意外と知らないいちごの話

gazou 099
赤くてかわいらしいいちご。売り場で見るだけでウキウキしてしまいます。
関東で一番いちごがおいしい時期は1月。二番果が出荷される頃です。でもその頃はお高いですね。



約20年前、なんちゃって有機栽培の家庭菜園で、ひと畝だけいちごを栽培していました。

甘いというよりすっぱい方が勝っていて、まさにベリーって感じの味。
それでも無農薬だったので、少しずつ収穫して楽しんでおりましたです。

しかし、しかし。露地栽培ですから、私以外にもなめくじと小鳥が狙っていて、
赤くなったものを3者が競争で食べるような状態。

あっ!きれいなのがあった!と裏返すと、なめくじが味見した後だったりして、
「小鳥もなめくじも同じ地球に住む仲間なんだから仲良くね」なんてことは一度も思わず、
いろいろ野蛮な防除方法を想像しているうちに、いちごが終わるという日々でした。

お砂糖とミルクをかけて食べてた人がほとんどの昭和の時代、いちごとは、
パンチのある酸っぱい果物でした。ジャムにすると酸味があっておいしかったですね。

昨今では、いちごは甘くて大粒なものに品種改良され、お砂糖なんて必要ありません。

平成のいちごは「西のとよのか、東の女峰」と言われ、長い間この2品種が主流でしたが、
現在では「とちおとめ」「あまおう」「紅ほっぺ」「アイベリー」など、様々な品種が栽培されています。

いちご
地面を黒マルチで覆って土に触れないようにしてあります。
45度で果房が出るのが正しいチッソの効き方らしいのですが、これはべったりくっついてます。
西出先生によると、こういう形になるのはチッソが効きすぎているとのことでした。



これらのいちごは露地で作られているわけではなく、基本的にはハウス栽培。
露地栽培では、病害虫・小鳥との闘いなど、いちごは非常に作りにくい作物なのです。

ハウス栽培のメリットは、環境のコントロールができること。

雨が直接作物にかからない=病気予防、
地面をマルチで覆う=土壌由来の病気予防、水分コントロール
灌水設備=食味の向上、病気予防、水分・湿度のコントロール
ビニールの保温効果=温度管理、収穫期のコントロール…などなど。

私の師匠、西出隆一さんは、いちごの水管理が一人前になるのに3年かかるとおっしゃいます。
それほどにハウス栽培の管理はとっても難しいのですが、メリットは測り知れません。

生食用の消費量が世界一と言われる日本のいちご、
そのまま食べておいしいもの、素材の味に世界一うるさい日本人のための
食味向上の品種・技術開発に余念はないって感じでしょうか。

IMG_0872.jpg
いちごハウスに行くとだいたい設置されている、二酸化炭素の発生器。光合成を促進します。
ただ、葉っぱがきちんと同化をする性能のいい葉になってないと意味ないそうです。
いちごって施肥も水分管理も、ものすごく難しいのですね。



さて、いちごには意外とたくさんの農薬を使います。

いちごは土壌由来の病気に大変とても弱い作物。
発症すると全滅の可能性もある病気に感染することもあり、土壌消毒は必須です。

以前調べたときには、栃木県の防除暦で、開花前の農薬成分数30、開花後20でした。
「うへえ」ってな数字ですね。

いちごは成長と結実を同時に行う作物のため、
なっているいちごに農薬が全部かかっているわけではないのですが、
そのまま口に入れるのはちょっとコワイ感じです。

幼い頃、私の母はママレモンでいちごを洗っており、幼心に虹色に輝くいちごを見て、
「きれいだな~」とか思ったりしていましたが、今考えると大変恐ろしいのです。
でも、その気持ちは少しわかる気がします(当時は奨励されてたそうです)。

合成洗剤の必要はないと思うけど、とりあえず、いちごはよく洗って食べた方がいいと思います。


不自然と言えば不自然
いちごが空中になってますよ~。非常に人工的な感じがするけど、そう思うのは私だけかな。
液肥で施肥管理できるからバランスが取りやすい=味がいいと作ってる農家は言うけど、
土耕の人は土耕の方がおいしいって言ったりして、どっちが本当なのかは不明です。



最近、いちご狩りなどで見たことがある方もいらっしゃると思いますが、
高設栽培という中空で栽培するいちごが増えてきています。

高設栽培は、雨どいのような容器に培養土(土・ロックウールなど)を入れ、
肥料は基本的に液肥で栽培されます。灌水も施肥も自動でできる便利な設備、
地べたにはいつくばって中腰で作業をしなくてはならない土耕栽培と比較して、
大幅に作業性が良くなることから、土耕から高設に切り替える人が増えているようです。

もちろん、高設栽培には初期投資がものすごくかかるのですが、
後継者のいる農家では先が長いため、そう決断する人が多いと聞きました。

そのうちいちごの土耕はなくなっちゃうんだろうなあと想像しています。

さて、このいちごの高設栽培に代表される「培地を地面から切り離した栽培」は、
土壌由来の病気にかかりにくく無農薬栽培が可能になること、
施肥・環境のコントロールが容易なこと、人為的に土を構成できることなどがメリット。

