山菜摘みで考えたいろいろなこと

gazou 018
GWに山梨のすもも農家・古郡さんのところでよもぎ摘みをしてきました。
冬の間体内に溜まった毒を出すのに、山菜の苦みというのが有用だと漢方などでよく言います。
よもぎはぐわーっと毒を出してくれそうな草ですね。この時期の柔らかい新芽だけを収穫します。



以前仲良しの産地で、山菜摘みがてら取材をさせてもらったことがありました。
山の中らしく、こごみやふき、タラの芽、コシアブラ、うど等々、なんでも採れます。

ほとんど手がかからない山菜「こごみ」が大好きなので、
こごみの群生地に連れてってもらった時には
「うひゃっ!」とヨロコビの声を上げてしまいました。

地面をじっと見て歩いていると、あちこちにちんまりと山菜が見つかります。
食べものが地面に落ちてるってのは楽しいなあ!としみじみ思いました。
苦労せず食べものが獲得できる喜び…かな~り楽しい経験でした。

gazou 046
子どものときは全く食べられなかったわらび。今や大好きな山菜です。
山形県ではこの穂先の部分は取っちゃって食べないんですって! 理由は「前からそうしてるから」。
実は発がん物質という噂もあり、それ以来なんとなくわたくしも取るようにしています。



その取材でタラの芽を採ってる時、ちょっとした事件がありました。

山の中腹あたり、人間の背丈程度の灌木のなか、人影が見えたのです。
大きなしょいかごをもったその人影は、我々に気づくとすぐに消えました。
しゃがんで隠れたようでした。

「あの人、山菜泥棒だよ、きっと」 その山の持ち主の農家が言いました。

「けっこう来るよ、誰も許可取らないで、タラの芽とか根こそぎ採って行くんだよ。
たくさんあるから別に採ってもいいんだけど、ルールを守って欲しいなあ」

林道の道端にあるタラの芽は、道行く人がほとんど採ってしまうと笑います。
バッサリ折られた枝をみて、その採り方が困るのだと、しみじみ言いました。

gazou 044
山の中を歩いててみつけた「銀ラン」。山野草かな? ちんまりして美しい花ですね。
こういうのを根こそぎ取って行っちゃうオバサマが大変多いそうです。



「山から恵みをもらってるって感覚がないんだよね。

穂先だけ摘み取れば、タラの芽はもう一回出てくるからそれを残せるんだけど、
茎ごと持ってっちゃう。だぶん、水に浸けておけば何度か出るから、
それを知ってるんだと思う。売ってるのかもしれないねえ。

そんなことすると、残された茎からは何も出てこなくなっちゃう。
搾取すると二度とその恵みが得られないってことがわかってないんだよね」

楽しくてごっそり持って行きたくなる気持ちは理解できなくはないけど、
「いただいてる」という感覚が欠如しているのだろうなあと感じました。

gazou 014
鳥取県では皮を捨てて中身を食べる「あけび」。山形県では皮だけ食べる「あけび」。
山梨のすもも農家は中身を天恵緑汁にする「あけび」。人それぞれなのですねえ…。



「山菜を出さなくするのは簡単なの。
根こそぎ採っちゃうか、山の手入れをしなきゃいいの。

毎年何度か山に入って、下草を刈ったり枝を払ったりしてやんなきゃいけなくて
それをさぼるとすぐに山はダメになる。人が入れなくなる。
だから、それは山を持ってる者の先祖代々からの役割なんだよね。

辞めちゃうと、山が荒れて、山菜やきのこも出なくなっちゃう。
山菜やきのこは、山の手入れをしたものに与えられる恵みというかご褒美なんだよ」

その話を聞きながら、わたくし、農村には「仕事」と「稼ぎ」という
2種類の仕事があるのだという話を思い出しました。

gazou 032
枯れちゃった巨峰畑の下に日本タンポポが群生してました。
ガクが反り返ってないのが日本タンポポ。西洋タンポポは反り返ってるのですぐわかります。
古郡さん曰く「この山にはまだ西洋タンポポが来てないだよね」…うーん、それは珍しい。



「仕事」は地域や子孫のために延々と続く止むことのない利他的な活動のこと。
「稼ぎ」は日々の食料を得るための経済的な活動のこと。
都市生活者の仕事は「稼ぎ」のみなのですね。そう考えるとわかりやすいです。

田んぼの水路の管理、山、農道、共有スペースの管理…
農村には自分のため以外の仕事がたくさんあり、それはお金にならなくても
先祖代々続けてきて、やらなくてはならない当たり前の仕事なのでした。

農地を耕し食料を生み出す、それを次世代につなげる仕事「農業」は
「稼ぎ」もあるでしょうが、どちらかと言うと「仕事」に分類される
稀な例のような気がします。そう考えると、第一次産業全体がそうですねえ。

