オーガニック(安全)なら何でもいいのかという疑問

桃の花10
桃の花がそろそろ満開ですよ~。日本での果樹類の有機JAS取得割合はとても低く、
そもそも気候が果樹栽培に向いていないんだろうなあ…としみじみ思います。
四季がある美しい国、日本。しかし、梅雨で病気が感染し、春~秋にかけて害虫も発生し、
害虫が越冬できるあったかい冬の日本。でも世界一果物のおいしい国でもあります。


有機JAS認証について書いたその日、夜半になって急に脳内のシナプスがつながり、
サビついた記憶がよみがえりました。

「そう言えば反対の理由って、もっと他にもあったよなあ…」

表示を規制すること以外に、海外からの輸入オーガニックに対しての懸念を、
各団体が表明していたことを、ぽこっと思い出しました。

有機JAS認証海外格付けの数字を提示しながらちっとも思い出せなかったのは、
ビールを飲み過ぎているせい? っていうか、老化現象?

まあ、ともかく以下のようなことだったです。

「有機農業を推進するのなら、日本の農業を守らねばならない。
そういった理念なしに表示の規制のみ決めてしまうと、
安全なら(オーガニックなら)、海外から輸入し国内生産でなくてもいい、
そんな考えを持つ人(流通・企業)が増え、日本の農業を守ることにつながらない」

有機農業=農業を含め環境を守る と言う理念ですから、当然の指摘でした。

gazou 047
まっすぐな一本葱は中国からの輸入のものがとても多く、居酒屋なんかで食べる
ごわごわした葱は「輸入かな~」と背中のへんがいつも寒くなります。おいしくなくて。
これは有機JAS認証を取得した自家採種のものすんごくおいしい葱。こういう葱を居酒屋で食べたいなあ。



輸入野菜の方が規格が統一でき(規格以外のものは買いあげない)、
日本で作るよりも安く、欲しいだけ発注できる…輸入野菜にはそういったメリットがあります。

例えば、冬の葱が不作で、葱の市場価格がじりじりと上がり始めると、
中国から葱が大量にやってきて、葱の市況が下がります。

当時働いていた会社では、契約価格で市況に価格が左右されないため、
基本的に野菜はいつも割高なのですが、市況が上がるとそれよりも市場が高くなるため、
野菜が飛ぶように売れ始めます。年に1・2回、そういうことが起こります。

しかし。市況が上がり始め「うおっ!いいぞ!」と思うと、急に価格が下がるのです。
「ああ~また輸入されちゃった…」と、よくがっかりしたもんです。

輸入できる野菜は決して価格が上がらないことを体験すると、
農業とはなんと不安定な仕事なのだとよくわかります。

海外のものではなく国産の野菜を消費者が求めない限り、この流れは変わらない。
オーガニックという表示がされていても、海外産が安ければ皆それを買ってしまい、
日本の農業はますます衰退してしまう…当然の懸念でした。

画像 002
2月で閉店してしまいましたが、銀座和光のレストラン「THE WAKO」では私の知り合いの
有機野菜を一部使っていました。水曜日に入荷するので、金曜日くらいまでメニューに入ってたかな。
こういうお店がもっと増えるといいんですけど、まあ、経営不振で閉店したのですが…。



そしてそれは今、すでに現実のものになっていたのでした。
国内格付けよりも、海外格付けが多いものがたくさんあるんですよ、びっくりです。

おそらくそれらは外食産業や加工品に利用されているのでしょう。
原産地表示をしげしげと見ないもの、原産地表示をする必要がないものなどに、
とても使いやすそうです。しかも優位性があり価格も安く提供できます。

そしてそして。「有機」と大きく表示できるのです。

少し数字を調べてみました。

        国内格付        海外格付け
野菜     35,928トン    173,819トン
果樹      2,050トン     90,857トン
米       11,278トン     13,835トン
麦          883トン     83,418トン
大豆      1,318トン     94,250トン
コーヒー生豆     0トン      7,630トン
ナッツ類        0トン       8,236トン
さとうきび       25トン   1,366,243トン

