有機農業「運動」という重い外套を脱ぎ捨ててみたら?

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むかーし産地交流とかで産地と消費者を結ぶイベントをよくやってたが、
夜の飲み会で受け入れ農家があーだこーだ消費者に愚痴を言いまくり、
結局なくなった的なこともありました。建前はステキでも、
どこかでひずみが生まれるとそういう事故も起きるです。



「有機農業運動」とは1970年代に始まった市民運動である。

既存の流通や小売のやり方を踏襲せずに、消費と生産の連携により
安全な食べものを生産し消費するだけではなく、環境にも配慮し
子どもたちの世代に持続可能な社会を残そうと生まれたものだ。

大地を守る会はこの中心的な役割を果たしており現在に至る。

しかし現在の社員に有機農業運動とか語っても「はあ?」ってな感じではなかろうか。
ましてやオイシックスの社員においてをや。なんて言っては失礼か。すんません(ペコリ

わたくしが大地を守る会に入社したのは1992年。有機農業運動はまだホットであった。
どころか、脱原発運動、学校給食運動、牛乳パックとか低温殺菌牛乳運動
(知ってる人いるかな)等々の運動が花盛りであった。

わたくしは体を動かす運動ではないさまざまな運動があることを
大地を守る会で初めて知った。

「運動って体育の運動じゃないんすか?」とか当時の上司に口走り、
困ったような顔をされたことを思い出してしまったよははははは。

農家のおじさま方と話したり商品情報誌や機関誌の記事を書いているうちに、
それらの「運動」は知らぬ間に背中にべったりへばりつきわたくしの一部になった。
ことに気づいたのは退社して数年経ってからである。

背中から「有機農業運動」という甲羅がぺりんと剥がれ落ちるのに5年ほどかかった。
現在でもそのかさぶたは残っていてときどき厚くなったり痛くなったりする。
いまだに治療中なのである。しかし、少しずつ傷は癒えているらしい。
なぜなら、有機農業「運動」にときおり違和感を感じるようになったからだ。

違和感はどのあたりにあるか。

おじさま方で群れて若いもんの話を聞かないこと? 「俺が俺が」言うこと?
有機農業推進と言いつつ自分の技術に固執して仲間割れしちゃうこと?
お互いの悪口を言ったりして分裂しちゃうこと?

なんてことはまあ、あなたたちどうなのよ大人気ないわねとは思うが、
そういうことではなく、どうも「有機農業運動」のおじさま方に
マネジメント能力が欠けているからではないかと気がついた。
「人や組織を育てていない」というか育てられない気がするのだ。

数年前、千葉の農家と話していて、ある生産者団体の話になった。

そこでは見学者を受け入れる際に時間単位で料金が発生する。
有料にすることでマナーの悪い人、意識の低い人を排除することができて、
見学を受け入れた農家に日当が出るというしくみである。

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有料イベントにすると質のいい人が来るというのは
今ではよく知られていますが、以前はそうではありませんでした。
無料イベントは建前的には美しいけど質の悪い人が来ることがあり、
イベント終了後のクレームもすげーのが来たりするのです。
「有料イベントには優良な人が来る」。おお、美しいキャッチフレーズ!



「畑を見せるだけでお金取るなんてダメだよねー」と彼は言ったが、
わたくしは「おお、それはスゴイな」と素直に思った。
なんでもそうだが、無償とかボランティアで人を受け入れていると
質が悪く意識の低い人が来ることがある。ということが比較的多い。

自分の作業を数時間取られた上に
失礼な訪問者が来たら誰だって頭にくるでしょう。
しかししかし! これが有料になると来なくなるんですよ!

支払った金額分、何かを獲得して帰らなくてはという意識が生まれるから、
きちんとした人が来るようになり、受け入れ側のストレスもたまらない。
作業を中断してもその分の日当が出れば受け入れがいもあるというものだ。

その話をしてくれた農家は別の生産者団体の一員だったが、
見学を有料にする等の検討はせず「あそこはひでーなー」と
ただ単に「有料」の部分のみを切り取って怒っているのだった。

わたくしはこの「有料」の罪悪感は、もしかしたら有機農業運動の
「運動」部分がそう思わせるのではないかと考えた。
生産者と消費者はいっしょに手を取り合って運動してるのだから同志である。
であれば、見学者に対しても無償でなくてはならないのだ。

「運動」ではなくビジネスの一環として受け止めれば有料はアリだし、
受け入れた農家も来た人も皆がハッピーになれる方法を考えることが
マネージャーの役割だと思うが、それはできないようなのだった。

もしかしたら「運動」はミョーな足枷になっているのではないか。

世界はものすごい早さで変わっていて、消費者の意識も昔とは違う。
「有機だから」「無農薬だから」虫食いOKなんて人はいない。
有機農産物は見ためも良く、さらにおいしくなくてはならない。

少し前までは消費者も生産者もお互いに手を取り合ってやっていこう的な
有機農業運動の残り香が通用する人たちがたくさんいて、
「お互い理解できているよね」「うんうん」的な前提でおつきあいができたが、
現在急速に「そういうのウザいですから!」的な人が増えているのだ。

これは若い人ほど顕著なようである。とくに農家に。

しかし不思議なことに消費者には産地訪問的なイベントは人気があり、
農家の話を聞いたり農業体験したりするのは大好きなのだった。

つまり「運動」とかそもそもよくわかんないしどうでもいいけど、
「農業楽しい!」「畑行くのうれしい!」というシンプルな
「土と親しむ」的なヨロコビは今も昔も変わらずあるということであろう。

そのような意識の変化について行けず、過去に固執し変化できないから
「ウザいんですけど」とか言われてしまうのではあるまいか。

重い外套を着込んでいては軽やかに動けないし、どうかするとカビ臭くて嫌われる。
昨今のパタゴニアのダウンジャケットだってぺらんぺらんですげー軽くて暖かく、
10年前のもこもこダウンなんか着てるとすげー恥ずかしいのだ。
しかも動きも鈍くなるのだ。

おじさま方、そんな感じで「運動」というヨロイというか外套を脱ぎ捨てて、
「俺が俺が」ではなく全体を俯瞰してみて後進を育ててみてはどうでしょうか。
いや、若いもんもいつかはわかってくれますって。



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ほんたべ

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手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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