嫌気性微生物を使う―微生物資材「カルスNC-R」のお話

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かれこれ1年半ほどベランダに置きっぱなしの私のモミガラ。全く分解していません。
これを土中で分解し堆肥化してくれる資材って、省力化ですんごくいいと思うんですけど。



今から半世紀ほど前、農業は化学肥料と農薬に頼った収奪型農業が基本でした。

65歳以上の農家に話を聞くと、化学肥料の力にびっくりした!と皆が言います。
化学肥料は夢のような肥料。安くて軽くて効果が大きい…誰しもが使いました。

しかしその後。ツケは一気にやってきました。

有機物を畑に戻していた時代の貯金がある間、問題は出なかったのですが、
化学肥料だけ入れて有機物を入れなくなった結果、土がどんどん痩せてきて
土壌病害・害虫が多発するようになったのでした。

栽培の前に必ず土壌消毒剤で微生物を絶滅させ、土壌由来の病害を防ぐ。
発生した病気や害虫に対しては、農薬で対応する。
これでなんとか継続して作物を作ることはできるようになりましたが、
食べものの安全性や環境への配慮はほとんどなかったと言ってもいいでしょう。

そんな当時の収奪型の農業に、疑問を持った人がいました。
このままの農業ではいつか何も作れなくなる。何かいい方法がないものか。

それが現在「カルスNC-R」を製造販売しているリサール酵産(株)の前社長、
当時は化学薬品の商社に勤務していた、飯川綜二さんでした。

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リサール酵産株式会社の現社長・飯川雅丈さん。農家に出向いて栽培の指導もしています。
土壌消毒剤を使わなくても連作障害が出なくなった・病気が減った等々の事例がいっぱい。
日本の農家の省力化、循環型農業の実現に貢献しています。


飯川綜二さんは何人かの知り合いとともにフランスへ渡り
パスツール研究所で嫌気性微生物を研究していたプレボー博士と出会います。
そこで、嫌気性微生物の力に触れて驚き、嫌気性微生物に着目したのでした。

当時の農業では、好気性菌は「善」で嫌気性菌は「悪」と言われていました。
(今でもそういう人はたくさんいます)
そんな時代に、味噌や酒を作る嫌気性菌に着目し、嫌気性菌の農業資材を作ろうと、
飯川さんはいきなり会社を辞め、無収入のなか微生物資材づくりを始めたのです。

現在の「カルスNC-R」という名の微生物資材には、そんな物語がありました。

代掻き
稲刈り後に水田用の資材「アイデンカルス」を入れワラを分解。ワラが浮いてきていません。
また、乳酸菌の働きで雑草が3年分芽を出すので、それを耕運すれば草が生えなくなるそうです。
これは西出隆一さんの草を見ずして草を取る「上農」の技術。



さて、カルスNC-Rの優位性って何なのでしょう。
それは、粗大有機物をそのまま畑に入れられることにあります。

モミガラやバーク、オガクズなどの炭素率の高いものを土中にすきこむと、
チッソ飢餓・生育障害・乾燥害などが発生します。だから上に置くのはOKだけど、
すきこむのは絶対にやめましょう!というのが今までの常識でした。

カルスNC-Rを一緒に使うと、こういった害は全く出ないどころか、
分解過程で発生するアミノ酸や、植物ホルモン(サイトカイニン・エチレン)等の
有益な物質を、作物に与えることができます。

そのまま置いておくと、いついつまでも分解されないモミガラが、
半年~1年後には分解されてしまうのですから、恐るべし!カルスNC-R。

さらに、嫌気性菌のため、空気がなくとも餌さえあれば畑をどんどん耕してくれます。
その速度は西出隆一さんによると、一年で5センチだとか。おお、すんばらしい!

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微生物が深くふか~く耕してくれた西出さんのトマト畑。トマトの支柱がスカッと入ります。
嫌気性菌のいいところは、空気のない土中で活動してくれること。
餌を絶やさないよう、また、餌がなくなったとき休眠できる場所の供給をしなくてはなりませんけど。



「手間暇かけて有機農業をがんばってる人というより、どっちかって言うと、
連作障害が怖いのでそれまでは土壌消毒剤を使っていた人や、
堆肥も必要と思っていたけれど面倒くさいと思っていた人の方が
よく使ってらっしゃいます。そういう意味で省力化なんですね、この資材は」と飯川さん。

「捨て場所に困っているモミガラや畜糞を利用して、
土中で堆肥化できるのがカルスNC-Rなんです。
使い捨て・収奪型農業ではなく、循環型農業が実現できるんです。

堆肥を切り返ししたり、堆肥舎を作ったりというような手間もお金もかからない。
カルスNC-Rという嫌気性菌を使って、省力化の農業ができるんですよ」

粗大有機物は分解されて腐植となり、微生物相が豊かになれば
団粒構造が作られて、徐々に保水性・保肥力のある土に変わっていきます。
腐植が増えればCECは上がり、多収が見込める土になります。

