きのこという生きものの不思議

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毎年まつたけは居酒屋とか料理屋で土瓶蒸しとかごはんとか食べます。
自分で料理することなどめったにありません。買わないからです。
しかしまれにいただいたりすることがあります。その際に
「わー、菌根菌もらっちゃった!」とか思う自分がちょっとイヤです。



わたくしはきのこが好きだ。

好きっていうのは、カモノハシとかハリネズミが好き!ってのと同じで
生きものとして非常に魅力的だと思うが食べものとしてはそうでもない。

わたくしがきのこを好きな理由は、野菜みたいに栽培されたりするくせに、
実は「菌」で非常に変わった生き方をしているところにある。

その証拠に「きのこ」とかかわいい名前で呼ばれるが、実はあれは
「子実体」という菌が胞子をまき散らすために発生させる器官であり
言ってみれば生殖器のようなものである。

わたくしたちは子実体とともにおそらく胞子も食べているに違いない。
だからきのこを食う=菌を食うってことでもある。
だからきのこを生で食うなんてそら恐ろしい気がするが
マッシュルームを生で食うステキな奥さんとかいらっしゃるのだ。

ひいー、コワイよう。

レイ・ブラッドベリの『ぼくの地下室においで』とか
昭和の名作映画『マタンゴ』(水野久美が美しい)のように
きのこを食べてその菌に汚染され、体を乗っ取られ、もしかしたら
違う生きものになってしまったりするかもしれないとか思うと
うぎゃあああおう!!! とか叫びたくなるが、みんな違うのかな。

違うか。

さて、そのへんは置いといて。
きのこにはおおまかに言うと腐生菌と菌根菌の2種類がある。

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原木シイタケって雷が落ちると発生するんだって。
あとホダ木をビシっと叩いても発生するとかで、もしかしたらあの
「ホクトプレミアム!!」と叫ぶと発生するCMってなんか
この逸話を知ってる人がつくったのかもと思わないでもない。



腐生菌のなかにもいろいろな種類がいるが、
朽木を分解して栄養を取り生育するきのこを木材腐朽菌と呼ぶ。
この代表選手はシイタケやエノキダケ、ヒラタケなど
現在スーパーで販売されている栽培品種である。

ちなみにマッシュルームは牛とか馬の糞に発生するきのこで、
糞生菌と呼ばれるんだけど、そう聞くとなんか生で食うとかいう
マッシュルームの魅力が半減する気がするけどまあいいかわたくしは食べないし。

現在のマッシュルームは堆肥で栽培されているようである。

木材腐朽菌の栽培は人工的に作られた培地で行われ、菌床栽培と呼ばれる。
培地には栄養剤なども添加されるため、栽培きのこは生育が早く、
とくにシイタケは味が淡白でなんつーか歯ごたえもなくて培地の味がする。

シイタケ嫌いの人はこの培地のニオイがキライな可能性があるから、
原木栽培のシイタケを食べてみるといいかもしれない。
ちなみにわたくしがそうでした。菌床のシイタケは今もキライです。

原木シイタケは1年から2年かけてホダ木に菌を充満させて発生するが
(その間ホダ木を水につけたり場所を移動したりですごーく大変)、
菌床栽培のシイタケは180日で出てくる。しかもなんかでかい。
でかいから得した気分になるが、食べてみると細胞が粗くて
味が薄くて培地の味がして、以下同文(しつこい?)。

きのこ(子実体)は胞子を飛ばすために出てくるので、
栽培品種でもかさの裏から胞子を取ろうと思えば取れるが、
品種登録されたきのこの自家増殖は種苗法で禁じられている。

わたくしの知りあいのきのこ農家は山に行って珍しいきのこを見つけ、
その胞子を取って培養し交配させてオリジナルきのこを作っていた。
きのこはそういうことができるからおもしろい。
そういうことに血道を上げている人もいた。とてもおもしろい。

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菌根菌の代表選手・まつたけ。毎年同じところに発生する、
とかいう噂を聞くけど、見たことがないから不明。天然のきのこって
キノコバエの幼虫が潜んでたりして見つけると一気に食欲がなくなるが、
そういう人は天然きのこを食べてはいけないのでしょう。



さて、もうひとつの菌根菌の代表選手は、マツタケや松露、トリュフである。
どれも非常に貴重で高価なのは自然発生したものしかないからだ。
植物の根っこと共生関係にある菌根菌のきのこは人工栽培ができない。

そう言えば以前、鳥取砂丘の防風林(松)で松露がよく取れたらしいが、
数十年前からバッタリと取れなくなったと親戚のおじさんが言っていた。
天候のせいか、マツクイムシ防除のせいかしらとか思ったりするわたくし。

というように菌根菌の子実体は気難しいのだった。

ところで冬虫夏草とかナラタケのように、一方的に栄養を奪取して
相手を殺す、あるいは枯らしてしまう菌は寄生菌と呼ばれる。
これらはきのこだけどヒトにとっては木の病気と受け止められている。

しかしナラタケはそもそも朽木を好む木材腐朽菌であるのに
なぜか吉野の桜に寄生し桜をバンバン枯らしているらしいのだ。
なんでそんな違う性質が突然出るわけ? 的なところが
きのこの不思議であり、なんとなく不気味なところでもある。

あと、ナラタケっておいしいんだって。そのへんもさらに不気味だ。

さて、ここで問題提起。

某D社時代にきのこの勉強をした際に読んだ本に(題名も著者も失念)、
ヒトがこのように通年でさまざまなきのこを大量に食べるようになったのは
現代が初めてだそうで、こんなに菌を食べて大丈夫かどうか
実はわかっていなくってちょっと心配、的なことが書いてあった。

トンデモな人が書くならトンデモネタだが、これを書いたのは研究者である。
わたくしは少しビビった。

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菌床栽培のシイタケはこういった人工の培地で栽培します。
ホダ木をあちこちに移動させる的な手間はかからず楽ちんなので、
あと安いので、菌床シイタケしか売ってないスーパーは多く
原木シイタケは絶滅危惧種になりつつあります。



たしかに栽培品種のきのこがやたらと増えたのはここ数十年で
それ以前はシイタケとエノキダケしかなかった。
このふたつは江戸時代から栽培されている歴史あるきのこだが、
タモギタケとかハナビラタケとかはそうではない。

も、もしかしてマタンゴ的なことになったら・・・どうしよう。ううううう。

つーことで、先日上杉景勝(遠藤憲一氏)がマツタケ名人に扮するCM
「ホクトプレミアム!!」を見て思わず霜降りひらたけを買ってしまったが、
あのCMのようにきれいな奥さんになってしまったらどうしようとか思うわたくし。

い、いや、いいのかそれは。

わたくしは『マタンゴ』とか『ぼくの地下室においで』とかのせいで
からだがきのこの菌に乗っ取られるという変な妄想に取り憑かれていて
そんなにきのこ(を食べるの)が好きじゃないのかもしれない。

なんてことに急に気づいたいつまでもクソ暑い秋の夜でした。
まつたけごはんはおいしかったです。


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ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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