自然栽培についての偏見をクリアしました宣言

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無施肥無農薬栽培のお米はわりと作りやすくて、
師匠・西出隆一さんは天然供給量のみで5俵は取れるといいます。
また、除草さえちゃんとできれば6俵はとれるよとも聞きます。
ここんちは8俵くらい行きそうってことでした、おお、すごいな。



今はなき大地を守る会では「人の悪口を言わない」というルールがあった。

農家の中には「悪口じゃないけど毒は吐く」人がたくさんいたが、
「悪口を言わない」というルールは一応みなが守っていた。

毒はけっこうきついが基本的には笑えることが多い。
そのような農家とつきあっているうちにわたくしも毒を吐く女になった。
吐きすぎて上司に嫌がられたし、今も吐きすぎているなと思うが、
それはまあどうでもいい。

ともかくそういう土壌に根を張って育ったわたくしは、
悪口を言う人はあまり好きになれない。というかキライだ。

さて、そんな大地を守る会で情報誌の編集長をしていたころ、
とある自然栽培の流通が「自然栽培は有機栽培より安全」と言い出した。
わたくしは次の2点について大変とても驚いた。

まず「安全」という「危険な言葉」を安易に使っていること。
次に「自然栽培」がどんなものかはっきり提示されていないのに
法律で基準が定められている「有機栽培」と比較して優位性を語っていること。

このような危険なことを言ってしまって大丈夫なのか! とまず心配し
マイノリティである有機農業のなかでなぜこのような区分けをし
自分たちがより優れていると言いたいのかと困惑した。

わたくしは大地を守る会で長いこと編集を担当し
危険とか安全とかの言葉を安易に使ってはいけないことを学習した。

大地を守る会は大きな組織のため注目度が非常に高く、
うっかりしたことを書くとすぐに攻撃され新聞沙汰になる。
安全とか危険とかのツッコミどころ満載の言葉を使って
スキを見せてはいけないのだ。

これらはチョーNGワードとして脳に叩き込まれており、
今でもうっかり使う人のことを心配するほどである。

また、大地を守る会では大地を守る会基準という基準を明文化しており、
どのような商品であるかは明確に誰でも理解できるしくみになっている。
つまりどこから突っ込まれてもちゃんとお返事できるということである。

それまで上記のような前提でしか物事を考えてこなかったため、
自然栽培というなにかわからないあいまいなものが
法律である有機JASより安全と言い切れる根拠はなんなんだ、と考えた。

んで調べてみたが、とくに科学的根拠は提示されておらず、
なんとなくふんわかした思想とイメージのようだった。

さらに西出さんを師匠と仰ぐわたくし的には
自然栽培=無肥料無農薬栽培と言われると、農薬はわかりやすいが
無肥料ってどこまでが無肥料なわけ? という疑問がわく。

当時木村秋則さんのりんご栽培が話題になっていたが、
葉面散布剤は肥料にならないのかとか、窒素固定の大豆はどうなのかとか、
そもそも果樹の場合は剪定は肥料と同じという考え方もあるし、
無肥料ってどういうことなの? とナゾは深まるばかりであった。

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山梨県に全く何もしないですももをつくってる農家がいて、わたくしは
彼のことをほんとうに尊敬しているのですが、このみかんを栽培している人が
ほぼおなじことをされておりまして、自然栽培についての偏見色眼鏡が
ボトッと落ちたのでありました。池田さん、ありがとうございました。



さらに、出荷してる人の栽培状況とか全部調べてるわけ? とも思った。
大地を守る会では全農家の栽培履歴を全て追っており、
そのために「アホですか?」ってほどの人件費をかけていたが、
他にこのようなことができる流通はないとわたくしは知っていた。

栽培履歴を追いかけていないのに無肥料と言える根拠はなんなんだ。
なにがなんだかよくわからないが有機よりも安全というその理由はなんだ。
もしかしてほとんど自然栽培? そういうのアリ? よくわかんなーい。