微生物と腐植が土の団粒構造を作る。有機農業の基本ですよね。

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堆肥舎でカルスNC-Rを使っている農家もいます。堆肥になる前の状態で土に入れている農家もいます。
畜糞だけでは炭素分が足りないので敷料などの炭素分があることが条件ですが、
半生の状態で土中に入れても、全く土壌障害が出ていないとか。うーん、それは見てみたいぞ。



昨今食の分野でも、微生物の働きに注目が集まっています。

どぶろく、ワイン、味噌、ぬか漬け、そして野沢菜・白菜・たくわん漬け…
自分自身でこれらの発酵食品を作ってみると、腐敗しない発酵の不思議が実感できます。
微生物に守られているという実感を持つこともできます。

農業分野の微生物ブームは、今少し鎮静化していますが、
積極的に微生物を利用する方法は、少しずつ注目され始めています。

拮抗作用をもつもの、制菌力の強いもの、菌にもいろいろな性質があります。
それら、菌の力を借りて作物を生産するのは、楽しいことに違いありません。

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カルスNC-Rの家庭菜園セット。カルスNC-Rと油粕などがセットになってます。
菌が働くためには燃料になるチッソが必要なため、増量剤とチッソ分を同時にすきこみます。
コイン精米機のモミガラを大量に収集して、家庭菜園に入れなければ!!!!!



カルスNC-Rは、そんなに高価ではなく、使用量も多くは必要ないもの。
家庭菜園ならば1kg袋が1年もつ…リーズナブルな資材です。

わたくし、3月になったら、カルスNC-Rとモミガラとチッソ分を入れ、
今ほとんど微生物のいなそうな家庭菜園で土づくりを開始します。

今後のレポートにご期待ください!

カルスNC-Rはリサール酵産株式会社のWEBサイトで購入できます。
http://www.resahl.co.jp/
使い方・その他詳細情報は、上記URLでご確認ください。


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はじめまして

こんにちは、Fuと申します。先ほどは拙ブログにコメントいただき恐縮です。
オーガニックランキングトップのブロガーさんからコメントいただくなんて思ってもいなかったので、正直びびってます v-12

まだザーっと目をとおしただけなのですが、農薬や土壌資材等についての並々ならぬ経験と知識をお持ちのお方とお見受けいたしました。
現地取材レポート、すばらしいですね。

それにしてもこの「カルスNC-R」ってすごいですねー。
よく分かりませんが簡単に言うと、めんどくさがりな人に最適な土壌改良資材、ということでしょうか。
パスツール研究所、有機土壌改良剤とくればコフナ菌を思い出しますが、やっぱり関係あるんでしょうか。

これからの農業って(園芸だってそうですが)、農薬とか化学肥料とかを全面的に使用して収穫を上げていた時代を完全に過去のものにしていかなけりゃいけないですよね。

またたまに寄らせてもらいます。
とってもいいブログ教えてもらった気分です。

ではでは v-22

Re: はじめまして

Fuさん

こんばんは。ご訪問ありがとうございます。
さきほどはコメントを失礼いたしました。

> パスツール研究所、有機土壌改良剤とくればコフナ菌を思い出しますが、やっぱり関係あるんでしょうか。

もともとコフナを扱ってたりした経緯があったそうですが、そのあたり現社長にも詳しくわからないとおしゃっていました。

微生物資材は山ほどありますが、これがいい!ってのがなかなか難しくて、誰が使っても大丈夫っていう菌もなかなかいないのです。
カルスは私の師匠が長年使っていて、とってもお勧めの資材ってことで紹介しました。

農薬や化学肥料に頼った農業では、地力が落ちて、もっとまずいことに野菜もおいしくなくなっちゃうので、有機農業がもっと広がるといいですね~。

>またたまに寄らせてもらいます。

こちらこそ、よろしくお願いいたします。

講習会のご案内

毎々お世話になります。

カルスNC-Rに関係する土づくり講習会のご案内をさせていただきます。

講師: 西出隆一氏 一の字農法 西出農園 微生物利用栽培研究家
と  き:3月11日(金) 午前の部:10時~12時 午後の部:14時~16時
ところ:埼玉県さいたま市 (見沼グリーンセンター会議室)

会場の都合により、定員は120名様までとなります。
お申し込みはお早めにお願いいたします。
FAX(048-668-3315)又は電話(048-668-3301)にてお申し込みください。
こちらから講習会についてのご案内を後ほどお送りします。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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