水分調整を完璧に行い、糖度を高くする必要のあるトマトなどでも
土と培地の間にシートを敷き、水分をコントロールして栽培されているものがあります。

しかし、この土を切り離す農法では、有機JAS認証は取れません。
有機は土耕栽培が前提、なぜなら有機栽培の基本は土づくりだからなのですね。

IsMG_0952.jpg
私の師匠・西出隆一さんのいちごハウス。前作のトマトの茎が分解途中で残っています。
カルスNC-Rとネニソイルという微生物資材を入れ、ボカシ肥で作る西出さんのいちごは、
なんと無農薬栽培。しかも糖度も高いのです。冬の日本海側の日照で、なぜこんないちごができるのか。
それが本当の技術ってことじゃないんでしょうかしら。



天候に思い切り左右される露地栽培はリスクが高く、出荷時期のコントロールも難しいもの。
ある程度環境を管理できるハウス栽培が主になっている作物は、いちごだけではありません。
そのうち、露地野菜がなくなったりするのかもしれませんね。

かわいらしくて甘くておいしいいちご。でも、時々薬品臭がすることがあるいちご。

安心できるいちごを食べるには、自分で作るのが一番。
小鳥にもなめくじにも優しい自分でいられる自信がついたら、区民農園で作るかもしれません。


                ★★★

西出隆一さんの講演のお知らせ

カルスNC-Rでおなじみのリサール酵産(株)主催の西出隆一さんの講演があります。

西出さんのお話を聞いてみたい方、ぜひご参加ください。
西出隆一さんについては過去ログから↓
科学的な有機農業を実践するひと 穴水町 西出隆一さん
http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-9.html

講師:西出隆一さん
参加費:無料
日時:3月11日(金) 午前の部:10時~12時 午後の部:14時~16時
場所:埼玉県さいたま市 (見沼グリーンセンター会議室)
定員:120名 ※定員残りわずかだそうです。
申込締切:3月7日
申込・お問合せは:リサール酵産(株)
FAX 048-668-3315 又は電話 048-668-3301

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こんばんは

ほんたべさんこんばんは。

なるほど、普通のいちごには農薬たっぷり、と思ったほうがいいんですか。
というか、無農薬で管理するのが非常に難しい作物、と言ったほうがいいのかな。

余談ですけど私、果物、特にベリー系の酸味が苦手でして、
写真見るだけで唾液が口の中にあふれてきてダメなんです。
たっぷりの練乳に入れてつぶせばおいしく食べられますけどね(ほとんど子供)。
そういやさっき「とちおとめ」むりやり食べたばっかりなんですが。
まったくのところ拷問・・・。

文中の西出さんのいちごならおいしく食べられるのかな。

ではでは

Re: こんばんは

Fuさん

> というか、無農薬で管理するのが非常に難しい作物、と言ったほうがいいのかな。

そうでございます~。

WEBで有機いちごの割合を検索しても出てこなくて、無農薬で栽培すると歩留まりが10%とか
恐ろしい数字が出てましたです。

土壌バランスと微生物と施肥及び水分管理…難しいことがてんこ盛りみたいです。
でも西出さんはやってんですけどね。スゴイです。

> たっぷりの練乳に入れてつぶせばおいしく食べられますけどね(ほとんど子供)。

練乳がけいちご…長いこと食べてません(笑)

甘いだけじゃなくて酸味がないと間抜けた味になるので、
ある程度の酸味はバランスとして必要だと思うんですが、
私はベリー系はいいけど、すももの酸っぱいのが全くダメな別系統のおこちゃまです。

りんごの酸っぱいのも苦手です。紅玉とか。
酸味って、苦み同様大人の味ですよね~(言い訳)。

No title

子供の頃っていうと、今から50年も前なのか~
と思うと、イヤになりますが(苦笑)
庭の端っこでいちごを一畝育てていました。

手入れも全然してないし
小さいし、裏っかわなどは紅くなくって
あんまり甘くはなかったけれど、コレが「いちご」だって味で、
今のいちごは、美味しいけどどうも甘すぎるのかな?

庭の真ん中に、おやつで食べた枇杷の種を埋めておいたら
結構大きな木に育っちゃって、この実も美味しかった。

昔の果物って、埋めておいたら芽が出て育ったものでしたが
今のヤツって、ちゃんと芽が出るのかな?

なんて、妙な事を思い出してしまいました(笑)

Re: No title

癌ダムさん

こんにちは。
癌ダムさんもいちご栽培者でしたか!

びわの発芽率はいいですよ~。たぶん85%くらい(笑)

自分ちの庭のびわほどおいしいものはないですよね!
売ってるのは鳥よけ用に袋をかけてあるので、やっぱり糖度がちょびっと低いです。

芽が出ないのはすももですかねえ。
やったことないけど、果実と一緒に埋めないと出ないと農家に聞きましたです。

プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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