ビオセボンに行って考えたオーガニック需要のこと 前編

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冷蔵ケース内の野菜はパックに入ってますが、水菜が一株で売ってます。
ことさらにしおれがちな水菜をなぜパックに入れないのかが謎。
しかしこれを見て野菜をパックに入れる意味がしみじみとわかりました。
過剰包装と言われても軟弱野菜は基本的にパックに入れるべきでは。



わたくしは大地を守る会にいた18年の間、産地担当を約6年、
商品情報誌及び機関誌の取材・デザイン・編集を12年担当しておりました。
その間学習したいろいろなことを前提に自分自身が食材を選択する場合、
以下のような事柄を基準に考えております。

・野菜・くだものの場合
つくった人のことを知っている&その人を尊敬してる・好きなこと。
それ以外の場合、まず国産、次が有機か減農薬、その次が世田谷区のもの。
海外産の場合はオーガニックかフェアトレードのもの

・加工品の場合
まず国産。次がおいしいこと、というか自分の口に合うこと。というか
加工品は知ってるメーカーのものしか買わないと言ったほうがいいかも。
海外産の場合はオーガニックよりもフェアトレードが優先。

というような偏ったわたくしの感想であることをまずお知らせしておきます。
そんな感じでビオセボンに行ってきました。

ビオセボンはわたくしが一年に一度行くことがあるかどうかという
麻布十番という町にあります。

麻布十番の7番出口を出たら目の前に「塩や」という塩の専門店があり、
ソフト部のわたくしはそこで塩ソフトを食べてしまいましたが、
ビオセボンはその横の道を2分ほどまっすぐ歩いたところにありました。

平日の夕方という時間帯、ビオセボンには10名ほどのお客様がいましたが
塩しか売ってない塩やに7~8名のお客様がいらっさったことを考えると
うすらさみしい気がしましたがなぜこんなに客がいないのかは不明です。

お店に入ってまず目を引いたのは、
オーガニックドライフルーツ及びナッツの量り売りでした。
ドライフルーツ及びナッツが大好きなわたくしは少しウキウキし、
マンゴーにオーガニックがあるんだーとか感動してしまいました。

野菜はオサレな木の棚にオサレな感じでディスプレイされていて(常温)、
ここでもわたくしはウキっとしました。
「マルシェ」的なディスプレイがさらに期待をあおります。

なぜか野菜の袋に小さな水滴がついているのが目に止まりましたが、
その場ではスルーしました。期待が大きかったからかもしれません。

加工品の棚で一緒に行ったお友だちが「ダシ切らしてたから助かったー」と
わが町の自然食品店にもある創健社のだしパックを手に取りました。
加工品の充実度はハンパありませんでしたが、もともと買うものが
決まっているわたくしはスルーしてしまいましたすんません。

そして野菜の冷蔵ケース前で。
野菜をつくって出荷していた経験を持つ友人がしみじみと言いました。

「防曇袋使ってないんでしょーかねー」

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野菜は収穫後も生きております。なので野菜販売の際は
畑にあったときのままのカッコで売るという基本があります。
横にすると起き上がろうとしてエネルギーを使うから劣化が進むのです。
菜っ葉やネギが縦置きで売られてるのはそういう理由です。



冷蔵ケースの野菜のパックのほとんどのものが汗をかいていました。
野菜の袋は防曇袋と呼ばれるもので基本的に汗はかきません。
汗をかくのは物流途中の温度管理がまずかった証拠です。

ビオセボンはイオンの経営だと聞き及んでおりまして、
だからこそ皆がコーフンして喜んでいるのだと思っておりましたから、
野菜の売り場担当は何をしているんだ! とわたくしは驚きました。

何かの間違いかもとその他の商品(常温)を見てわたくしはさらに驚きました。
前回自然食品店のことをあーだこーだ言いましたが、それと同等、
あるいは以下、という品質のものがあるではありませんか。

