土壌分析診断やりました

gazou 186
科学的な家庭菜園の収量目標は、一本の樹からナスを100個でございます。
なんつって。そんな剪定できるんか。前回は一回目の剪定でわけがわからなくなりました。
少ない面積で高収量ってのが、家庭菜園ならではの醍醐味でございましょう。



高品質多収の家庭菜園のためには、適正な施肥設計が必要でございます。
というので、土を分析に出しておりました。

ところが、もうじきGW。

自家育苗のできないへなちょこ家庭菜園家としては、
農協よりもいい苗を販売している近所のユニディさんで苗を購入するのですが、
早く施肥しないと間に合わないと焦りまくっていましたら、来ましたよ、分析結果が。

さて、その結果は。
思った通りカルシウム過剰のチョーバランスの悪い畑でございました。

まあ、いいけどね…そうなると思ってたよ。近所の農家、全く分析なんかしてないし、
年に一回やみくもに石灰入れてるし。

だいたいさあ、6月とか9月とか、毎年どっちかの号の「現代農業」に、
必ず「石灰で病害虫激減」とかわけわかんない記事が載ってるのはどういうわけ?
うっかりみんな、石灰入れちゃうじゃんか。

あれって、クレーム来たりしないのかな~。
毎年石灰入れてたら、過剰になって大変なことが起きると思うんだけどさ、
そういうこと、全く記事になってないし…ぶつくさぶつくさ。

てなことを置いといて、数字を転記してみます。

白い点はカルシウム
ハウス栽培のトマトで水管理を失敗すると、カルシウムを急激に吸って
トマトの表面にキラキラした白い粒みたいなパールのようなきらめきが出てきます。
急激な吸水が原因のため、こういうトマトは糖度が低いことが多いです。



まず、CEC → 32.8

CECってのは塩基置換容量と言いまして、
土が肥料をどれだけ保持できるかの目安の数字になります。
露地畑では20以上、ハウスでは30以上が目標です。
この数値を基にして、石灰・苦土・カリの適正値を計算します。

ほんたべ農園では、なぜか32.8もありました。
火山灰土の典型的な数字です。高すぎるので割り引いて考えます。

次に腐植 → 3.18

腐植は団粒構造を作る際に大変に必要なもので、適正値は5でございます。
3.18しかありません。今後モミガラ・残さ等々をバカバカ入れる必要があります。

あとはそれぞれの塩基類の適正値を計算します。

石灰 → 549.90 →ひえ~! 見た瞬間に腰がくだけました(泣)
苦土 → 82.60
カリ → 59.20

何度も言いますが、それぞれの適正値はCECの数字から導き出されます。

普及所や農協で分析してもらうと、CECが出てこないことがあり、
それで適正値とか書いてあるのでびっくりします。

IMG_1053.jpg
尻腐れ病とか言われるけど、この症状はカルシウム欠乏が原因。そもそも畑に足りないのか、
じゅうぶんにあるけど水管理のせいでカルシウムが吸えなかったか…。
土壌分析をしていなければ、原因も追究できないのですよ。分析って大切なんですよ。



土がどれだけ肥料をつかんでおけるかわからない状態で、適正値もへったくれもありません。
CECの大きさによって、塩基類の必要量が変わってくるのです。
CECが高ければ高いほど、入れられる塩基類もチッソも多くなるんですから、
年に一回はきちんと分析した方がいいと思いますですよ。

ということで計算いたします(CECが32.8ってのは高すぎるので25で行います)

カルシウムの適正値 CEC×0.6(ハウスの場合は0.8)×5/8×28→ 262.5
分析数値・549.9-262.5=287kg過剰

マグネシウムの適正値 CEC×0.6(ハウスの場合は0.8)×2/8×20 → 75
分析数値・82.6-75=7.6kg過剰

カリウムの適正値 CEC×0.6(ハウスの場合は0.8)×1/8×47  → 88.2 
分析数値・59.2-88.2=29kg不足

それぞれ一反(10アール)当たりの数字なので、15平方メートルに換算します。
石灰・苦土は過剰。カリが435g必要ってことになりました。

カリ欠乏症
カリの欠乏症。特徴は下葉の葉先が枯れこむこと。カリは植物体内を移動するため、
新芽に足りなくなると下の葉っぱから足りない分を移動させるので、下葉に症状が出るのです。
日々植物を見て、何が足りないか、何が多いか見極める観察力も大切ってことですね。



次にチッソ分 → アンモニア態チッソ・4.09、硝酸態チッソ・1.67。

ほんたべ農園にはチッソの残留が約5.6kgあります。
チッソの適正値は、CEC×0.2×14 ですから、理論上一反あたり70kgまでOKです。

でもそんなに入れませんよ。団粒構造ができていないので、流亡する可能性が高いから、
ちまちまと追肥で対応いたします。

夏場の果菜類に必要なリン酸 → 17.73

リン酸の適正値50~100。む~、思い切り足りませんね~。
さらにリン酸吸収係数が2230とべらぼうに高い数字です。
ほんたべ農園は、火山灰土にありがちなリン酸が吸われにくい土壌なのでした。

