しなびる野菜は安全?

青森県で無農薬りんごを栽培している有名な方がいらっしゃいます。
何年か前、NHKの番組で紹介され、一躍有名になった木村さん。

某宅配会社で果物産地の担当をし、
かなり先進的な技術を持っているりんご農家を見てきた経験から、
すごいことする人がいるもんだ、と感心しました。

低農薬栽培を目指すりんご農家ならだれでも「ひょっとしたら無農薬で栽培できるかも」と
ふと思う瞬間があるのではないでしょうか。

私の知り合いのりんご農家で、一年だけ実験した人がいました。

その年はとりあえずりんごはなったけど、売れるりんごはなりませんでした。
そして翌年・翌々年と一年目の無農薬がたたり、
葉は病気で落っこちて花は狂い咲き、りんごの実が普通になるまでにそれから3年かかったそうです。

「それでは家族を養っていけない。だから、無農薬栽培を諦めざるを得なかったんだけど、
自分は辛抱が足りなかったのかもしれない、収入が減ってもがんばればよかったのかも」と、
木村さんの番組を見たその農家は言っていました。

そういうことを知っていると「無農薬のりんごがなぜ作れないのか」という質問に
返答するのに少し困ります。
「りんごは無農薬で栽培するのにむいていないから」と答えるようにしています。

さて、NHKの番組中で、木村さんのりんごが一年経っても腐らずに、しなびていくという紹介がされていました。
安全性の象徴としての「しなび」の紹介のようでした。

農薬を使用したりんごでも、しなびていくりんごはあります。
小玉のりんごほどしなびていきやすいという傾向もあると思います。
自分の担当している産地のりんごが、冷蔵庫でひからびてしまうのを何度も見ました。

しなびる=安全 じゃないと思うんだけどな~。

しかし、「しなびるりんご・果物・野菜は安全」
昨今そんな風に言われていることもあるようで、時折質問されることがあります。

基本的に野菜や果物が腐るのは、そこに含まれている窒素分と水分の問題だと考えています。
上手な農家が作った野菜は、腐らずにしなびます。
誰もそんなことに気づかないのかな? 野菜をふだん見ていないのかな?

何か最近、極端な情報が独り歩きしているような、一方的なものの見方で情報が流れているような、
そんな気がして怖いのは私だけでしょうか。


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No title

マスコミはキャッチーな情報になんでも変えてしまうのでしょうね、
しなびる野菜は安全、腐る野菜は農薬というような
図式はほんとはなくて、もっとあいまいなものなのですね。
植物も動物も生きているもののことはぴったりした図式ではなかなか割り切れないものが多くて、無理やり当てはめるとウソが入ってしまうのかも…。
現場を見てきたほんたべさんならではの見方をこれからもお願いします!

情報にまどわされないように

しなびる野菜は安全って言われると「なるほど~」と思ってしまうのは、
わかりやすいからなんですよね。
でもそれが本当なのかどうか、きちんと見極める目も必要なわけで。

あいまいさと多様性…それが生きものの世界のような気がします。
これからもがんばります!
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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