なんと「ジビエ認証」が制度化されるんですってよ!

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駆除とか狩猟とかで追われるとアホな鹿は最初に死にますから、
生き残ってるのは基本的にウッカリ者ではない賢いのが多くて、
昨今捕獲がむずかしくなっており、彼らは「スマートディア」と呼ばれます。
鳥獣保護区でのほほんと草をはむエゾジカ(メス)。


「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(改正鳥獣法)」
が2015年5月に施行され、丸1年経ちました。

一般ピープルには「なんですかそれ?」という法律でしょうが、
ハンター界隈では非常に話題になっておりました。
なぜなら「認定鳥獣捕獲等事業者制度」が始まったからです。

【認定鳥獣捕獲等事業者制度とは
鳥獣の捕獲等に係る安全管理体制や、従事者が適正かつ効率的に
鳥獣の捕獲等をするために必要な技能及び知識を有する鳥獣捕獲等事業を
実施する法人について、都道府県知事が認定をする制度です。
※この制度は、平成27年5月に施行した鳥獣の保護及び管理並びに
狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)に基づき新たに導入されました。】

(環境省サイトより)
https://www.env.go.jp/nature/choju/capture/capture5.html

上記の文言を読んでもいまひとつわかりにくいが、この制度は
都道府県知事が法人に委託し鹿・猪の駆除を行うという環境省の事業で
平成29年の予算は15億円になったようである。

野生動物管理の予算は農水省にもあり、これは都道府県ではなく
市町村ごとに管理計画が策定され猟友会を通じてハンターが請け負っている。

税金の優遇措置などがある「実施隊」と言われるものだ。
駆除の対象は鹿と猪だけではなく猿やカワウなども含まれる。

農水省の鳥獣被害防止総合対策交付金は110億円、
林野庁の森林被害緊急対策2.5億円で、合計112.5億円である。
ジビエ振興のための加工処理施設建設なども事業の対象となっていて、
その場合、内閣府の地方創生推進交付金などとの連携も予定されている。

けっこうな予算だよねと思うが、実際の被害額はどれぐらいかな?

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3月鹿猟見学で屈斜路湖畔の山に上がったとき、ウワサの皮剥を発見。
雪を掘って笹を食べ樹皮をはいでおり、周りには大量の糞。
撃たれないよう山の尾根を集団で移動して食い散らかしてる、
って感じかなー。世界遺産・知床半島の食害も相当らしいです。


平成27年度の農業被害額は176億円であった。
176億円作物を売って稼ぐことを想像してみよう。
大変なことではありませんか。

平成24年くらいには200億円だったから少し減ってはいる、とは言え
高止まり傾向は変わらずで「猪鹿許さん!」という農家は多いはずだ。

また、あまり知られていないが、鹿は林業にも相当な被害を与えており、
被害面積は平成27年度で6000ヘクタールである。

植林した幼木を鹿が食害して全く生育しないとか、冬期のエサがない時に
広葉樹や針葉樹の樹皮を食って枯死させたり、下草の食害で植生を変えたり
結果として森の下層部が丸坊主になって表層部が崩落したりと、
鹿は日本の森と林を順調に、そして確実に破壊し続けている。

であれば130億円の予算では足りないくらいかもしれないね。
ということで、認定事業者制度による法人の参入で鹿・猪は減ったのかな。

検索してみたが取りまとめられていないのか実績の数字はなかった。
事業者制度がスタートする以前の数字は鹿58万頭、猪52万頭だったから
少しは伸びているのではないかしら。希望的観測すぎるかな。

ということで、ジビエの活用である。

29年度の目標は鹿・猪合計60万頭の捕獲に加えて食肉の利用率向上とある。
平成26年の約14%から30%へUPと書いてあるが、しかし60万頭の30%? 
というと18万頭?いや、そんなことはあるまい。母数がわからないので
目標の30%とはどれぐらいの頭数なのかは全く不明である。

そうしたらですね。本日の産経新聞に「ジビエ認証制度化」という
すんばらしい記事が掲載されていたのですよ。ああ、ビックリした。
全日本ジビエ協会理事としては「やられたー」って感じだがそれはまあいい。

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なんで穴掘って埋めるかというと回収が大変だからです。
100kgもある鹿をひっぱってトラックに乗っけてなんて大変です。
雪があるところしか見たことないけど内地ではどうやってるのかしら。



「農水省が公認した認証機関が、ジビエの処理加工施設に対し、
厚生労働省が定める衛生基準などに適合しているかどうかを審査する。
合格した処理加工施設は解体・加工されたシカ・イノシシ肉といったジビエに、
捕獲場所を表示するとともに認証マークを付けて市販することができる」

(4月25日(火)サンケイ新聞朝刊)

一定レベルの品質を保持した管理されたジビエが流通するようになれば
大変とてもすんばらしいのだが、実際には駆除で撃った鹿を回収して肉に、
なんていうのはむずかしくて、おおむね山に穴を掘って埋めるか
持って帰って焼却施設で燃やしているのが現状である。

一頭燃やすのに使う燃料費は3万円くらい。数十頭燃やせば数十万。
この経費はどこから出てるのかな? 自治体?
いずれにしても大変なことだ。資源化が喫緊の課題なのも頷ける。

しかしハンターが解体施設も持っていてそこですぐに解体し肉にして
販売、なんてことはなかなかできない。

ましてや計画的な駆除の場合、一頭撃つごとに回収してきちんと処理して
なんて悠長なことはやってられない。
どうしても穴掘って埋めるか持って帰って燃やす、ってことになる。

認証が制度化されたとしても、まず安定供給、次に流通ルートの構築が課題だ。
そういうのはまだきちんとつくられておらず、六次化地元消費がメインである。
肉にして安定供給するには殺さずどこかで飼育して必要時に解体して卸す、
という流れが必要である。北海道にはあるけど他はどうかなー。

さらに、野生動物の飼育は許可なしにはできないし、
許可を得たとしても飼育する土地やエサが必要になる。
つまりよけいな経費がかかる。

さらにはそれで自然の息吹をいただく「ジビエ」といえるか、
というような問題もある。飼育だからねえ。。。

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ここまで書いて気がついたけど、テーブルミートとして売るのではなく、
加工品にしちゃえ! ってのが主旨かもしれないなー。
在庫効くし保存もできるし。でも価格的に合うのか、という問題が。



しかしこのような「品質の確かさ」のお墨付きは
ジビエ業界全体が待ち望んでいたことではあるまいか。
これにより「品質の良くない肉」が流通することはなくなると考えれば
両手を挙げて歓迎すべきでしょう。

ということで、ジビエ協会的には今後注視していきたいと考えております。

また個人的にはこの制度化で、一般ピープルの方々に
ジビエの魅力、というより農業被害や森林被害の現状が
バッチリ伝わればいいなと思う次第です。

あ、あと農水省の食堂で4月28日までジビエ(鹿肉)を使ったランチが
提供されるようですよ。鹿のメンチカツだって。
一般人にも開放されてるそうですから、ぜひ。


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手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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