少し多めに1.5kg入れちゃおう。果菜類を作るし、これぐらい大丈夫でしょう。

グリーンマーク
このようにグリーンマークの出たおいしそうなトマトは、基本的には5段目までなら素人でも作れます。
勝負は5段目以降。前回は隣のオヤジと何段採れるか賭けをしてあっさり負けましたが、
今年は目標8段ってことで鋭意努力したいと存じます(いいオトナですからもう賭けませんよ)。



結論→カリ435g、リン酸1.5kgを投入

石灰過剰なので、石灰の好きなトマトや豆類がよくできるでしょう(希望的観測)。
さあ、飛び散る放射能に気をつけて、肥料投入だ!

そして詳細は次回だ!


■営業のお知らせ
・土壌分析をしてみたけど、診断方法がわかんないという方
・分析をしてみたいという方、ご相談承ります。以下にご連絡くださいませ。
 料金等、詳細はメールで  info@hontabe.com

※上記、土壌についての詳細はほんたべのWEBサイト「ほんものの食べものくらぶ」
土づくりは有機農業の基本「土の化学性」をご参照ください。


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いしばいのおじちゃん。

 畑で作業していると、自転車で通っていくおじちゃんがよく、
「いしばい入れんとかん。」って言ってるんですが、
いしばいって?何??
って最初思ってたけど、いしばい=石灰ですね。

 トマトを作るときは石灰をたくさん入れて作らんといかんって
言われるし、周りの畑を見ても石灰で真っ白になってるのを
よく見かけます。
研修でも、作付けする前は必ず石灰は入れてたし。

 いまいち石灰の必要性がわからないんですが、
やっぱり日本の土壌は使っていると酸性になってしまうものなんでしょうか?
石灰を使わずにpHを直す方法ってありますかねぇ?

 ってコメントなのに質問ですみません…。

Re: いしばいのおじちゃん。

のんのん、まいさん

> 石灰を使わずにpHを直す方法ってありますかねぇ?

石灰、苦土、カリ。塩基類を入れるとPHが上がります。
PH調整は石灰だけじゃないんですね~。
要はバランスです。

土壌分析すると塩基飽和度ってのが出てるはずなのですが、
塩基飽和度が高ければ高いほど、PH値も高くなります。

ほんたべ農園のPHはちょっと高くて6.8とかでした。
塩基飽和度は76.3でした。高いっす。

でも豆・トマトを作るので気にしません。

一作でもずいぶんカルシウムを消費するもんです。
次回の分析結果は、カルシウムが減ってると思うです。

今ほとんどの農地が石灰過剰になってるので、土壌分析するまでもなく、
石灰を入れる必要はないと思います。
入れてる人を見ると「無謀だ」と思います。

石灰は細胞膜を作る働きがあるので、必須要素になってます。
ちなみに、苦土は葉緑素、カリは植物体内の物質の移動に利用されます。

石灰欠乏症は、トマトの尻腐れ、キャベツなどの芯腐れ等々の症状が出ます。
石灰は植物体内を移動しないため、新しく出来る細胞部分に欠乏症が出るようです。
旱魃で水が吸えなかったりすると、カルシウム欠乏症がよく出ますよね。

今までずいぶん土壌分析の結果を見てきましたが、
酸性土壌の分析値なんてあんまり見たことないです。

人々が「日本の土壌は酸性だから」とまじめに石灰を入れてきた結果だと思いますです。

石灰過剰だと苦土の欠乏症が出やすいので、気をつけてくださいね~。

No title

う、ほんたべさん。
数字恐怖症の自分としてはそこだけ飛ばして読ませていただきました。
なんでそんなにイヤかっていうとそもそも健康診断で出る血糖値とか脂質とかの数値を見ることの恐怖からきてるんぢゃないかと自分では思っております(高脂血症だと診断されたことあるもので)。

ともあれ、これだけ精緻に分析しておかないと後々「おいしいものがいっぱい」採れないというわけですね。
おいしい野菜いっぱい食べて健康になりたい!です。

関係ないですがこのあいだの日曜日、代々木公園のイベントで大地を守る会、元気に出店しとりましたよ。名前が長くて難しいミカンだかレモンだかみたいな果物買いました。すっぱかったです。ウチのもんどもがおいしいおいしいと喜んで食べてましたです。信じられん。

ではでは

数字の計算

数字間違ってませんかね?
「カリが1.33kg必要ってことになりました」
と書かれていますが、
これは88.2に面積比0.015を掛けた値ですよね。
不足分は29kgということなので、それに0.015を掛けると0.435kgですよ。

ところで、いろいろと本はあさっていますが、
こういう数値が出ているものはほとんどありません。
おススメの書籍とかありますか?

