除草剤についての理想と現実について思うこと

zyosou.jpg
北海道の広大な玉ねぎ畑で手取り除草中。左側が除草済み、右側まだ。
農家だけではできないので当然パートさんを雇います。
面積が多くなるとその経費とパートさんの確保だけでも大変です。


大地を守る会では除草剤の使用は米を除いて禁止である。
米のみは初期の除草剤一回散布はOKで、
販売の際は「除1」と記載されていたが今はどうかな?

稲作に関しては除草の手間がものすごーく大変なことに合わせ、
初期に一度散布するとその後の草が抑えやすいことによる。
一回散布だが成分数としては4剤とかである。
一度まいとけばいろんな草に効きますよ的なもののようだ。

しかし畑作・果樹の場合は、本圃場のみならず、
畦畔(あぜ・圃場周り)などへの使用も原則禁止である。

とは言え果樹産地など傾斜地で山の中という条件の悪いところがあり、
畦畔・法面の手刈り除草はちょっと命にかかわるかもみたいな
危険を伴うところもあるので、そういう場合は応相談(だと思う)である。

除草剤が圃場のみならず畦畔及び通路等の圃場周りで禁止なのは
環境保全型農業に除草剤使用はあり得ないこと&
そもそもの出自が有機農業運動であることが大きい。(と思う)

「なんで?」としみじみ考えたことがなく「そういうもん」
という認識だったことに最近わたくしは気がついた。
産地担当時には圃場周りの除草剤散布を発見したことが数度あり、
その年の取り引きはできないという判断をしたこともある。

ちなみに有機JAS認証では圃場に除草剤を散布していると取得できない。

有機許容農薬に除草剤の名前はなく、圃場周りについては
「その影響が及ばない距離」までの散布はOKかもしれない。
しかし有機JAS圃場間の通路などには散布は不可だろうと考える。

でも有機農家の駐車場には散布しても全然かまわないのだ。
だって畑じゃないもんね。

さて先日、元担当農家から数年ぶりに電話があり、
メンバーのお一人が抜けることになったと知らされた。

gazou 008
田んぼの除草機。初期に使うとなんかすごーくよく取れるんだって。
田んぼに草を生やしすぎると収量が減るので大変なのだが、
こういう機械を持ってないところは手押しの除草機を延々押すとかで
腰が痛くなったりして人が傷んで大変。



理由は高齢化により圃場周りの手取り除草がむずかしくなった。
だから除草剤をまかないととてもやれない、でも、
圃場周りに除草剤をまくと大地には出荷できないからやめる、と言う。

この方たちはむかーしから有機農業に取り組んできた方々で
わたくしは「農薬まけば」とかうっかり言ってよく怒られていた。
まきたくないから我慢してるのに産地に寄り添うべき担当がそんなこと言うな! 
って感じだったのだろうと想像するわたくし(反省)。

この産地は果樹シーズン真っ只中の10月に行く最初の畑作産地で、
わたくしは毎回落葉果樹産地対応の「果樹脳」のまま訪問していた。
果樹脳とは「農薬OK! っつか初期に叩いとけ!」的なイケイケ脳である。

まきたくなくとも農薬を散布しなくてはむずかしいからまく落葉果樹農家と、
まきたくないから何かあったときにもじっと我慢してしまう畑作農家とでは
農薬に対する考え方がすこーし、というか大きく違うのだ。
申し訳ないが、わたくしはここで「畑作脳」に切り替えるのが常であった。

その「農薬できるだけまきたくない」と言っていたメンバーの一人が
圃場周りに除草剤まかないとやれない、と言っているのだった。
有機農業運動を支えてきた人の一人が、である。

わたくしはこの話の前に同じようなことを別の所で聞いており、
「除草剤」についての考え方をリセットする必要があるかもと思っていた。
この場合は耕作放棄地の草管理なので内容は少し違うが、
「高齢化」というキイワードは同じである。