※農水省「平成20年度 認定事業者に係る格付実績」より抜粋
http://www.komenet.jp/_member/documents/2010/03-100106.pdf

日本で栽培できない作物は当然ですが、それ以外のものも海外格付けが多いです。

それはどういうことなのかしら? 一番考えやすいのが大豆です。
自給率が低いにもかかわらず、有機の納豆やお豆腐、豆乳がたくさんあります。
これは原料が輸入オーガニックってことなのですね。

gazou 039
「中東に畑があったら無農薬でぶどう作れるのになあ…」と昔ぶどう農家に言われました。
梅雨と台風がなければ無農薬栽培は容易だと果樹農家はよく言います。
誰にでもできるわけじゃない、日本で低農薬栽培するのがいいんじゃないですか! 



私は、何が何でも国産品を!と思ってるわけではないのですが、
日本で栽培できるものは国産のものを食べたいと思っています。
食べること=農業を支えることにつながると、実感として知っているからです。

しかしまあ、この流れはもう止めようがないんじゃないかなあ…
諦念にも似た気持ちが今、心の中にあふれております。
「安全なら何でもいい」という人が多いのが今の世の中。
オーガニックであれば何でもいいという人、知らずに選択している人、多そうです。

でも、みんなが忘れていることをひとつしっかりと覚えていました。

2002年頃だったか…中国産の有機ほうれん草から、大量の残留農薬が検出され、
全て回収されたという事件があったです。

その農薬の名前は「ダーズバン」。あの~、この農薬、日本では主に果樹に使うですよ。
しかも残留するから収穫時からできるだけ外して、初夏に使うことが多いですよ。

栽培期間の短い菜っ葉に、なぜこんなに強い殺虫剤を使うのか、
またなぜそんな濃度で残っているのか…見当もつきませんでした。

毒入りぎょうざほど話題にならず、知らない間に収束したこの事件。
ほうれん草を輸入した業者に知り合いがいて、卸先(主に生協)を訪問しては、
平謝りしてるという話を聞き「やっぱ輸入食品って…」とつくづく思ったのでございました。

renso.jpg
冬は病害虫がいないので、基本的に菜っ葉は無農薬栽培が可能です。
春・秋は害虫が出始めるけど、栽培期間が50日程度と短いので無農薬栽培は可能です。
菜っ葉に農薬をまく人はとても多く驚くのですが、さすがにダーズバンはまかないでしょう。



一番安心できるのは、自分で作ること。
それができなければ知り合いから買うこと。
そうでなければ、きちんと履歴を取ってる流通から買うこと。
これが今までの常識だったです。

しかし、福島第一原発の事故以降、日本での食べものの安全性は、
放射能の数値でしか考えられなくなっているかのようです。
誰も今農薬のことは気にしておらず、原産地表示を今までになく気にしています。

農家にとっては、自分の栽培したものに責任を負えなくなる可能性がある、
(空から降ってくるもので安全性が失われる可能性がある)
それが今の状態。考えただけで精神が蝕まれるような状態です。

もう少ししたら「輸入した野菜の方が安全」と誰かが言い出すかもしれません。
でもちょっと考えてみて欲しいのです。

宮城県の水田が今後約1万ヘクタール塩害で使用できないと報道されていましたが、
今回の震災で被害を受けた東北地方は、県ごとの食料自給率が100%以上の
他県の食料を生産している食料生産地帯です。

ここを守らねば日本の未来はありません。

gazou 002
おいしい日本のお米…今年も絶対に私は食べたいです!食べ続けます!