ってことで、わたくしは「自然栽培」に大きな疑問を感じ、それ以来
「自然栽培」について頭ごなしのマイナスイメージを持つことになった。
今まで誰にも言ってなかったが、自然栽培=よくわかんないけどたぶんウソ
(これは悪口です、すんません)などと思っていた(のですすんません)。

しかし最近自然栽培の農家の方に会う機会があり、冷静に考えてみたら
「自然栽培は有機より安全」は流通が勝手に言っていることであり
やってる人にはそういうのはどうでもよくて実は関係ないことにも気がついた。

現在の日本に「無施肥」とか「無農薬」という農業におけるカテゴリーがなく、
有機農業の一部だけど肥料やってないとか、農薬まいてないもんね的な
優位性をアピールするため「自然栽培」と言うしかない人もいる。

また農家はそれぞれの思想で栽培していらっしゃり、
個人を見ていけば「自然栽培」の根拠もなるほどと思える。

つまり「自然栽培」とひとくくりにしてはいけなかったのだった。

わたくしは「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」状態で10年ほど過ごし
最近ようやく坊主と袈裟は別だと気づいたのだった。ううううう。
人のせいにするわけではないが、あの流通の影響であろう。
というか完全に人のせいにしているわたくし。

ともあれ、今後は素直な幼子のような心で先入観なしに自然栽培を見る、
ことができるかどうかは別だが、とりあえず「偏見」はなくなりました。

今まで出会った自然栽培の方々、すんませんでした。

そうは言っても「有機栽培より安全」はそのうちメディアに刺されると思うので
そういうのよしといた方がいいとも思うわたくしだが、
っつかもう言ってないのかな? ま、いいか。



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はじめまして。
いつもブログやFB読ませていただいています。
答えにくいかとは思いますが「あの流通」が気になってしまいます(^^;;
気をつけていないと、ネットや本の情報に振り回されてしまいがちなので…。

Re: タイトルなし

ちょこさん、コメントありがとうございます。

> はじめまして。
> いつもブログやFB読ませていただいています。

ありがとうございますー。

> 答えにくいかとは思いますが「あの流通」が気になってしまいます(^^;;
> 気をつけていないと、ネットや本の情報に振り回されてしまいがちなので…。


むむむー。答えにくいのです。。。。。。

しかし自然栽培の方々の作物を積極的に売っていらっしゃり
売り先のない方たちはずいぶん助かった、とおっしゃってますから、
それはそれでいいことなのだと思います。

売られている食べものは、基本的には安全とか危険とかはなく、
消費者に必要なのは安心です。
その安心をきちんと担保できる仕組みがあるかどうかが大切です。

とくに、何かと比較して安全というのであれば、
自分たちがそのしくみを持っている必要があります。

大地を守る会は安全とか危険とかは言いいませんが、
消費者に安心してもらえるシステム→基準、栽培履歴確認、
基準どおりに栽培されているかどうか第三者による監査、分析
などをちゃんと構築していました。

有機JASも基準、検査、第三者認証というシステムです。

つまり、このようなシステムをつくっていないのに、
安全だの危険だの言うこと自体「脇が甘い」ので、
そのことに驚愕したのです。

ということで、ちゃんとお返事できずにすんません。

安全の主張はまだやってらっしゃるかどうか不明です。
(興味がないので調べていません)もうやめてるかもですね。

ありがとうございます

ほんたべ さま

丁寧なお返事をありがとうございました。
FBのコメント欄もあわせて読ませていただきまして、納得しました。

これからも勉強していきます!

Re: ありがとうございます

ちよこさん、こんにちは。
>

> 丁寧なお返事をありがとうございました。
> FBのコメント欄もあわせて読ませていただきまして、納得しました。
>

なんかミョーに盛り上がっていましたから、
みんな興味あるのだなと思いました。

今後ともよろしくお願いいたします!
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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