とことんオーガニックシンポジウムに参加

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午前中の調査の概要報告では、日本のオーガニック市場の調査という目的のほかに、
海外との数字の比較、情報発信などのための調査であったことなども言及されました。
日本にはオーガニック市場の割合や規模など、海外に発信できる数字がなかったのですね。



6月10日(金)、日本で初めて行われた「オーガニックマーケットの実態調査」の報告会
「とことんオーガニックシンポジウム」が開催されましたです。
詳細はこちらから。資料も販売しています。→オーガニックマーケティング協議会

2001年有機JAS法の施行、2006年有機農業推進法の施行後、
有機JAS及び有機農業についての理念や販売のルールなどは定められましたが、
オーガニックの市場調査は全くされてきませんでした。

今回オーガニックマーケティング協議会(OMC/民間の任意団体)により、
「日本におけるオーガニックマーケット調査2010-2011」が行われ、
今まで業界関係者が漠然と感じていたことが、明確に数値化されたです。

それに伴い、オーガニックという制度的な問題点、
今後さらに推進するための対策なども明らかになりましたよ。

有機農業に関わって約20年のわたくし的にも、いろいろと興味深い結果でした。
ということで、消費者調査の部分をちょこっとご紹介いたします。


【有機・オーガニックという言葉は97%の人が知っている。
しかし正確に理解している人は消費者全体の5%である。】



言葉は知っていても規制等については知らなかったという人は46%。
つまり「オーガニック」という言葉の認知度はあるけど詳しく知らないってことです。

さらに、特別栽培農産物については、言葉自体を知らない人が約50%。
「特栽」と表示してもほとんど理解されていないのですね。
農家が「こんなの取る意味あるのか」って言ってたけど、確かにそうだったのでした。


【有機食品を購入する場は、ほぼスーパー。
生協や宅配業者、自然食品店がそれに続く】


特筆すべき事柄は、米については農家から直接、あるいはWEB販売で購入、
という人が野菜や大豆と比較して多いということ。作り手から見た場合、
一度おいしいと評価されれば、リピーターになりやすい商品ってことでしょう。


【有機食品の情報収集は店頭からが60%。新聞・雑誌が38%、
インターネットでは31%。メディアからの情報収集が少ないのが特徴】


店頭での情報で購入のきっかけを作られている…ってことは、情報は、
売られている商品にくっついてるのが効果的ということです。POPやパッケージ、
また対面販売などが、わかりやすいく受け入れられやすいってことでしょうか。

有機の優位性がはっきりしないのも一因なのでしょうね。

苦労して有機JAS認証を取得しても、マークを確認して買ってる人が
どれぐらいいるのかな~という疑問がふつふつとわいてきます。


【有機食品を週に一回以上利用しているユーザーは21.4%。
その内の年齢層は、50代以上が59%、20代9%、30代15%、40代17%】



この数字、某D社時代の分析数値とほとんど変わらない数字になっております。

可処分所得の多くなる50代以上にヘビーユーザーが存在し、
小さなお子ちゃまのいらっしゃる30代~40代は、お子ちゃま用購入って感じ。
つまり「牛乳だけ」「卵だけ」「野菜だけ」っていうか。

大量の食料が必要な時代には有機食品を購入できない人も多いのですが、
子どもが巣立って夫婦二人になると、お高いものも買いやすくなる…
そんな感じでございましょうか。


【ほとんどすべて有機食品を利用しているヘビーユーザーは全消費者の0.9%】


朝から晩まで有機食品を食べている人は、100人に一人。
わたくしの住んでいる世田谷区で言うと、現在約84万人ですから、えーと。8,400人。
わたくしの出身地・鳥取県だと587,000人ですから、5,870人。

っていうか、世田谷区の方が鳥取県より多いんだ~人口。…かる~くショックかも。


【有機食品の購買動機は「健康」「安全」「おいしい」という利己的動機が強く、
アメリカの有機食品ユーザーと同じ傾向】



ヨーロッパ型の有機食品の購買動機は、環境保全などの社会性・公共性が強く、
日本とアメリカとは消費者の傾向が少し違うのですね。

例えば、あるイタリアの村では、村の美しいりんご畑のりんごとそのジュースを、
少し高価であっても積極的に購入しているそうなのです。
美しい景観と環境を存続させるために、食べ支えるという意識を村民が持っているのですね。