マルシェ的なディスプレイを優先するあまり、また
過剰包装を避けるあまりの暴挙、というと言い過ぎでしょうか。

鮮度保持にチョー気を使う劣化の激しいいんげんが常温量り売りで(黄変済み)、
縦置きすべきネギが横置き、乾燥するとしおしおになる里芋が
裸のまま常温で置かれカピカピに干からびているなど、
元産地担当のわたくしと元農家の友人はふたりして卒倒しそうになりました。

大変とても残念なのは、有機里芋の産地が知り合いの有機産地だったことです。
その里芋は規格外の孫芋、いわゆる「きぬかつぎ」でしたが
孫芋のはずなのに芋のついたあとが残ってるような出荷してはダメダメ品もあり、
わたくしは以下のような想像をしてしまった次第です。

「安い有機里芋がほしいんだけど」「規格外の小芋ならありますけど」
「それでお願いします」的なやり取り→規格外で売ると思ってるから
とりあえず産地としては小さな里芋を出荷→売る側は「有機だし
安いからいいか」的な感じでそのまま販売→カピカピになった。

考えすぎかなー。でもありがちだなー。

この里芋のおかげでこの産地の評価は地に落ちるとわたくしは思いました。
もしかして里芋の鮮度がわからない人が客ということなのでしょうか。
つまりそれは有機JASならなんでもいいということなのでしょうか。
というか売る前に品質のチェックをしないのでしょうか。

ドライフルーツでウキウキした気持ちが野菜売り場でダダ下がり、
肉の売り場に行きましたら、スタッフの方が話しかけてくれました。

わたくし=元産地担当&ライター、友人=元畜産担当&元農家です。
肉の産地及び飼育方法・品種について知らなくてもいいことを知っています。
品種や飼育方法のPOPを見ただけでだいたいどういうものかわかるため、
わたくしたちにとっての話題性は「北海道に短角牛いたんだねー」でした。

スタッフの方は抗生物質不使用とか、子牛の時期に放牧で草を食べている、
というような説明をしてくださいましたが、なんと「グラスフェッドの牛」
とおっしゃるではありませんか。ありー。

最近「グラスフェッド」とやたらと言う人が多いのですが、
厳密に言うと日本には「グラスフェッドの肉牛」はいません。

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木次乳業の「山地酪農牛乳」という商品を初めて見ました。
「山地酪農」って何のことなのか、という説明無しで売られてるのが
スゴイなーと思うのですが、知ってる人が買うのでしょうか。
今度行ったら買おうっと。



子牛の時期=育成期間中に放牧されて草を食ってたとしても、
その後の肥育期間(一年ほど)で穀物を食わせて肉質を整えなくては、
売れる肉にはなりません。草ばっか食ってる牛の肉は硬いからです。

優位性を先走りすぎたのかなー。でも畜産の情報とはむずかしいものです。
生温かい目で見守ることにしました。
しかし言うのは良くてもPOPに書いたら優良誤認になるので要注意です。

あとで友人が「短角売り場の写真の牛、ホルスタインでしたねー」と
短角牛売り場のPOPについて言っていました。ううううう。
開店間もないための混乱なのでしょう。そう思いましょう。

しかしすんばらしいことがひとつありました。
ビオセボンはこの北海道の短角牛を一頭買いしているのです。

一般的にお肉の発注は部位ごとに欲しい部位だけを発注するものですが、
一頭買いするということは欲しくない部位含めすべて仕入れるということです。
部位調整の問題もありなかなかできることではありません。しかししかししかし。
この優位性及びすばらしさは一般の消費者には伝わりにくいでしょう。

一頭買いだからか、短角牛の肉はすべて真空パックで販売されておりまして、
空気に触れない肉は、深い紅色、というか悪くいうとドス黒く見えます。

牛肉は切り口が酸素に触れることで赤く発色しますから、真空パックされた肉は
真紅にはなりません。そのことを知らない人には劣化しているように見えます。
一般の赤く美しいスライス肉に慣れた消費者は購入しにくいかもしれません。

一頭買いだから一般的なスライス&パックができないのでしょうが、
その理由も一般の消費者には伝わりにくいでしょう。残念なことです。
それでも「欲しい」と思わせるためにはメリットが必要です。

それが(間違ってるけど)グラスフェッドとか抗生物質不使用なのでしょうが、
POPに書いてあるだけで訴求できるかどうか、はなはだ不安です。
短角牛産地のためにも、わたくしは息を呑んで見守りたいと思います。

ところで牛乳売り場には知っているメーカーのものが並んでいました。
というかそのメーカーをことさらに選んで置いたことに感銘を受けました。
わかってるじゃん!!! ビオセボン! 

