八十八夜ですから…お茶の話

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ぬるめのお湯でゆっくりと淹れたお茶の味は、まさに甘露と呼ぶにふさわしいもの。
とろりとのどを落ちて行った後の余韻、口中のさわやかさ…他の飲みものでは味わえませんねえ。



5月、新緑が美しいですね。そして新茶の季節でもあります。

昨今ではペットボトルのお茶の需要は増えてはいますが、
自宅で緑茶を楽しむ人は確実に減りつつあり、売り上げもいまいち。

かく言うわたくしも極度の貧血のため、緑茶禁止令がお医者さんから出ており、
このところは嗜んでおりませんです。

しかし上手に入れたあま~いお茶は、何よりのヨロコビ、シアワセ。
紅茶やコーヒーでは絶対に味わえない、至福の味だと思います。
やっぱ「和菓子には日本茶」です。

さて、そもそもは薬として日本に渡ってきたお茶。
2日は八十八夜でした。今回はお茶について書いてみたいと思います。

5月に出てきた新芽を摘み取り作られるのが「新茶」。
お茶農家は、摘み取った生葉をその日のうちに「荒茶」に加工します。

IMG_0631.jpg
新芽がようやく出てきたところ。4月上旬の状態なので、摘みごろはこの後一カ月位です。
手摘みの方がていねいだけどお金もかかるし、通常は機械でぐわーっと刈ってしまうようですよ。



荒茶とは、①生葉を蒸す ②揉む ③乾燥する までの工程を終えたお茶のこと。
この後仕上げ・再乾燥(火入れ)を経て、お茶の完成です。

茶の味は、茶葉の品質・蒸し時間・火入れ乾燥の状態などで
同じ品種の茶葉でもさまざまな味に変わります。
それが作り手の嗜好の見せ場、腕の見せ所でもあるようです。

最近よく見かける「深蒸し茶」は、最初の蒸しの時間が長いもの。
加熱時間が長いため茶葉の細胞が壊れており、
内部の葉緑素やうまみが出やすく、濃い色のお茶になります。

緑色のお茶が出てきたら、深蒸し茶だと思って間違いありません。

わたくし、このお茶を飲むと胃が痛くなるので飲めませんが、
色合いが美しいので深蒸し茶を好む人も多いようです。

また、仕上げの乾燥や調整などをしていない「荒茶」で製品化されるものもあります。
お茶そのもののさわやかな香り、新鮮味、すっきりした味が特徴で、
個人的には荒茶が好きなのでございます。

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深蒸し茶じゃない新茶の水色は山吹色。味わいは100g1,000円以上のものなら間違いありません。
80度以上になるとタンニン(カテキン)が出てくるので、一煎めは70度くらいのお湯がお勧めです。
ポットのお湯をゆのみに取ると80~70度に下がるので、その後急須に入れればOK。
アミノ酸たっぷりのうまいお茶が楽しめるでしょう。



いずれにしても、茶の味わいのもとはアミノ酸。
柔らかな葉にはアミノ酸含有量が多くうまみが強いため、
初夏に出てくるやわやわとした新芽で作る新茶は、特別な商品なのでした。

さて、アミノ酸とくればチッソです。茶の栽培にはチッソを大量に使います。

以前は1反当たり100kgチッソ分を入れるようにと指導されていたらしいのですが、
さすがに地下水の硝酸態チッソ汚染が問題になり、最近は少なめになっています。
もちろんこれは有機質肥料ではなく、硫安とか尿素とかの化学肥料が主体です。

お茶の木というのは、お茶農家に言わせると
「チッソをあるだけ吸っちゃうバカな木」らしく、入れたら入れた分だけチッソを吸います。

その結果、葉っぱは軟弱に育ち、病気にも虫にもやられやすくなるので、
静岡県の慣行栽培では12成分。京都府では21成分(煎茶)となっておりました。
お茶なのに。葉っぱなのに。けっこうな回数なのですね。

草畑
有機の茶畑。春の草が生えてきています。夏の草取りはものすごく大変らしいです。

除草剤ー
慣行栽培の除草剤散布の茶畑。草ひとつ生えておりません。
除草剤を散布した畑って、どうしてこう荒涼とした印象を与えるんでしょうねえ。



最近は、有機JAS認証を取得したお茶がたくさんありますから、
農薬がイヤな人は有機JASシールのついたお茶を選択することが可能です。
有機JASの茶畑が増えていけば、チッソ汚染も少なくなるわけですから、
エコ的な観点から、有機を応援してほしいな~と個人的には思っております。

さてしかし。

昨今ペットボトルのお茶飲料の台頭が著しく、緑茶の衰退も著しく、
有機どころか、お茶の栽培自体が厳しくなってきていると聞きました。

10年ほど前には「二番茶が売れるんだよね~」とうれしそうに言ってた農家がいましたが、
最近はベトナムや中国で栽培された茶葉が使われるようになってきたらしく、
価格的に合わない国内産のお茶は、PETのお茶にはあまり利用されなくなってるようです。

製茶メーカーさんにペットボトルのお茶について聞いてみました。

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ペットボトルのお茶ってけっこう種類があるのですね。
このお茶の味を普通のお茶と比較してはいけません。お茶ではなく清涼飲料水なのですから。
「PETのお茶」として楽しめばいいってことですね。



ペットボトルのお茶350ミリリットルに使う茶葉の量は2g。
それを140円で売るのですから、あまりグレードの高いお茶は使えません。
原料茶をおろしてほしいと飲料メーカーが商談に来たそうですが、
提示された価格は一般的な相場の半額だったそうです。