No title

ほんたべさん、こんばんわー。カルシウム!うーん。骨太な畑ですね(苦笑)。
トマトがカルシウム過多だと、あんなことになるのですね。そういわれると、売っているトマトに、キラキラしたものがあった気がします。あれは、そこの土地がカルシウム過多だったのでしょうね。

詳細も楽しみにしています♪

Re: No title

Fuさん

> ともあれ、これだけ精緻に分析しておかないと後々「おいしいものがいっぱい」採れないというわけですね。

土壌分析だけじゃなくて、水の管理とか剪定とかもいろいろあるけど、
やった方が「おいしいものがいっぱい」採れると思ってます(当社比)。

>名前が長くて難しいミカンだかレモンだかみたいな果物買いました。

これはニューサマーオレンジじゃないでしょうか。
黄色くて、ポンカンくらいの大きさ。
で、白い皮も食べられるってヤツです。

伊豆辺りではニューサマーオレンジ、西日本方面では小夏と呼ばれてます。
あれ、そんなにすっぱくないですよ。
白い皮が幸せな感じでおいしいです。

おこちゃまな私は夏ミカンとかいよかんとかはっさくとかダメですが、
そんなにすっぱくないので、ニューサマーは割とおいしく食べられます。
Fuさんも大丈夫なのでは。

Re: 数字の計算

H2さん

> これは88.2に面積比0.015を掛けた値ですよね。
> 不足分は29kgということなので、それに0.015を掛けると0.435kgですよ

あっ、ほんとだ。
ご指摘ありがとうございます。恥ずかし~。

今日施肥の計算したところでした。
良かった~まだ入れてなくて。

> こういう数値が出ているものはほとんどありません。

土壌分析関係の本、誰にでもわかるように書いてなくてわかりにくいんですよね~。

武田健さんの「新しい土壌診断と施肥設計」って本にこういった数字が出ています。
前半部分が理論で、後半は自分のとこで作ってる畜糞堆肥の営業なので、
読むところは前半しかありませんが、だいたい網羅されています。

しかし。ミョーなこじつけで段落分けしてあり、それが非常にわかりにくいです。
さらに。彼の主張C/N比10が適当ってのは、ちょっと違うと思っています。

あとジャパンバイオファームの小祝さんの本なんかもいいかもしれません。
らでぃっしゅぼーやの生産者が、小祝さんの指導を受けていました。
講演はわかりやすいけど、本はどうかな? 読んだことないのです。

Re: No title

駆動さん

> カルシウム!うーん。骨太な畑ですね(苦笑)。

おお! いいですね。この表現。
いつか使わせていただいてもいいですか?
ナイスです! ぐっと来ました(笑)

> そういわれると、売っているトマトに、キラキラしたものがあった気がします。

水分の調整を間違えてトマトが水をぐわっと吸ってしまうと、キラキラしたものが出てきます。
水が多いトマトは糖度が低いので、あんまりおいしくないと思います。

ピンク色のパール果なんかは最悪です。
スーパーで絶対に選んではいけません(笑)

おいしいトマトはオレンジ色をしてますから、そういうのを選んでくださいね~。

科学的農業

施肥前でよかったー。
万が一にも計算ミスが起きないように、
評価シートのようなものをつくっておくといいですよね。

本の紹介ありがとうございます。
大きな書店で見てから1冊買ってみたいと思います。

適正値についてはやはりそれぞれの人の論なのですよね。
農業に関してはまだまだ科学的分析の途中で、
自分が一番納得できそうなものをとっかかりとして、
その後は自分で試行錯誤して詰めていく必要があると。

あと、水耕栽培だと肥料分はコントロールされていると思いますが、
育つには育っていても生で食べるとえぐいネギとかありますから、
妥当かどうかはできたものも分析してみないとわかりませんよね。

Re: 科学的農業

H2さん

> 施肥前でよかったー。

ありがとうございます。助かりました。
ブログも修正しておきました(笑)

> 適正値についてはやはりそれぞれの人の論なのですよね。

CECから塩基類の適正値を出す計算は、係数なので皆同じです。
C/N比は通常15~20と言われているのですが、なぜか武田さんだけ10とおしゃってるのです。

武田さんは農業をやっている人ではないのです。

その点西出隆一さんは、自分が農業者であり、しかも収量もものすごくて収入も高いというので、
確からしさという点ではやはり正しいのだと思います。

つまり実践と経験から出てきている理論だから、それに勝るものはないと思います。

> 育つには育っていても生で食べるとえぐいネギとかありますから、
> 妥当かどうかはできたものも分析してみないとわかりませんよね。

栄養分析をしても有機は優位性がないことは経験済みで、
あと食味関係では糖度・酸度位しかなくって、数値化がとっても難しいんです。

一番わかりやすい糖度に頼るしかないという感じですかね。

プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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