牛乳の味、製造方法、その他わたくし的偏りについて整理してみた

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岩泉町のなかほら牧場に行ってきました。放牧の牛はとてもしあわせそうでした。
子牛もけっこう長いこと母牛のおっぱいを飲ませてもらっていて、
しあわせなんだろうなーと思いました。そして日本の酪農における
とても不幸そうな乳牛のことをしみじみと考えています。


わたくし牛乳がキライです。というか、キライでした。
キライになったきっかけは、保育園で飲んだ脱脂粉乳です。
子どもゴゴロに「絶対に飲まない」と非常に激しく拒否しまして、
たぶん保母さんを困らせたと思います。

わたくしは裸足で保育園を脱走して行方不明になったこともあり、
たぶん保母さんは困ったと思います。いやはや大変だったでしょう。
それはともかく、それ以来牛乳がキライというか苦手になり、
小学校と中学の給食の牛乳が苦痛でした。

牛乳がキライ、とわかるといじめっ子に弱みを握られますから、
絶対にそれは避けたいと考えたわたくしは、毎日「いただきまーす!」のあと
息を止めて牛乳を一気飲みしました。200ml一気飲み1分もかかりません。

さらに後味を楽しまなくていいようにすぐに他のものをガツガツ食べ
口の中の牛乳の気配を完璧に消しました。
この方法で9年間乗り切ったわたくしはよくやったと思います。

牛乳が嫌いな理由は舌にからみつくような粘り気とニオイです。
その原因は、大地を守る会で低温殺菌牛乳を生まれて初めて飲んで、
日本の一般的な殺菌法「超高温殺菌法」によるものだと知りました。

日本で行われている牛乳の殺菌方法は
全国乳業協同組合連合会のサイトによると、以下の通りです。

1.低温長時間殺菌法(LTLT製法)63℃で30分加熱処理
2.高温短時間殺菌法(HTST製法)72℃以上で15秒以上加熱処理
3.超高温殺菌法(UHT)  120~130℃で2~3秒加熱
4.超高温滅菌殺菌法(LL) 135℃~150℃で1~4秒滅菌処理
(LongLifeミルクは未開封であれば常温保存が可能で、90日保存できます)

低温殺菌牛乳と書いてない市販の牛乳は3の超高温殺菌法で殺菌されています。

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一般的な乳牛の寿命は子牛を生み始めてから3産から6産くらいまで。
つまり短いもので4歳から7歳とかまでで乳量が落ちてくると更新されます。
更新とは経産牛として肉になるのです。スーパーでは国産牛として売られます。
中洞さんのところには18歳のばあさん牛↑がいました。もう乳も出ないし
ただメシ食ってるだけだけど、とても元気そうでした。



牛乳を沸騰させるとタンパク質の膜ができて味が落ちます。
超高温殺菌法の牛乳は2秒とはいえ120度で加熱ですから、
かなり、味というか香りも何もかもが生乳と大きく変わります。
栄養価は変わりないかもしれませんが、なにしろおいしくありません。

わたくしが感じた粘り気やイヤなニオイはタンパク質の変質によるものでしょう。
沸騰して焦げた牛乳からもよく似たニオイがします。

低温殺菌牛乳を飲んで初めて、牛乳はほんのりとあまくて香りが良く
本来は滋味あふれるおいしい飲みものなのだと知りました。
わたくしはそれ以来、低温殺菌牛乳しか飲んでいません。

大手牛乳メーカーが効率化・大規模化で超高温殺菌法を選択して以降
日本では超高温殺菌が主流になってしまいましたが、それまでは
日本全国の小さなミルクプラントで低温殺菌牛乳がつくられていたそうです。

戦後しばらくの間、冷蔵技術&交通網が発達していなかったため、
搾乳後集荷するまでに冷やせない&ミルクプラントまで遠いなどなどで
低温殺菌法の牛乳はすぐ腐るなどのデメリットが大きかったのでしょう。

しかし物流・冷蔵状態が良くなった現在でもまだ超高温殺菌牛乳が主流とは。
なぜわざわざ超高温殺菌で殺菌し、牛乳をまずくするのか理解できません。
低温殺菌牛乳と超高温殺菌牛乳との価格の違いは高くても50円くらいです。
50円で滋味あふれるおいしい味が楽しめるのに。残念なことです。

さて、牛乳の味は、上記の殺菌温度のほかに、牛の飼料でも変わります。

おそらく人間もそうでしょうが、どんなものでも食べもので味は変わります。
たとえば配合飼料を食ってる採卵鶏の卵は配合飼料の味がします。
もしかしてコンビニ弁当を食ってる人間はコンビニ弁当の味がするかもしれません。
なんかよくわかんないけどおいしくなさそうです。

一般的な乳牛は穀物飼料を食べており、以前聞いたときの割合は
粗飼料6割に対して穀物飼料が4割だと言われていました。
穀物を食うと乳量が増えますから乳価の安い現在は穀物飼料は必須です。

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牛乳のCMで上記のような牧場に放牧されてる牛の写真がよく使われますが、
基本的に乳牛は放牧されていませんから注意しましょう。
ほとんどの乳牛は牛舎で暮らしており、つながれっぱなしの牛もいます。
なかにはウンコまみれになってるかわいそうな牛もいます。
売られている牛乳はそういう牛の牛乳だと思ったほうがいいと思います。



一般的な穀物飼料は現在ほぼ遺伝子組み換え作物ですが、
非遺伝子組み換え作物を利用している酪農家もいます。
全体的に、穀物飼料を主に食べている牛の牛乳は濃い、というか
わたくしにとっては「ちょっとクドいかも」って味がします。