若いころには問題なくできたことが年を取るとむずかしくなる。
昔は良くても今の時代に合わないこともある。

有機農業運動が1970年代に始まってすでに50年近くになる。
当時バリバリで若く理想に燃えていた農家も70歳近くになっていて、
その若い後継者は有機農業運動のなんたるかなど知る由もない。
というか「ウザい」と思っている人の方が多いかもしれない。

生まれたら親はすでに有機農業やってた、という人も多く、
「なんでそんな手間のかかることを」と心の底で思っている人もいる。
生産物がいい値で売れる強い産地では有機などやらなくても作物は売れる。
そっちの方がはるかに楽だったりもする。

群馬 007
自然栽培の方の畑でも地主の場合草を生やしててもへーきです。
境目が見えづらいのですが「畦畔」とはこの手前のあたりのこと、
法面とは後ろの傾斜のあるあたりのことを言います。
ジャリが多い土質の場所では草刈り機を使うと小石が飛んで危険なので、
手取りでやるしかない、というところもあり、それはとても大変です。


そういう人たちに「圃場周りの除草剤不可」はめんどうでしかない。
親の思想が勝っている間はやれたとしても、息子がビジネスライクに
自分の手間と親の思想を天秤にかければ、手間が勝つに違いない。

大変だけどがんばって手取りでやるぞ! と思っている場合でも
除草対策でパートさんを雇うとそれなりに経費はかかるし、
シルバー人材センターにお願いしたら熱中症で倒れられたりして
わあ、大変。ってなこともある。

農業者の高齢化は加速度を増しているのだ。
そのうち昔のものさしが合わなくなってくるのではないか。

わたくしは昔「圃場周りの除草剤はダメなんだよね。今年の出荷は
相談させてください」と平気で言っていたことを思い出す。
今になって、基準だから当時はそういう対応でいいんだけど、
それはほんとのところどうだったのかとちらりと思ったりする。

最近は老眼で見が見えなくなり小さな虫など全部見逃してしまうが、
目の前にある現実はきちんと見ることができるようになったのかもしれない。
というか、酸いも甘いも噛み分けたおとなになったということだろうか。

なんちて。

ともあれちょっと問題提起してみたくなりました。


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除草剤

10数年前から家庭菜園を借りて、野菜作りを楽しんでます。畑のオーナーの方が共通の通路に草が生えると除草剤を使われるのです。こちらは趣味の園芸だから、生態系を乱すのはなるべく避けようと思うので、なるべく使わないようにお願いしますが、使用者からクレームがあれば使うかなとも思います。多くの使用者の方が草は嫌いなようで、1本も生えて無い方からすれば、なんと下農なと思われているでしょう。自然農を目指してるわけではないのですが、刈った草は作物のマルチにしたり、積んでおいたりと利用価値があると思います。なるべくクレームが出る前にきれいにしとくようには心がけてますが、週末菜園ゆえ間に合わないこともあります。ほんたべさんの畑はどうですか?

Re: 除草剤

畑のもぐらさん、コメントありがとうございます。

> 畑のオーナーの方が共通の通路に草が生えると除草剤を使われるのです。

友人もどこかの畑を借りて家庭菜園をしていましたが、やはり同じように除草剤をまかれると言っていました。
親切でまいてくださるそうなので、何も言えないと言ってましたが、やはりみなさん草はキライなのですね。


> 多くの使用者の方が草は嫌いなようで、1本も生えて無い方からすれば、なんと下農なと思われているでしょう。

そうなんですよね。
草を生やすなんて言語道断、と皆さんおっしゃいます。

わたしの借りているのは区民農園なので、草ぼうぼうにしていても怒られるくらいで済んでいます。
通路には除草シートが敷いてあり、区も草ぼうぼうにしないよう気をつけています。

自然農に理解のある人に借りると草ぼうぼうでも何も言われないという話も聞いたことがありますが、
基本的には草をはやしていると「あーあ、あんな草畑にして」と悪口を言われます。

でもまあ、地主さんの意向にそう必要はあるでしょうねえ。
友人も「除草剤まかれる前に草を取っている」と言っていました。

除草剤がどうしても嫌な場合、除草シートを敷いてはダメですか? と聞いてみてはどうでしょう。
ある程度草を抑えることは可能だと思います。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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