その後オーガニックチョコレートを見て再びウキっとしましたが、
欲しいものは何もなかったので何も買いませんでしたすんません。

さて、このように楽しい経験をしてしまい、家に帰ってしみじみと
オーガニックの需要ってなんなんだとか考えてしまったわたくしです。

ってことで長くなったので後編に続きます。



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ファッションと本質

乱暴に言えば、買う方も売る方もファッションなんじゃないですかね。アレルギー避け以外は。だから表面的な部分は真似しても、本質を十分に理解していないので、見る人が見るとおかしい部分がいろいろ。しかし店員個人が最初から広範囲に極めるのは難しいし、組織としても本質を理解しない責任者が上に一人でもいればそこで止まる。しっかりやろうとするとコストもかかるので、どの辺まで追求するかはなかなか難しいかも、という気もします。おかしいことに気づいたお客さんが都度指摘してくれて、少しずつ改善していけば洗練されるかもですが、聞く耳を持てるかどうか組織としてのスタンス次第ですし、そもそも大抵は指摘などせずに去っていく客が多いんじゃないですかね。

大地を守る会でもオイシックスでもいいですが、その手の企業がこだわりの生鮮コンビニというかミニスーパーみたいな店鋪をプロデュースしたらどんな感じになるんでしょうね。

Re: ファッションと本質

H2さん、こんにちは。

> 乱暴に言えば、買う方も売る方もファッションなんじゃないですかね。

どうでしょうか。その後近所の方は全く行っていないという話を聞きました。
わたしももういかないと思います。

ファッションというより、オーガニック専門店というニーズがないんじゃないかと思っています。
喜ぶのはオーガニック関係者だけというか。

>店員個人が最初から広範囲に極めるのは難しいし、組織としても本質を理解しない責任者が上に一人でもいればそこで止まる。しっかりやろうとするとコストもかかるので、どの辺まで追求するかはなかなか難しいかも、という気もします。おかしいことに気づいたお客さんが都度指摘してくれて、少しずつ改善していけば洗練されるかもですが、聞く耳を持てるかどうか組織としてのスタンス次第ですし、そもそも大抵は指摘などせずに去っていく客が多いんじゃないですかね。


食べものを売る商売にそのような悠長さがあるのでしょうか。
人が来なくなったらおしまいだし、あそこは買うものないのよね、という評判でもうアウトだと思います。
すでにそうなってるみたいですが。

これから盛り返せるといいですねえ。

>
> 大地を守る会でもオイシックスでもいいですが、その手の企業がこだわりの生鮮コンビニというかミニスーパーみたいな店鋪をプロデュースしたらどんな感じになるんでしょうね。


すでにナチュラルローソンがデビューしています。
ナチュラルローソンで採算が合うようになれば店舗展開が増え自然食品店も厳しくなると思います。

大地を守る会にLAWSONが出資したとき、自然食品店の終焉が見えた気がしましたが、ナチュラルローソン自体がそれほど増えてないので採算が合わないのかもしれません。

成城学園前にナチュラルローソンがあるのですが、先日行ってみたらかなりいいものが置いてありました。
野菜はむずかしいようですが、コンビニで野菜を買う人がいないからかも。
場所柄だと思いますが、成城学園前の成城石井も小田急OXもオーガニック食材があたりまえにおいてあり、フツーに手に取っていく人が多いのです。

コンテンツはすでにありますから、あとは増殖を待つだけ、という過渡期にあるのかもと思っています。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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