都市生活者が農業に惹かれる理由がわかるような気がします。

gazou 051
野草っていうか雑草でもあるノビル。味噌付けて食べるとおいしいけど、
食べすぎると鼻血が出そうです。でも春はそういうものを食べなくちゃ。



そこいらの山に入って山菜という恵みを得ることができるのは、
誰かが手入れをしてくれたおかげと考えれば、また翌年への配慮があれば、
根こそぎ持っていくことの無礼さ、傲慢さが理解できるはずなのに。

日本人はそういう感覚を、すでに無くしてしまったんだろうか。
なんとなくちょびっとがっかりして、その取材を終えたのでした。

さて今は5月。まさに、山菜の季節です。

手入れに値する恵みが、あの山で次々に芽を出しているのかな。
たらたら歩くだけで食べものが入手できる喜びを味わっているのかな。
と、思っていたら。

福島のこごみから放射能が検出されたとニュースで聞きました。

彼の山は福島県にあります。
今年は山菜は採らないのでしょう。とりあえず出荷は自粛すると言っていました。

gazou 002
チェルノブイリではきのこがものすごく放射能を吸うことがわかってますから、野生のきのこは危険です。
今年のマツタケごはんは、老い先短いオトナは良くてもお子様は食べない方がよさそうです。



何百年もの間、先祖代々山の手入れをしてきた結果、得られたご褒美
山菜やきのこは、誰にでも平等に山に行けば与えられる豊かな恵みだったのに。

人間は、自然とのこの契約を「放射性物質」によって一方的にご破算にしてしまったのです。

これから、自然が時間をかけて修復してくれるのを、ただ私たちは待つしかない、
でも、どれほどの時間をかければ修復できるのか、誰にもわからないのでした。

gazou 007
来年もまた当たり前のように山菜摘みに行けるでしょうか。
誰にもわかんない答えだけど、誰かに聞いてみたいです。メルトダウン隠してた人とかに。



山々の新緑は美しく、木々は営々と続けてきた営みを今年もただ繰り返しています。

でも、そこにいる人間には、目の前にある食べものが食べられない。
自分たちが作りだした目に見えない物質のせいで。

電力という恵みを享受してきた私たちへのしっぺ返しは、
考えていた以上に大きなものになりつつあります。

これを次世代へ持ちこさないよう、私にはただ祈ることしかできないのでした。


★現在ブログランキング参加中です!
↓プキッとクリック、ご協力お願いいたします!



こちらもよろしくお願いいたします!
にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

ほんたべさん、こんばんわー。山菜の季節ですねー。
>山形県ではこの穂先の部分は取っちゃって食べないんですって! >理由は「前からそうしてるから」。
ええ?確かに食べません。そしてその理由も「前からそうしているから。」あれ?みなさんは食べるのですか。へぇ・・・

今年は、放射能のせいで、山菜が危険なものに感じています。せめて色でもついていたらあきらめがつくのですけどねぇ・・・

Re: No title

駆動さん

> あれ?みなさんは食べるのですか。へぇ・・・

わらびの先ってくるんとなっててかわいいので、
すごくおいしいような気がするじゃないですか!
もちろん食べてましたとも!!!

その他にも、畠に出張に行って、
あけびの中身を捨ててると知り愕然としましたよ~。

この季節、スーパーの入り口にサバ缶が山積みになるとも聞きました。
どうやって食べるのか忘れたけど、なんか山菜と食べるって言ってたような気が…。

山形って鶴岡とか庄内方面、山菜天国ですよね~。
うらやましいです。アルケッチャーノとかあるし、いいなあ…。

> 今年は、放射能のせいで、山菜が危険なものに感じています

今年の山菜までは大丈夫だと信じて、わたくしは食べました。
まあ老い先短いんで、別にいいんです(笑)

駆動さんはまだ若いんだから気をつけた方がいいかも、ですよ。

ワラビ

うち(山口)のあたりではワラビの穂先は普通に食べてますよ。
取り除く人もいますけども。
ワラビの発癌性物質はプタキロサイドというらしいのですが、
穂先に限って含有するわけではないみたいですし、
灰汁抜きによって化学変化および流出して顕著に消失するみたいですね。

植物の毒成分と言えば、アルカロイドを含むものも多いですよね。
変わった品種の種子をよく購入していますが、
食用と書いてあってもちょっと心配になってきます。
原種に比べればゼロに近いんでしょうがたぶんゼロではなさそう...
普通のトマトだって青いまま食べたらダメですし、
脇芽を天ぷらにして食べる人も結構いるようですがトマチンを含んでますね。
一方で、カフェインだってアルカロイドですし、過剰摂取はよくない。