主原料は安いお茶。そこに高級茶をすこ~しブレンド。
少し入っていれば商品に表示することができますから、
「玉露入り」の表示を「玉露なんだ~」と、うっかり信用してはいけません。

さらに加工の工程では、酸化防止剤(アスコルビン酸)が入ります。
混ぜ物が入ればお茶の風味が損なわれます。きっと酸っぱいのでしょう。
その味を消すため、安価な原料茶の火入れを強くし、香ばしさを出して味を調える。

そういったさまざまな工夫によって、ペットボトルのお茶は作られているのでした。

これは、ある意味職人技と言っても過言ではありません。そういう意味で、
職人が味の調整をしている的なCMは、事実を述べているのかもしれませんね。

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容器に水と茶葉を入れて半日置いておけば、水だし煎茶が楽しめます。
カテキンが抽出されないのであま~いお茶になりますよ。あとは熱いのを氷で冷やすって手もあります。
酸化はするし味は落ちるしで長時間持たないので、お早目にどうぞ。



自動販売機でペットボトルのお茶を買ってグビグビ飲む…ってのもいいのですが、
今年の夏、関東圏は自動販売機に規制がかかりそうですから、
自宅で水だし茶を作るのが「節電・エコ的生活」でいいかもしれません。

初夏のとある日、着物なんか着ちゃって、ゆったりとした心もちで新緑を楽しみながら
時間をかけてお茶を入れ、ちょっと奮発したいいお菓子といっしょに
ちんまりと「自分だけの時間」を楽しめる「ニッポンのお茶」。

新茶の季節だけは、緑茶禁止令を破ってうまいお茶を楽しもう。
全く改善されない貧血は置いといて、そんな風に思っております。


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No title

ほんたべさんこんばんは。

記事読んでお茶飲みたくなりました。
僕はもっぱら家ではインスタントコーヒー党なので、
外出でもしないかぎり日本茶いただく機会がないんですが。

たまには専門のお店でゆっくりいいお茶選んで、
ちょっと居住いを正してじっくりと深蒸しのお茶でもいただきたいものですね。
新緑のまぶしい季節ですから縁側で庭の様子でも眺めながら。

ではでは

Re: No title

Fuさん

Fuさんちのお庭だと、見るところがたくさんあって
風情もあって、楽しそうですね~。

家ではあのナントカテントウノミハムシにやられたヒイラギモクセイが見えるだけです。
知らない間に卵を産まれて幼虫が育ってました(泣)。
第二世代を絶滅させるべく、繁殖中の葉を全部摘み取る予定です。

自宅でお茶を飲む人は減ってるんでしょうね。
着物に引き続き、お茶も絶滅危惧種なのかもしれませんね~。

お茶

若い(つもり)ですけど、お茶よく飲みますよ。
プーアール茶、緑茶、ほうじ茶、麦茶、あたりをローテで。
コーヒーや紅茶を基本的に飲まないので。
マルシェで同世代のお茶農家(後継者)さんと出会ったので、
そこでも買うようになりました。茎茶も先日初めて買ってみました。
お茶農家さんは何店か出店されるんですが、
いわゆる無農薬栽培(栽培期間中農薬不使用)でもあるし。
素人の所感をいろいろと話したり、
お茶の詳しいことを教えてもらったりしています。

記事中にもあるお湯の温度と渋み・甘みの関係を知らなかったのですが、
その時々で味が変わることを話したら理屈を教えてくれました。
自分はいろいろと試したり調べたりするんですが、
そういうことをしない人に旨くないと思われたらもったいないので、
パッケージにも書いてあった方がいいよね、と伝えましたけども。

家族経営のところは夏までは忙しいので、
次のマルシェ参加はたぶん9月と言ってましたねぇ。

蛇足ですけど、ペットボトルのお茶は長時間の外出中にたまに買う程度です。
双璧は「おーいお茶」と「伊右衛門」らしいですが、
自分は「伊右衛門」の「濃いめ」が好きです(した)。
しかーし、先日久しぶりに飲んで今ひとつだなと思ったところでした。
しばらくほうじ茶を飲み続けていたからだろうかと思っていましたが、
今調べてみたらリニューアルしてたんですね。中身も。
意外に敏感な自分の舌にびっくりです。

あと、酸化防止剤はアスコルビン酸ではなくて
ビタミンCを使ってるものも多くないですか?、って書こうと思って調べたら、
イコールのものなんですね。
一つ勉強になりました。

Re: お茶

H2さん

> プーアール茶、緑茶、ほうじ茶、麦茶、あたりをローテで。

渋いですね~。
ほうじ茶、おいしいですよね。
煎茶がいまいちおいしくなくなったら、その茶葉を自分でほうじるのもGOODです。

私は新茶時期に煎茶を買って、その後あまり飲まないので味が変わっちゃうのですが、
自分で炒ったほうじ茶、ものすごくおいしいです。
お試しくださいませ~(笑)。

> マルシェで同世代のお茶農家(後継者)さんと出会ったので、
> そこでも買うようになりました。

お茶農家さんから直接購入されてるのですね。
そういうの、いいですねえ。

顔が見えるし、直接支えることができますもんね。

有機のお茶、安全性はいいのですが味がいまいちと昔よく言われていました。
チッソ分が少ないのと茶葉が硬いので、フツーのお茶の味が出ないとよく農家がぼやいていました。

でもその味を支える消費者がいれば、作り続けていけますもんね。
買い支えることってものすごく大切なんだと思います。

H2さん、ぜひ若者代表として、お茶を飲み続けていってください!!!
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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