残念ながら日本では、そういった傾向は一部の消費者にしか見られませんです。
有機農業はそういった消費者に支えられてきたとも言えるのですが、
もうそんな時代じゃなくなってるってことなのでしょう。

gazou 010
シンポジウム資料。ブログ内の数字はこの資料からの抜粋です。参加費は5,000円でした。
その他はおまけでもらえたもの。電話帳がちょっとうれしいかな~。



さて、シンポジウムではパネルディスカッションがふたつ企画されており、
そこでの会話は非常に興味深いものでした。

とくに現在、311以降、大量の放射性物質が放出された後
オーガニック食品をどう受け止めるのか、空から降ってくる危険なものとどう向き合うのか
有機農業業界では、避けては通れないけど触れたくない話題です。

議論の中で、すこーしだけですが、ヒントがあったように思います。

「食べものの安全」という評価軸は、今や農薬ではなく放射能。

これからもますます汚染食品が出てくるのは、当然の結果です。
さらには、安全な食べものがなくなる日が来る可能性はじゅうぶんにあります。

でも、有機農業の果たす役割はきちんとある!と思えた一日でした。

今回は消費者調査のみについてのレポートになってしまいましたが、
もう少し消化してから、全体的な所感についてもご報告できたらなと思っております。



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No title

ほんたべさんこんにちは。
色々と収穫の多いシンポジウムだったようですね。

オーガニック・・・ 
僕にとってはイメージ先行の言葉ですね、やはり。
手間がかかっている、農薬は使わない、なんとなく体によさそう・・・
ほんと、そのくらいの認識ですね。

>有機の優位性がはっきりしないのも一因なのでしょうね

まさしく。
できれば有機野菜をっていう動機付けが、今ひとつはっきりしないというか、ピンと来ないといいますか。
それこそ社会性・公共性の点でもう少しアピールが欲しいな、と。

>「食べものの安全」という評価軸は、今や農薬ではなく放射能
>でも、有機農業の果たす役割はきちんとある

このあたりのこと、もう少し聞きたいっす。
ではでは

Re: No title

Fuさん

> 手間がかかっている、農薬は使わない、なんとなく体によさそう・・・
> ほんと、そのくらいの認識ですね。

そうですよねえ。
優良誤認を避けるために作った表示制度が、かえってわかりにくくなった、
そんな感じ。

有機農産物=無農薬じゃないですしね。

また、一般栽培の野菜の作り方もよく知らない人が多いなかでは、
さらに優位性は伝わりにくいと思います。

> このあたりのこと、もう少し聞きたいっす。

も少し頭ん中で整理して、また書こうと思っとります。

No title

お勉強になりました。食育、野菜ソムリエ、マクロビなどを主催されているブログを読ませて頂きますが、オーガニック昆布茶とかケミカルなドクターコスメをオーガニックコスメといって紹介していたり、オーガニックの概念をご存じない方が多いと感じてました。この数字を見ればそういう人が多くても納得ですね(納得したくないですが笑)。日本の気候や面積や食糧事情がオーガニックの正しい認識にも影響しているような気がします。有機農産物は本当に少ないし、無農薬だの特栽だの減農だのお店でも表示が多すぎて(違法なのも)何がオーガニックなのか消費者が混乱しているのも事実ですよね。。。福島には有機農園が結構あって、その有機基準はどうなるのかなとずっと思っていたのですが、そのあたりご存知でしたら是非レポートお願いします!

Re: No title

Mioさん

> オーガニックの概念をご存じない方が多いと感じてました。

「オーガニック」…有機JASと関係なく使ってるのかな~?と思う場面が多いですよね。
海外の認定を受けていてマークがついてるものもありますが、
「なんとなくオーガニック」みたいなものも確かにあるように思います。

>無農薬だの特栽だの減農だのお店でも表示が多すぎて(違法なのも)
何がオーガニックなのか消費者が混乱しているのも事実ですよね。。。

その通りですよねえ。

今回わたくし、特栽がほとんど認知されていないことに、本当に驚きました。
けっこう苦労してとってる農家もいるのに…。ああ、お気の毒。

有機農業推進法で「消費者への普及啓発」が目標とされてるはずなんですけど、
ほとんど啓発されていないのかなあ…って感じです。

>福島には有機農園が結構あって、その有機基準はどうなるのかな

放射能の核種についてってことですよね?
おそらく有機JASの中でそういった基準値を儲けるのは無理なんじゃないかと
知り合いの検査員が言っていました。

有機農産物であろうと、残留農薬準値を上回る農薬が出たら出荷停止になるのと同じく、
暫定基準値以上の放射能が出たら出荷停止だと思います。
何年も土づくりしてきて、出荷停止。悲しいです…。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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