そんな主たる飼料は穀物、それが常識! という酪農業界において、
粗飼料が主体&放牧という酪農を行っているところがあります。

代表的なのは岩手県のなかほら牧場ですが、そのほか木次乳業の日登牧場とか
キープ協会とか、行ったことないけど高知と北海道にもいらっしゃいます。
牛はホルスタインだったりジャージーだったりブラウンスイスだったりするので
単純に比較はできませんが、牛乳はあっさりしていてあまくていいニオイがします。

超高温殺菌牛乳を飲みなれていると低温殺菌牛乳は「味が薄い」と感じます。
放牧の牛乳はさらに「薄い」と感じる人が多いかもしれません。
しかしそもそも超高温殺菌牛乳の味が苦手あるいはキライなものにとっては、
放牧の牛の低温殺菌牛乳が一番おいしい、というかこれしか飲めません。

牛乳は風呂上がりにぐびぐび飲むものではなく、なんかくたびれたときに
ちょびっと飲む、くらいでいいよねー、ってな感じなので、
1リットル180円とかでなくてもへーきです。
っつかそれ、安すぎるでしょ。と思わない人が不思議です。

つーことで、先日取材に行ったなかほら牧場のレポートを書く前に
わたくしがいかに偏った牛乳感を持っているか整理してみました。

ご興味のある方は、明治屋で木次乳業のブラウンスイスの牛乳とか、
成城石井でタカハシ乳業のジャージー牛乳とかがゲットしやすいので
飲んでみていただけるといいかしらと思います。

すごーくおいしい! と思っていただけましたら幸いです。


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こんばんは

久しぶりにコメントさせていただきます。
まめなか屋のまるおよです。
我が家はもう10年くらい前から牛乳を飲む習慣を止めています。
が、シチュー等の料理に使う時には木次乳業の低温殺菌牛乳を
買っています。 やはり美味しいですよね。
夫は数年前に本社へ見学に行きました。

有名な「なかほら牧場」のレポートを楽しみにしています。

季節の変わり目ですのでご自愛ください。

Re: こんばんは

まるおよさん、こんにちはー。
コメントをありがとうございます。

> 我が家はもう10年くらい前から牛乳を飲む習慣を止めています。
> が、シチュー等の料理に使う時には木次乳業の低温殺菌牛乳を
> 買っています。 やはり美味しいですよね。
> 夫は数年前に本社へ見学に行きました。

ながーいこと牛乳は飲んでいなかったのですが、
昨年の人間ドックで骨密度が低いと言われて飲み始めました。
いくつか飲んでみて、木次乳業のブラウンスイスの牛乳が
一番おいしいと思ったのでそればっかし飲んでます。

木次乳業の先代の社長は有機農業界ではカリスマと言われる方らしくて、
大地を守る会の会議が木次で行われた際は大賑わいでした。

木次乳業は中洞さんとは少し方針が違うというか、
木次という地域を盛り上げようと取り組んでいらっしゃるのがスゴイと思います。

>
> 有名な「なかほら牧場」のレポートを楽しみにしています。
> 季節の変わり目ですのでご自愛ください。


ありがとうございますー。
がんばりまっす!

No title

手島さんが脱脂粉乳を飲んでいた年齢とは?自分は、小学校の1年間飲まされました。最初の給食の時間にこの脱脂粉乳を見て、嗅いで思わず子牛用のミルクだ!って言ってしまったのでそこから先生の敵になり面白い人生になったと思っています。実はこの脱脂粉乳は本当に牛用でしかも安い方なので骨粉入りでした。ジャリジャリしていませんでしたか。高い方の物は今と同じく白いものです(全て溶けます)。でもどちらも牛用でした。人用に作ったものではありませんでした。

牛乳は、決して悪魔の飲み物ではありません。栄養源としても、Caなどを吸収するのに必要なものです。ある先生が自分の製品を売るために悪者にしただけです。飲まない選択肢は、やめてください。

中札内の無殺菌牛乳の味はどうなんですか、飲んだことありますか。

Re: No title

しんじこくさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

> 手島さんが脱脂粉乳を飲んでいた年齢とは?


わたしは昭和38年生まれです。
小学校一年のときにはたぶん牛乳になっていました。

>
> 牛乳は、決して悪魔の飲み物ではありません。栄養源としても、Caなどを吸収するのに必要なものです。ある先生が自分の製品を売るために悪者にしただけです。飲まない選択肢は、やめてください。


わたしは牛乳が悪魔の飲物だとは思っていません。
単に超高温殺菌牛乳がキライで飲みたくないだけです。

でも木次乳業のブラウンスイスの牛乳は甘くておいしいので飲んでいます。
いつか高知県で山地酪農をされている斎藤さんの牛乳も飲んでみたいと思っています。

牛乳に否定的な方がいらっしゃるのは知っていますが、個々人の判断なのでいいのではと思います。
悪魔の飲物だとは思いませんが、一般の酪農の乳牛の境遇には同情します。
生まれ変わったら絶対に乳牛にはなりたくないと思うほどです。

>
> 中札内の無殺菌牛乳の味はどうなんですか、飲んだことありますか。


飲んだことはありません。
無殺菌ということは生乳の菌数がゼロということなので、
ものすごい衛生管理をされているのだと思います。

ほんとはダメなのですが、殺菌していない搾りたての牛乳を数回飲んだことはあります。
穀物を食ってる牛の牛乳だったのと、無殺菌ならではの味とニオイ(何の味かは不明)がして
おいしいと思いませんでした。ほかの人はおいしいと言っていたので
そもそも牛乳がキライだからそう思ったのかもしれません。

殺菌していないからすごくおいしい。というわけではないなとそのときに思ったので、
無殺菌牛乳の価値がよくわかりません。

それほどまでに牛乳が好きじゃないのに、木次のブラウンスイスの牛乳は
わざわざ買おうと思うほどおいしいと思えるのが不思議です。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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