なぜ人は売り場で野菜やくだものを触ってしまうのか考えてみた

momo 036
先日近所のスーパーで片っ端から桃を押しているおばあさまを見かけました。
ただ押すことを楽しんでらっしゃる感じで心が病んでるのかしらと、
チキンハートのわたくしは注意できなかったす。激しく反省中。



近所のスーパーがリニューアルオープンした際に聞いた話。

米国のスーパーを視察に行ってディスプレイが美しいのに感銘を受け、
くだもの売り場のディスプレイを米国式にした。

一般的に日本ではくだものはトレイに入れてラップでくるまれることが多い。
それは過剰包装だし何よりも見た目がステキにならない。
というので、裸のくだもの(変な表現だね)をそのまま並べることにした。

日本ではどういうわけか客は売ってるものをやたらと触る。
くだものはとくに顕著だ。3~5回触っては棚に戻し手に持ってあれこれ考える。

りんごも桃もなりもとやお尻の色を見ないと熟度はわかんないし、
そこはだいたいトレイに隠されているから絶対見えないと思うんだが、
あれこれ触って何かを確かめ、触って選んで気が済むとひとつカゴに入れる。
たぶん自己満足だと思うが、本人はいいものを選んだ気でいる。

スーパーで何もかもがトレイに入っているのは客が触るからだ。
触ることで劣化するデリケートな、例えば桃なんかはスーパーとしては
絶対に触ってほしくない。が、みんな触ってしまう。

つーことでこのスーパーでもそこが一番懸念されていた。

りんごがうず高く積まれているとして下から抜かれるとどうなるか。
りんごがガラガラと崩れてしまうのではないか。
それよりも触られまくったりんごの劣化が心配だ、等々。

社内でずいぶん議論されたようだがとくに大きなトラブルはなかったらしい。
昨日行ってみたらりんごがうず高く積まれていたが、
客は上から順番に取っていた。その売り方が定着したのだろう。

スーパーで一日にどれぐらい青果物を仕入れているのかは不明だが、
軟弱野菜はだいたい当日か前日入荷ではないか(収穫はその前日か前々日)。
棚持ちするくだものは数日前に入荷している可能性もあるが、
早取りされているためそもそも熟度は変わらない。つまりほぼ一緒。

昨今野菜はコールドチェーンが徹底されているため、
鮮度も品質もそんなに大きく変わらないと思うのだが、
みんな野菜を手に取り、ためつすがめつして戻し、また手に取る。なぜだ。

客はいつからこのように触りまくるようになったのか。
つーことで、触りたくなる理由について考えてみた。

gazou 004
このつがる、スーパーに置いてあってもわたくしは買いません。
緑色が抜けていない=粉っぽくておいしくないからです。
しかしそもそもりんごの熟度は色ではなくお尻で確認するため、
トレイに隠されてて見えません。だから触っても何もわからないの。



わたくしが幼いころはまだ、近所に数軒八百屋があった。
八百屋の店先でベタベタと野菜を触る人はあまりいなかった気がする。
触るとおっちゃんに怒られるし、触るほど品数も多くなかった。

近所のおばちゃんが「今日は何がいい?」とか聞くと
八百屋のおっちゃんが手にとって「これがオススメ!」などと言う。
毎日何かいいものがちゃんとあるのが不思議だがどういうわけだったのか。
そしておばちゃんは手渡しされたものをそのまま買うのだった。

良くないものを売ればすぐに噂が広まって客は来なくなるという
シビアさもちゃんとあって、そのあたりは今よりも厳しかったが、
(実際近所の八百屋に母はよほどのことがない限り行かなかった)
お気に入りの八百屋のおやじが選ぶものは基本的にはいいものという認識だった

また、食べものを買う「場」には常に会話が存在していた。

お肉屋さんも魚屋さんも基本的に毎日「いいもの」がありそれを勧めてくれる。
時々おまけしてくれたりもする。客と店の間は非常に近くて、
信頼関係が自然と生まれた。子ども同士が小学校の同級生だったりするしね。

さて、現在はどうだろう。

スーパーマーケットにこのようなコミュニケーションは存在しない。
野菜売り場の品出ししているおばちゃんに商品のことを聞いても
はかばかしい答えは返ってこないだろう。