まぁ毒と薬は裏と表の関係で、性質と量の問題ではあるんでしょうが、
個人的に食べる場合はともかく、栽培して人にあげたり販売する際には、
一般に馴染みの薄いものは線引きというか対応が難しそうです。
食用ホオズキとかどうなんですかねぇ。実家で芽が出てる頃なんですが。

下記のナスの種、毒々しいのがいろいろ写ってますが、
一応全部食用って書いてあるんですよね。
http://www.seedsbypost.co.uk/shop/12600/aubergine-mixed-vegetable-explorer-14805/
わからないものは無理に食べずに生け花用にでもとは伝えてますが。

Re: ワラビ

H2さん

こんにちは。

>> 灰汁抜きによって化学変化および流出して顕著に消失するみたいですね。

そうなんですか…。
食べてもよかったんですね~。来年食べられたら取らずに食べようかしら。

>> 脇芽を天ぷらにして食べる人も結構いるようですがトマチンを含んでますね。

トマトの脇芽を食べる人がいるんですね。
もっとおいしいものがあるような気がするけど、おいしいのかな。

てんぷらにするとある程度毒が抜けるような気がしませんか?
昔からアクが強いものはてんぷらにしたりしますよね(科学的根拠なし)

>
> 食用ホオズキとかどうなんですかねぇ。実家で芽が出てる頃なんですが。

かわいいしおいしいですよね!
たくさん食べるものではない気がするけど、毒はないんじゃないでしょうか。

梅なんかも青梅をには青酸が含まれてるので食べるなと言われますけど、
一個くらいならなんてことありません。さわやかでおいしかったです。

でも種の中にある核は生で食べちゃいけないんですよね。

ビワの種もそうだって話で、一時期あれで杏仁豆腐を作ろうとか思ってたので、
作んなくて良かったです。

>一方で、カフェインだって

カフェインは毒…って言うか過剰に摂取すると良くないですよね。
また依存症になりやすいので、コーヒー依存症の人ってけっこういますよね。

自分的にはコーヒーを2杯以上飲むとその夜はダメです。眠れなくなります。
でも微量のカフェインは頭をすっきりさせ頭痛をなくし、一時的に血行を良くするので、
一日一杯が限度ですかねえ。

植物の体内にはフツーに虫を寄せ付けない物質や、撃退する物質が生成されるので、
生で食べるのはあんまり良くないと聞いたことがあります。とくに菜っ葉。

昔から生で食べてるもの以外は、加熱処理して食べるのがいいってことですね!

untitled

ほんたべさんこんばんは。

山菜採り、いいですねー。
残念なことに本格的な山菜採り、まだ未体験です。
きっと楽しいんでしょうね。

ただやっぱり生半可な知識で行くと、ひどい目に逢うかもしれないですね、特にキノコなんかは。
以前とあるイモを舐めて死にそうになったことがあります。植物のダークな力を直に体感しましたです。
プロの方といっしょに行くのがいいんでしょうね。

写真のギンランなんかのいわゆる「山野草」ですが、お店で売られているのはいわゆる「山採り」のものもけっこうあるみたいですね。かなり前からけっこう問題になってるようです。
僕も郊外で「これいいなー」という植物に出会うことがありますが、そこはやはりグッと我慢しますね。で、秋まで待ってタネをいただきにいく。それがまた楽しいんですよ。

西洋タンポポなんかのいわゆる「外来種」植物に関してですが、外来種が入り込むのは荒れ地や造成地などの手入れされていない土地が多いです。人がせっせと手を入れている里山などには侵入できないという話です。

というわけで、山菜採り、いつかご一緒させてください!
ではでは。

Re: untitled

Fuさん

こんばんは。

> 山菜採り、いいですねー。
> きっと楽しいんでしょうね。

子どもの頃はつくし、わらび・ぜんまいなどを採りに行ってました。
東京に来て山菜の「さ」の字も見かけなくなりましたが、農家周りでまた復活。
すんごく楽しいですよ~。食べものの収集がこれほど楽しいとは。
本能的ヨロコビと思います。


> 以前とあるイモを舐めて死にそうになったことがあります。
植物のダークな力を直に体感しましたです。


植物のダークな力…いいですねえ(笑)。
アタシたちって食べられるために育ってるんじゃないのよねっていう主張。
ふだん大人しいと思ってるだけに、何かあるとコワイですよね。

キノコは相当ヤバイことになりますから、キノコだけはプロと行けって言われます。
キノコ取りの得意な人と一緒に行かないと、本当に危険みたいですね。
悪くすると死にますもんね~。

> 秋まで待ってタネをいただきにいく。それがまた楽しいんですよ。

Fuさん、なんつーか、マニアって感じがします。マニアな方だったのですね。

山菜取りや山野草取り(種採り?)、楽しそうですね。
いつかご一緒いたしましょう!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
リンク
FC2ブログランキング
FC2ブログランキング参加中

FC2Blog Ranking

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR