新年に思う、某D社とOisixの経営統合の件

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

年末に某D社とOisixの経営統合というすごいニュースが入ってきましたが、
よく考えてみたら自分的にはスゴイけど、世の中の人の多数には
そうでもないかもしれないなと思ったりする今日このごろですが、
みなさま、新年はどのようにお過ごしでしょうか。

あ、ちなみに某D社とはわたくしが18年ほど勤めておりました
(株)大地を守る会のことで、今年の秋にはこの社名はなくなるらしいです。
聞き及んだところでは、Oisixの社員の方は社名がなくなると聞き、
涙を流した方もいたとか。ううううう、なんてステキなんだ。

大地を守る会の社員にはおそらくそういう人はいなかったでしょう。
なぜなら入社して少しすると「宗教か!」とかお友だちに言われたりして、
大地を守る会って名前、ヤダなーと思う人が多いからです。

Oisixの社員の方は自社の(社名の)ことを愛しているのだなと
しみじみ感じ入ってしまいましたよ。

さて、Oisixの社長・高島さんという方をわたくしはよく知らないが、
2009年に行われたグリーンエキスポで講演を聞いたことがある。

いくつか感銘を受けた内容は以下のようなものであった。

1.Oisixは消費者が楽しい食卓を演出するためにある
2.生産者を評価するしくみを持っている
3.WEBのTOP画面には個人ごとに出て来る商品を変えている

まず1でわたくしは長年Oisixを誤解していたことに気がついた。

大地を守る会は生産者と非常に緊密なやり取りをしていて、
週に一度は絶対に電話するし、何かあればすぐ行く(当時は)。
農家の親子関係とか知らなくてもいいことまで知っていたりして
他社にはできない生産者との関係性を持っている会社だ。

こういう関係性に裏打ちされた生産者情報は大地を守る会のキモだが、
情報媒体は当時主に紙しかなかったため、出せる情報には限りがあった。
紙媒体は原稿締め切り→印刷という流れを踏むため、
情報を出すのに最短で1週間かかる。また限られた紙面には文字制限もある。

わたくしが産地担当をしていた当時、担当産地の数カ所がOisixと取引していたが、
2002年頃、大雨だか台風の被害が出たとき、わたくしは紙とWEBの違いを痛感した。
産地の状況を聞いても消費者にリアルタイムで伝えるすべがないわたくしは
Oisixのサイトでその生産者の被害状況がUPされているのを発見した。

「やられたー」と思ったのと同時に非常にうらやましくなった。
ああ、WEBという媒体のメリットってこういうことなんだ、と思った。

紙媒体ではないから文字数に制限なく情報は出し放題である。
そして、その情報の内容は愛にあふれていた。
あとで産地担当が書くのだと聞き、さもありなんと思った。

大地を守る会の一番いいところであるはずの情報を
Oisixが自由自在に扱っているのをまざまざと見せつけられ
大地を守る会のいいところを全部持っていかれたような気がした。

しかし生産者情報をバンバン出すから生産者のことを考えている、わけではなく
複数の生産者から「Oisixって大地みたいな作付契約はないのよね」とか
「急に今年はいらないって言われたのよね」とか聞いていた。

そういうのってどうなのか、それでいいのか!!! 
有機農業運動にどっぷり首まで浸かっていたわたくしは
Oisix許せん! と思った。

そして、大地を守る会を辞め高島さんの講演を聞いた2009年に、
その理由及び妥当性がわかった。わたくしはOisixを誤解していただけであった。

WEBに生産者情報を出すのは生産者のためではなく消費者のためである。
生産者情報がふんだんに出る=生産者のことを考えている、と
大地イズムでわたくしは勝手に勘違いしていたのだった。

何もかも「消費者の楽しい食卓のため」と考えると
すべてのことに筋が通っていた(2009年時点。その後はよく知らないの)。
それは2の「生産者評価のしくみ」にも通ずる。

「オレのトマトは世界一おいしくてよう!!」と自慢するトマト農家に
「他の人のトマトを食べたことあるか?」と聞くとだいたい「ない」と言う。
世界一おいしい(自称)トマトは基本的においしくないことが多いが、
そう指摘しても「おまえにわかるか」とかで聞く耳を持たない生産者は多い。

食味の評価は数値化がむずかしく客観的な評価がしづらいものだが、
Oisixでは「消費者の投票」という非常にわかりやすい評価軸を設定し、
さらに上位の人々を年に一度表彰するというイベントも行っていた。

上位生産者には翌年の作付が優先されるし、皆の前で表彰されれば
生産者のモチベーションは上がる。「おまえにわかるか」的な文句も出にくい。
「消費者」というツールを使って生産者を客観的に評価するしくみをつくるとは!