客はただ並べてあるものを自力で選ばなくてはならない。しかし不安だ。
だから騙されないよう、よくわからなくても儀式として触ってしまう。
いくつか触ると心が落ち着きいいものを選んだ気になる。
のではなかろうか。

店と客の間は非常に遠くなってしまっており、客は店を信頼していない。
だから触って「あなたを信頼してないわよ」とアピールしているのだ。
ギスギスした話じゃありませんか? やーね、ほんとに、もう。

gsazou 008
マルシェって出店側はあんまり儲からない気がするけど、
買う側は楽しいよね。新しい八百屋の形態ってことかな。
そういえばマルシェで商品をベタベタ触る人、あんまりいないかも。


しかし現在でも触らない・選ばない買い方を選択している人たちはいる。
某D社とかR社とかO社とかで野菜を宅配で購入している人たち、
農家から産地直送で買っている人たちである。

彼らは触らず、選ばずとも平気で、届いたものを粛々と受け入れている。
なぜだろう?

例えば某D社でわたくしはりんごの担当を長いことしていたが、
りんごの色に関するクレームを一度も受けたことがなかった。

某D社ではりんごの葉摘み(色づきを良くするために葉っぱを積む作業)を
最低限しかしない産地もあったから、りんごはまっかっかではなかった。
スーパーではりんごはまっかっかでないと売れないが、
某D社の消費者はまっかでなくても全然問題だと思っていないようだった。

もちろんそういった情報つきで販売しているということはあるし
宅配なんだから選べないし色など確認できないのはあたりまえなのだが
これに気づいたときわたくしはちょっと心底驚いた。

その「もの」の品質を見ているのかもしれないし、某D社、あるいは
作ってる農家を信頼しているということかもしれなかった。
ここでひとつの結論が出る。スーパーは信頼できなくても直送はOKなのだ。

これはつまり、買う側と売る側のコミュニケーションがあるかどうか
ということなのではないか。

作っている人のことを知れば疑心暗鬼にはならないものだ。
知り合いの八百屋のおやじが変なものを売るはずはない、
というような闇雲な安心感、信頼感が直送にはある。

生産側もいいものを送らないと直接クレームに繋がるから、
いいものを送ってくれるし時々はおまけもついてきたりする。
それがまたさらにうれしかったりするのだ。

こういった昔ながらのコミュニケーションがある「場」には、
いろいろな可能性があるのではないだろうか。
なんか産消提携とか過去の有機農業運動的な感じでうへえって気もするが、
最近ではそれがいいのではないかしら、なんて思ったりしているのです。


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チェック

桃とかの超デリケートなものをつついたりはしませんけど、一般的なものは状態を見る確認はしますねぇ。というのは、確認しないときに限って、傷んでいることがよくあるからです。みんなが手に取るから傷むということもあるかもしれませんが、輸送中の衝撃や時間経過で傷むことも多く、箱出しで陳列する朝市でも見かけますから。近頃は、売る側も並べる際によく確認しない、並べたものの劣化も十分にチェックしないのではないでしょうか。見つけたら、店員さん呼んで教えてあげますけどね。マルシェでも、傷みの早いものや、収穫調整時には気づきにくいポイントはチェックして買わないと、傷んでいることがありますね。

経験を積めば、商品ごとに傷み方も分かるし、店の管理状態もわかるので、チェックすべきポイントは分かると思いますが、おばさんが桃をつっつくのは認知機能が低下している気がしますね。

余談ですが、スーパーでPOSデータの価格が違っていることがよくあります。幸い、POPの価格はだいたい覚えてますし、携帯で金額を計算しながら買い物をしているので、違っていたら確認してもらいます。半端な金額の30%引きとかは困ります。

Re: チェック

H2さん、こんにちは。


>
> 経験を積めば、商品ごとに傷み方も分かるし、店の管理状態もわかるので、チェックすべきポイントは分かると思いますが、おばさんが桃をつっつくのは認知機能が低下している気がしますね。

店によって触る人が多い少ないあるみたいですねー。

>
> 余談ですが、スーパーでPOSデータの価格が違っていることがよくあります。幸い、POPの価格はだいたい覚えてますし、携帯で金額を計算しながら買い物をしているので、違っていたら確認してもらいます。半端な金額の30%引きとかは困ります。


細かいですねー。
全く気にしたことないです。というより、そもそもスーパーで1000円以上の買い物をしてないというか。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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