こんな時だからこそ、食べ支えることがとても大切なんじゃないでしょうか。

とりあえず、お店に売ってるものは農薬も放射能も基準値以内なのだから、
安心して食べましょうよ、と言いたい私です。


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知識を身につけて自分で判断しましょ

>とりあえず、お店に売ってるものは農薬も放射能も基準値以内なのだから、
>安心して食べましょうよ、と言いたい私です。

ふだんのほんたべさんの発言からすると、ちょっと違和感を感じてしまいました。
真の風評被害と原発被害とがごっちゃにして報道されてる中で、
基準は状況に応じて都合よく変わりますし、産地偽装もあったり、
不信感持ってる人も多いんじゃないですかね。

あとこういう話もありますしねぇ。
http://jisin.jp/news/2488/2435/
一定の高齢者はもうあんまり関係ないからどんどん食べて、
でも若い人は気をつけるように、って政府がぶっちゃけてもいいと思うんですけどね。

自分はチェックを厳しくして補償するのが妥当だと思ってますが、
まぁ知識を身につけて自分で判断するのが現実的かと思います。
津波でも、避難所で安心しててやられた人がいる一方で、
自分で判断して避難所からさらに避難して助かった人もいましたね。
あらゆることにおいてですが、
知識を身につけ自分で判断する労力を払いたくない人は常に一定のリスクを負うと。

Re: 知識を身につけて自分で判断しましょ

H2さん

レベル7になってしまいましたねえ。
真剣に深刻な事態が延々と続いています。
今日ニュースを見ていて、畜産農家の嘆きが身にしみました(泣)

ところで、昨今出てくる基準値の「ベクレル」とは、放射性物質の量を表す単位。
シーベルトは放射線が人体に与える影響を表す単位で、
放射能を表す際にはベクレルが使われます。

http://memorva.jp/school/safety/radiation_bq_sv.php

で、上記はベクレルをシーベルトに換算してくれる自動計算つきのサイト。
わかりやすく書いてあるのと、自動計算してくれるので便利です。

これで計算してみると、基準値のものを一年間食べ続けても
「まあ、これぐらいいいか」という数値が出てきました。

ここで出てくる数値は内部被ばくの数値ではありません。
しかし、口から入れるものを積算するとどれぐらいという数値の目安にはなります。

もちろん小さい子供や乳幼児をお持ちの方は別ですよ。
(乳幼児は10倍、子どもは4倍程度で考えるべきという説もある)
でも、単におびえたり心配したりするだけではなく、
H2さんのおっしゃる通り、知識を持って自分で判断するしかないと思います。

ちなみに、先日原子力資料情報室の原発の学習会で聞いたのですが、
人間の体内に取り込まれた放射性物質はきちんと代謝されるそうです。
なので、ヨウ素131はそれほど気にしなくて良くて、
セシウム137は体内では100日程度で半減期を迎えるとのことでした。

でも現在まだストロンチウムの数値が出ていないので、どうなのかな~とは思っていますが。

ストロンチウムはカルシウムと同じふるまいをするので、骨に蓄積されます。
現在の私たちの骨にはチェルノブイリから出たストロンチウムが存在するらしいです。
とくにうれしくもない話なんですけど…。

No title

「オーガニック」もすっかりマーケティングの言葉になってしまい、曖昧で残念なイメージがついてしまいました。過去に遡っての農薬や殺虫剤の利用の有無まで確認してのオーガニックのはずだったのに。
あと、流通に関しても気をつけないといけないかなと。せっかくオーガニックで育てても、倉庫や輸送中で薬品を使ってしまう可能性が無いわけじゃない。その点は日本の物流は優秀で迅速、正確。海外から持ってくるときが心配です。

Re: No title

リンクさん

>倉庫や輸送中で薬品を使ってしまう可能性が無いわけじゃない。

有機農産物を流通する際には、「小分けの認証」というのを取得しないといけないのです。
有機JASマークを貼ってあるものとその他のものが、絶対混ざらないしくみができてるかどうか、
そんなところを確認されます。

>その点は日本の物流は優秀で迅速、正確。海外から持ってくるときが心配です。

法律なんで守られてるはずなんですけどね。
日本人ができるからよその国の人も同じくできるってことじゃないみたいで。

例えば、狂牛病対策なんか聞くと、日本人の勤勉さ、手先の器用さは
他の国の人にはできないんだとよくわかります。

アメリカでは、日本と同じような屠畜ができないらしくて、
そういったこともあり、絶対にコンタミしないような部位しか輸入できないと聞きました。
(それでも混ざってましたもんね~)

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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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