すげーなー!!! とわたくしは素直に感動した。

食味も品質も悪い大地を守る会の数名の農家の顔が頭に浮かび、
大地でなぜ思いつかなかったのか!!! と自分の頭のかたさを悔やんだ。
こういうのって簡単そうに見えてなかなかできない。
何もかも新しい考え方のようにわたくしには思えた。

大地を守る会は老舗であるぶん生産者とのつきあいが長く、
生産者に寄り添っているからこそできないことが多い。
しかし今は「有機農業」ではなく「オーガニック」な世の中である。

老舗の流通や生産者はまだ「オーガニック」に乗り切れておらず
有機農業運動的な頭でものごとを考えがちである。
生産者を評価するという一点だけでもじゅうぶんにやりきれてはいない。

それは「生産者に寄り添う流通が評価などもってのほか」的な
深層心理によるものだろう。消費者のメリットには全くならないのだが、
産地に寄り添いすぎてそのような判断ができなくなっているとも言える。

今回の経営統合は、消費者のためだけを考えているOisixと
生産者ありきの大地を守る会という真逆の方向を向いているふたつの流通が
一緒になるという、客観的に見てもどうなっちゃうわけ? 的な
不安をめちゃくちゃかきたてるものでもある。

しかし、設立以来40年有機農業界に君臨してきたのはいいが、
いろいろなところでサビつき、ほころびも見え少し加齢臭がする大地に、
新しく、非常にイキのいいOisixの風がびゅんびゅん吹きこめば、
考え方やしくみが柔らかくなり、刷新されるのではないか。

どちらにもそれぞれにないものがあり、いいところがある。
うまく合体できれば良いものになるはずだ。

さらに、大地を守る会にはOisixが持っていない素晴らしいものがある。
今までじゅうぶんに評価できず活用もできていないが、
「ほんとうにおいしいものをつくる個人農家」である。

消費者会員数の多い大地を守る会ではできなかった、この宝石のような
「おいしいものを作る人たち」限定の野菜やくだもの販売など、
WEBだからこそできるさまざまなことがあるはずだ。
もちろん情報の出し方も同じだ。

わたくしはふたつの真逆の成り立ちを持つ流通が合体して起こる化学反応を
今からとても楽しみにしているのだ。ワクワク。

そして大地を守る会はいいところをきちんと主張してOisixに飲み込まれないよう
社員の人々に今少しがんばってもらいたい気もしております。

あと今までおいしいものを作ってこなかった生産者の人たちは
少し危機感を持ったほうがいいかもしれません。
食味及び品質を、よりシビアに評価されることは間違いないと思う次第です。


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初めまして

たまたま見つけたブログですが、ハッとさせられたので…

数年前までDの宅配を頼んでました。
長年使っていたのにやめたのですが、
それは配達してくれる人に商品に対する愛情が感じられなかったところが大きかったからです。
人が変わっても、大方無愛想で、何かこう取りつく島がないというか。

美味しい野菜も多かった中、そうでないものももちろんありました。
果物に関してはとてもレベルが高かったと多見ます。

自分で家庭菜園をやっていて、
見た目は悪いけれど美味しい、っていうのは本当は違うのではと思っています。
のびのびと見目よく育ったものの方がおいしい!
擦れた傷なんかは別として、
見栄えが悪いのにはそれなりの理由があるんだって思うんです。

oisixは消費者目線だけにその辺りはよくわかっているのではって思います。

雑文になっちゃいましたが、
安いから、ではない安心安全、かつおいしい食材を食卓に乗せたいですね。

Re: 初めまして

はじめまして、遅レスすみません。
コメントありがとうございます。



> それは配達してくれる人に商品に対する愛情が感じられなかったところが大きかったからです。
> 人が変わっても、大方無愛想で、何かこう取りつく島がないというか。
>


配送の方は社員ではないので、そんな感じの人はいらっしゃるかもしれませんねえ。
ウチに来る方はステキな方なので、人によるのでしょう。


> 美味しい野菜も多かった中、そうでないものももちろんありました。
> 果物に関してはとてもレベルが高かったと多見ます。


大地を守る会の基準でくだものをつくるのは至難の技なので、基本的な上手な人しか契約していません。
ということで、とくに落葉果樹類はおいしいと思います。


>
> 自分で家庭菜園をやっていて、
> 見た目は悪いけれど美味しい、っていうのは本当は違うのではと思っています。



台風などでスレができたりする場合の見た目は別ですが、病気や虫には原因があります。
虫の取り分以上に虫害のあるものは、見ためはもちろんですが、味もあまり良くないのではと思っています。



> oisixは消費者目線だけにその辺りはよくわかっているのではって思います。
>


Oisixさんの基準は大地を守る会とは比較になりません。
農薬その他についてきびしーい基準があって農家がしみじみ「よくこれでできるね」なんて言われる大地を守る会とは全然違います。

また、農家との作付契約がなかったり、栽培履歴もきちんと確認していない等々その他のシステムも大きく違います。
これが「消費者の楽しい食卓のため」ということです。
特別な農家については作付契約があるようですが、それ以外は急に「今年はもういりません」的な感じです。

農家にとってこれはかなり手痛いというか、売り先として当てにしていて準備していたものがゼロになるわけですから、かなり厳しい話です。
大地を守る会は前年に作付契約をしそのぶんは必ず買い取りますから、農家にとっての印象は全く違います。

だから大地は好きだけどOisixはちょっと、、、という農家がいるのです。
生活がかかってるのだからまあ、当然だとは思います。

消費者の方にはあまり見えない部分だと思うのですが、基本的に大地を守る会には安心して食べられる食材をお届けするシステムがきちんとありますから、価格とか見た目とかの単純な比較で論じるのはちょっとむずかしい気がします。



プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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