを強調する販売促進が可能になる。
「自然栽培の野菜=無肥料だから腐らない」というものだ。
無肥料=チッソ分が少ない、ということだろう。

では、チッソとは何のことかな?

おおまかに言うとチッソはヒトで言うところのタンパク質と同じで、
植物の体(葉とか茎とか)をつくり成長させる成分である。
水に溶けやすいため植物が吸収しやすいという特徴がある。

だから土中に大量にあると植物はそれを吸っちゃって軟弱に育ちやすく、
病気や虫にやられて商品にならないから農薬で抑える。
というのが「慣行野菜は危険」という理屈だ。主に有機野菜の販促で使われる。

これに対して、有機でも堆肥をアホほど入れたら同じ。というか
未熟な牛糞堆肥など使うとO157がいたりしてかえって危険、さらには
硝酸態チッソが流亡して地下水を汚染して環境を破壊する、というのが
「有機野菜の方が実は危険」という理屈で、主にネット・週刊誌で見かける。

実は有機も慣行も関係なく、チッソが過剰なら虫も出るし病気にもなるし、
収穫後は腐るため、こっちのほうがすんばらしいんだからね!!! なんて 
栽培方法で分けるのは全然建設的でなくて対立を深めるだけなのだが、
なんとなく説得力があるせいかこの情報が絶えることはないのだった。

画像7
有機の畑に行くと時々見かける幼虫のミイラ。
リョッキョウ菌に寄生されて死んでおります。殺菌剤まいてると
絶対に出ないので、見つけるとけっこううれしいです。
というように、菌はそこら中にいるんですなあ。



さて、そこで。わたくし最近微生物のお勉強をしているのだが、
チッソ分が多い=腐るのは「共生微生物によるもの」だと知った。

植物の内部には微生物がたくさんいて共生関係を結んでいる。
植物に微生物が入るのは、土の中からが多数だが空気中からも入る。
微生物に対して植物はかなりの障壁を設け、きちんと取捨選択しているらしい。

この微生物には、植物が排泄するメタンやメタノールなどを食べるものと、
アミノ酸や糖を食べるものがいる。わかりやすく言うと、前者が善玉菌、
後者が悪玉菌とも言える。中には日和見菌みたいなものもいる。

食べるものが違うので2種類の菌は植物内部で共存しているが、
アミノ酸や糖を食べるものが優位になると野菜は腐る。
この共生微生物のバランス、つまり植物の微生物制御を決めるのが
土中のチッソ濃度であることが最近わかってきたらしい。

チッソが多いと植物と共生する善玉菌の割合が減り悪玉菌が増えるから、
結果的に腐る野菜になるのだった。
慣行栽培だろうが有機だろうが土中のチッソが多ければ腐るのである。

また、このしくみには土中に完熟堆肥が投入されていることが大切らしい。
堆肥は腐りにくい野菜をつくる=善玉菌の割合を増やすために優位である
ことが最近わかってきた。完熟堆肥を投入すると土壌中の微生物相が変わる
という研究結果があるのだった。

完熟堆肥はチッソ分の吸収をコントロールしているのかもしれない。

さらに言うと、農薬も土中の微生物相に影響を与えることがわかってきている。
除草剤や土壌消毒剤、農薬の使用により、善玉菌が減り悪玉菌が増えるのだった。

ということで。腐りやすい順番を考えてみた。

1.堆肥なし、化学肥料&土壌消毒剤等農薬使用。
2.堆肥あり、化学肥料&土壌消毒剤等農薬使用
3.チッソ分多い堆肥ドッカーン、化学肥料なし&農薬少量、あるいはなし
  堆肥あり、化学肥料あり、農薬少なめ 等々
  ※バリエーション多数のためここに入るものがめっちゃ多そう。
4.堆肥あり、農薬なし または自然栽培

gsazou 075
河原の草を摘んだだけの完熟堆肥でおいしい野菜をつくる人がいます。
分析してもチッソは全然出ないので、土中に微生物が大量にいて
チッソやリン酸の供給をしているんだろうって想像していたけど、
最近読んだ本にその通りのことが書いてありました。お勉強って大事ね。



条件としては完熟堆肥の有無が重要みたいだが自然栽培はどうだっけ?
よくわからないが、チッソが非常に少ないって前提で4にしてみた。

ちなみにほんたべ農園は堆肥ではなく粗大有機物のみの投入のため、
どこに入るのか不明だ。しかしできた野菜は腐らないからいいのだ。

ということで「自然栽培だから腐らない」というよりは
「適正なチッソ分で栽培され共生している微生物バランスがいい野菜」が、
腐らないのだった。ううううう、大変とてもわかりにくいんですけど。

結局は有機も慣行も自然栽培も関係なくてつくる人によるということだろう。
栽培が上手な人の野菜(作物)は腐らないのである。

しかしこれではキャッチーな販促コピーにならないのだった。
「俺にまかせとけ!!!」とかどうかな? いや、おっさんくさいか。
うーん困った。誰かステキなコピーを考えてください。


★現在ブログランキング参加中です!
↓プキッとクリック、ご協力お願いいたします!



こちらもよろしくお願いいたします!
にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ
にほんブログ村


関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

ご馳走様です!W
楽しく拝見させていただきました。
あ、ブログもよろしくお願いいたします!
…まだはじめたばかりでして汗

シェアさせてください

すみません。FBで自分用にシェアさせて頂きましたm(__)m
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
リンク
FC2ブログランキング
FC2ブログランキング参加中

FC2Blog Ranking

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR