ビオセボンに行って考えたオーガニック需要のこと 後編

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白金在住のマダム的に「こういうちょこっとずつ入ってるセットがほしいのよ!」
ってことでしたが、重いので買いませんでした。「荷物が重い」というのは
高齢になるとかなり大きなファクターだと思います。配達してくれるのかな?


もしかしたらあの日だけ野菜があんなことだったのかもと思ったので、
もう一度シロガネーゼのマダムといっしょに行きましたよ、ビオセボン。

野菜は変わらず水菜も小松菜もしおれ、里芋は干からびていて、
「すげーたくさんある!」と思った加工品もよーく見るとそうでもなく、
「ここにしかないよね!!!」ってものはオーガニックチョコレートとか、
ラベルが外国語のくだもののピュレとかでやっぱり欲しくありませんでした。

加工品は成城石井と明治屋と小田急OXをくるっと回ればゲットできるし
大地を守る会で注文すればお家まで持ってきてくれます。
わたくしは二度とビオセボンに来ないだろうとしみじみ思いました。

「初めて来たわー」とおっしゃるマダムは大地を守る会の会員で、
広尾の明治屋やナショナル麻布マーケットでも食材を購入しています。
明治屋のいいところは「商品に間違いがないところ」らしく、
それが明治屋というブランドであろう、と、わたくしは思いました。

野菜売り場でほうれんそうを手に取ったマダムは、
「ほうれんそうが安いじゃない、いいわねー」とおっしゃいましたが、
買いませんでした。「だって荷物になるじゃないの」

ビオセボンのあとナショナル麻布マーケットに行くのですから、
荷物は少ないほうがいいのです。当然です。

マダムはその後近所のブティックに立ち寄られ、ついでにわたくし
そのブティックのマダムにビオセボンについて聞いてみました。

「ビオセボンがオープンするって聞いて、このあたりの人たちは
みんな何ヶ月も前からそりゃあ楽しみにしてたのよー。
オープン当日はみんな行ったわよ。ものすごく賑わっててもう満員。
でもねえ。二日目に行ってみたらもうダメだったのよ。野菜が。
最近はもう誰も行ってないわねえ」ううううううう。やっぱり。

さらにマダムは非常に示唆に富むことをおっしゃいました。

「ばんごはんのお買いものするのにスーパーのハシゴなんてしないでしょう。
主婦は忙しいんだから一か所ですべての材料が揃わないと。
ビオセボンじゃ揃わないわよねえ」

ナショナル麻布マーケットと明治屋に行ったわたくしは、
ビオセボン、というかオーガニック専門スーパーの弱点に気づきました。
専門であるがゆえのいかんともしがたい弱点。それは2点ありました。

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トマトの売り場って色がキレイでウキっとしますよねえ。
バラ売りってのもいいのですが、でもまあ麻布十番でとくに
買わなくてもいいかもとかちらりと思ったらもうダメです。
近所の人ならいいかもしれませんが。



1.オーガニック=説明商品 であること

何が違うのか、何がいいのか、説明しないと理解しづらい。それがオーガニック。
一般の商品よりも割高なのですから消費者は納得する必要があります。

例えば有機牛肉。何がいいのかよくわかりません。
なのにフツーのお肉の2倍もします。有機牛乳も同じです。
2倍の対価を払って2倍健康になれるのかというとそうではなく、
自分に何が獲得できるのか考えてもピンと来ません。

野菜の場合はオーガニックの前にまず「鮮度」という価値があります。
しおしおにしおれた野菜を有機だからと喜んで買う人はいないでしょう。
そのほかに「おいしい」という価値もあるので野菜は大変です。
一度買ってダメだったら消費者は買ってくれませんよ。ううううう。

ただし、加工品はこの限りではありません。

加工品には一括表示という原材料の記載欄があり、
価値が客観的に理解しやすい、という特徴があります。

例えば、有機味噌の表示は「有機大豆、有機麹、食塩」です。
食品添加物も入っていないし原料も有機であることがひとめでわかります。
説明がなくても原材料表示が説明してくれているようなもので、
何がいいのかはっきりわからなくても「なんとなくいい」と思えます。

そう考えると、オーガニックだからと無条件で手に取ってもらえるのは
加工品のみ、とも言えます。その他の商品は実は説明が必要なのです。

わたくしはビオセボンで木次乳業の「山地酪農の牛乳」を見て
しみじみと感動しましたが「山地酪農」という言葉を知っている人が
日本中に何人いるでしょう。全く知らない人の方が圧倒的に多いでしょう。
一頭買いの短角牛も、グラスフェッドのタスマニアビーフも同じです。

説明商品を説明抜きで販売するなら無条件で「いい」と思えなくてはなりません。
それが明治屋のような「ブランド」ということでしょう。
ビオセボンはブランドになれているでしょうか? 今のところは厳しそうです。

2.「オーガニック=特別」ではなくなっていること

成城石井ではフツーの商品の隣にオーガニックの野菜や加工品が並んでいます。
小田急OXや、サミット、OKストアなどでも同じです。
仕入れる=売れているということですから、買う人がいるのでしょう。

