きゅうりの秘密を知ってしまった!! 在来きゅうりフェスタご報告

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上段左から「勘次郎キュウリ(山形)」「美馬太キュウリ(徳島)」「外内島きゅうり(山形)」
下段左から「加賀太キュウリ(石川)」「山内伝来キュウリ(高知)」「佐川伝来キュウリ(高知」
低温に強い高知県などの南方系はイボが黒く、夏が旬のものはイボが白い。
というような特徴があるそうです。どの品種も白い・黄色い・筋が入っています。



昨今では周年で供給されているジミーな野菜、きゅうり。
いつでもどこでもお店に売っているのであたりまえすぎて
きゅうりのことなど調べてみようなどと思われない野菜ではなかろうか。

しかし最近なんだか太くて瓜っぽい在来品種を見かけるようになってきた。
ということで「在来きゅうりフェスタ」というお勉強会に参加してきた。

きゅうりの原産地はヒマラヤのあたりと言われている。
【きゅうりの原産地は、ヒマラヤ山麓のシッキム地方といわれています。
日本には中国南部の品種・華南型(かなんがた)が伝わった後、
明治時代になってから、中国北部の品種・華北型(かほくがた)が
栽培用・交配用に導入されて、国内栽培がさかんになりました。】
(農水省ウェブサイトより)

そこから人とともに西方へ移動し欧州へ行くと同時に中国に渡った。
きゅうりのことを漢字で「胡瓜」と書くが、この「胡」という字は
「胡人」などでも使われる「西方」という意味である。

日本に入ってきたきゅうりは苦くて評判が良くなかった。
江戸時代に「初物禁止令」という促成栽培を禁止するおふれが出たが、
マクワウリやナスは禁止されたにも関わらずきゅうりは禁止されなかった。
評価が低く「食べなくてもいい」的な扱いで早出しする人もいなかったのだろう。

昨今のきゅうりは長年にわたる品種改良で苦味は消されているが、
わたくしが子どものころは「きゅうりはなり元が苦いから
なり元を切って苦味を消すように」と言われていたから
昭和のきゅうりは完全に苦味が消えるまでには至らなかったのだろう。

チッソ分が多いときゅうりは苦くなるのだと思っていたが、
単に遺伝子というかそもそもの血筋だったようである。

明治から大正時代にかけてきゅうりの品種改良は盛んに行われたが、
きゅうりの見ためが大きく様変わりしたのは昭和50年代後半、
「ひじり」というベッタリと緑色になる品種以降のことだ。

それまでのきゅうりは国産品種をかけあわせて作られていた。
国産のきゅうりは、現在の在来品種を見るとよくわかるが、半分白い、
あるいは黄色く、筋が入る。最初は全部緑色でも老化してくるとそうなる。

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上・四葉キュウリ 下・イボなしキュウリ つるんとしていて皮が硬そう。
衛生上イボがない方がいいってのはすごーくよくわかるけど、
きゅうりじゃないみたいね。



流通・小売はこの「白くなる・黄色くなる・筋が入る」ことを嫌った。
老化しているイメージを与えると消費者が買わないからだ。
そこで欧米の「全部緑色」の血統が入り、これ以降きゅうりは緑色になった。
いつでもどこでも緑色になり、きゅうりの鮮度はわかりにくくなった。

1985年、さらにきゅうりに大革命が起きる。
ブルームレスきゅうり「シャープ1」の登場である。

それまでのきゅうりにはブルームという白い粉がふいていた。
ブルームは巨峰の果皮などにもついている白い粉である。
スイカの台木(かぼちゃ)を使ってみたらブルームが吹かなくなったのだ。

農薬と間違えられたからブルームレスきゅうりになったとよく言われるが、
ほんとうは台木が変わったら偶然そうなった、という話のようだ。
ううううう。農薬勘違い説を信じていたのに、しまったー(泣)

ブルームレスきゅうりは皮が硬くて果肉が柔らかく食感がよくない。
さらに漬物にすると色上がりが悪くなるため漬物メーカーが嫌った。
これ以降、きゅうりの漬物の主流は中国産に移行してしまう。
ブルームレスきゅうりとともに規格外きゅうりの行き先が無くなったのだ。
恐るべし!! ブルームレスきゅうり。

ブルームを失ったきゅうりは、さらに鮮度がわかりづらくなった。
鮮度がわかりづらいから、きゅうりの産地は相場に合わせて出荷調整ができる。
きゅうりは実はいつ収穫したかわからない野菜のひとつである。

昨今ではさらに一歩進んで、イボのない品種が開発されている。
イボがついていると洗いづらく雑菌が繁殖しやすく衛生的でないという理由で、
セブンイレブンのサンドイッチに入っているのは全部この品種だそうだ。
いやはや、品種改良ってスゴイのね。もちろんF1である。

というような歴史の結果、わたくしたちがお店で買えるのは
ブルームレスきゅうりのいくつかの品種である。
つまり、わたくしたちはきゅうりの品種を全く選べておらず、
市場が与えてくれるものだけを食べている、とも言える。

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馬込半白キュウリと種が取れるまで大きくした馬込半白。
この品種は一度途切れ、ジーンバンクから取り寄せて栽培が再開した、とか。
しかし在来きゅうりってほんとに半分白くて、しかも
「半白」という名前がついてるのが興味深いす。



ではそもそも日本で食べられてきた在来品種はどこに行ったのか。
都市部では在来種を「めずらしいから」と購入する人が少し食べるくらいで、
つくる人も少なく、ましてやそれをわざわざ選んで買う人もいない。

しかし在来品種が生き残っている地方では話が別である。
在来きゅうりは地域ごとの結びつきがものすごく強く、
神事や行事に使われることの多い、地域性の高い野菜なのだった。

在来品種はおおむね、食べると皮がやわらかく果肉はハリがあり、
パリンとした歯ごたえが特徴である。
噛むごとに皮と果肉が口の中でやさしく混ざり合い独特の風味を作り出す。

品種によっては「苦味」という遺伝子を失っていないものもあるが、
それは風味として受け止められており、とくに問題とされてはいない。
なかにはブランド野菜のひとつとしてレストランで供されるものもあるが、
ほとんどの在来品種は地域で消費されている。

これが「在来品種」の理想的なあり方ではあるまいか、とわたくしは思う。

地域で愛され、自家用でつくられ、行事のたびに調理され、
「食文化」として人の生活にきちんと、しかも強固に結びついている。
種取りをするのは自分たちのためで売るためではない。

だからこそ、在来種のタネは農家の振る舞いに依拠する脆弱な存在であり、
作り続け、食べ続けないと生き残ることができないとも言える。
もしかしたら誰も見たことのないきゅうりが、
今このときに絶滅している可能性だってあるのだ。

多様性のある世界は美しい。そのために何ができるだろう。

在来きゅうり20品種を試食しながら
このようなさまざまなきゅうりを育んできた地域の人々、そして食文化が
失われることがありませんように、と、祈りたくなったわたくしです。


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手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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