一昔前はオーガニックをフツーのスーパーで見つけるのは大変でした。
だからこそ大地を守る会が必要だったのですが、今は違います。
オーガニックはたくさんある食材のなかの選択肢のひとつとして
都市部の消費者のみかもしれませんが、すでに認識されているのでしょう。

わたくしはビオセボンに行くまでそれに気づいていませんでした。
ちょこちょこオーガニックが売っていて買う人がいるのは知ってるけど、
それでは全然足りないと思い込んでいました。

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「山地酪農」とは平地が少ない日本で乳牛をフツーの山に放牧するという
日本に向いた酪農方法です。牛舎につながれて穀物食ってるのが一般的ですが、
山地酪農では牛舎に戻るのは夜だけ。日がな一日山で草食ってます。
穀物飼料が少ないので牛乳はあっさりしててとてもおいしいのです。
木次乳業が好きなので、ビオセボンの代理で説明しております。



もっともっとオーガニックがあたりまえにならなくては!!

ちょこちょこ売ってる=すでにあたりまえになっているのですが、
わたくしは有機農業運動で頭がいっぱいで気づいていなかったのです。
うううううう。なんてニブイんだ。
 
そういう人にとって「オーガニック専門スーパー」は快挙です。
なにしろ専門店です。フツーのスーパーと競合できるのです!!
ビオセボン訪問記的な記事ををいくつか読みましたが、まず
「よくオーガニック食品をこれだけ集めた」と評価されていました。

この賞賛の声にわたくしは違和感を感じました。だってさあ、
客から見れば「商売なんだから揃えるのはあたりまえ」でしょう。
そして、悲しいかなそれだけ揃えても、オーガニック食品だけでは
ばんごはんのおかずにならないと言われてしまっているのです。

この悲しい事実。

すき焼きに赤身のタスマニアのグラスフェッドビーフは使わないでしょうが
明治屋に行けば有機醤油や有機豆腐とあわせて和牛が買えます。
であればビオセボンに行く必要はありません。というか、
オーガニック専門スーパーにはいつ行けばいいのでしょうか?

ハレの日? スーパーとは日常的に行くものではありませんか? 

オーガニックはすでに食材購入の際の選択肢のひとつになっていて、
特別なものではなくなっていることに、もしかしたら
オーガニック業界全体が気づいていないのかも。

だからこそ「これだけ集めた」ことを評価してしまっているのでは、と、
わたくしはしみじみ思ってしまったのでした。

ビオセボンのオープンとともに、オーガニック=特別な商品という認識が
わたくしのなかで終焉を迎えたというのもなんとなく皮肉に感じますが、
オーガニックは知らない間に一般的なものになっていたという事実を寿ぎ、
そして、噛み締めたいと思います。

今後はスーパーにおける「ちょこちょこ」が「半分ぐらい」になれば
オーガニックは「よりあたりまえ」になるでしょう。
すでに売っているのですから、努力もちょびっとで済みそうです。

そういう意味で今年を「オーガニック元年」と呼びたいわたくしです。
やれ、めでたい。気づかせてくれてありがとう、ビオセボン。


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オーガニックの嬉しさ

麻布に住んでいて、よく使います。
弁当も安くて安心できて非常にうまいです。
検索でこのページが出てきたので閲覧後、コメント。
食材に対して自分が口に入れるものだから、身体を作っているものだから、安心できるものを購入したい。
価格とか云々でなく、無農薬、化学肥料が使われていない、自然の中で植物がもつ力でタフに育ってきた甘みと、エネルギーに満ちた食材のうまみを感じて、ありがとうの気持ちで、召し上がってください。
特に、1月の中旬ぐらいまで出てる、ミカンの量り売り。若干値は張りますが、量り売りの楽しみもあり、なんといってもこのミカン達は激ウマで、その辺の農薬ばっちりのスカスカ安物ミカンとは違い、甘みとジューシーさ、食材の持っている生きるエネルギーを感じることが出来る。
毒を食いたい人間は食えばいいですよね!
どんどん、毒を食ってくださいw
俺はオーガニック、無添加、そして麻布十番にできたビオセボン大好きです!

Re: オーガニックの嬉しさ

はじめまして。コメントありがとうございます。

> 麻布に住んでいて、よく使います。
> 弁当も安くて安心できて非常にうまいです。

それは良かったです。
デイリーにご近所の方が利用されるのが一番理想的だと思います。

現時点では鮮度が残念な野菜類でも、個人農家とのお取引のようなので、そこを打ち出してもっといい状態で販売できれば人気が出ると思います。

業界の方々は「顧客がお店を育てる」とおっしゃっています。
いろんな意見がどんどん出てそれを取り入れていくと、より皆に愛されるお店になるのでしょう。
お店ってそういうもんかもしれません。

自分自身はオーガニックの加工品も有機JAS認証取得野菜も、麻布まで行かなくても近所で購入できるし、とくに野菜は自分でも栽培しているためもう行かないと思いますが、毎日のごはんのお買いものってそういうものだと思います。

俺さんのような地域の方に愛されるお店になるといいですね。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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